コミックナタリー Power Push - 「アイドリッシュセブン」

キャラクターデザイン原案 種村有菜が語る初めての挑戦

一番背の低い設定だったキャラクターが、一番長身に

──三月くんは一織くんのお兄ちゃんですが、かわいらしい印象のキャラクターです。

三月くんは「とにかくショタキャラで」とお願いされました(笑)。IDOLiSH7のショタ枠ですね。背も低くてかわいい感じ。あ、ちなみに今はIDOLiSH7の中で一番背の高いキャラクターって四葉環くんなんですけど、実は最初の設定だと環くんが一番低かったんです。

種村有菜による四葉環の設定画。

──えっ、そうなんですか?

本当は環くんも子供っぽいキャラクターという設定だったんです。ただラフを描いてる段階で私がその記述を見落としてしまって。間違えて今みたいな大人っぽい見た目のデザインを提出しちゃったんです。そしたらバンナムさんがそれを気に入ってくださって「種村さんの描いたラフがよかったので」って、逆に設定のほうを変えてくださったんです。

──そんなエピソードがあったんですね。環くんって、プロフィールを見ると「プリンが好き」っていうかわいらしい一面もありますよね。そういう大人っぽい見た目とのギャップも生まれて、面白いキャラクターだなと感じました。

しかも、それは一織くんもなんですけど、環くんは17歳でグループの中で最年少なんですよね。背も高くて一番筋肉もしっかりしてるのに。そこもギャップですね。環くんもお気に入りのキャラです。タレ目でかわいい。

声を聞いて「こんな子だったんだ」って

──続いて、壮五くんはどのようにデザインを?

壮五くんは……実は設定資料に“ヤンデレ”って書いてあって。ヤンデレキャラをどう解釈してデザインに起こすのかは悩みました。すごく優しそう、でも一線超えると危ないっていう不安定さはどこかで演出するものなのかなと。異世界のファンタジーゲームのような服装にして、「この子ちょっと変わってる」っていうのを出そうかなと思いました。だから1人だけファンタジックな服装です。あとは色白で。足とかもちょっと細くて。

──ちょっと病的な。

種村有菜

私のヤンデレ解釈がちょっと病的な感じなんでしょうね(笑)。でも目には強い意思を持っている、そんなイメージです。細身に描いた壮五くんとは対照的に、六弥ナギくんは結構体格をガッシリさせました。

──ナギくんはハーフの男の子なんですよね。美形のキャラクターという印象があります。

そうですね。ナギくんは北欧系のハーフという設定で。薄い金髪に碧い瞳、あとは鼻筋も通った感じにしました。ナギくん、私結構好きだったんですけど、キャラクターのサンプルボイスを聞いてビックリしました。まさかあんなキャラになるとは(笑)。

──江口拓也さんの演技が入るとまた印象が変わりますね(笑)。かなりテンションも高いキャラで。

デザインを考えてるときは声が入ってどうなるのかっていうのは想像がつかなかったので、「こういう子だったんだ」と面白かったです。

ライバルがカッコいいと作品の魅力が増す

──そしてIDOLiSH7のセンターを務める七瀬陸くん。彼のデザインについてもエピソードを教えてください。

種村有菜による七瀬陸の設定画。

陸くんは最初黒髪で描いてたんですよ。でも一織くんも黒髪なので、被るから何度かリテイクを重ねて。最終的に今みたいな赤に近い、明るい茶色になりました。目立つし、グループ全体も明るい印象になったのでよかったなと思ってます。あとは一番開放的な衣装を着ているキャラクターですね。IDOLiSH7のメンバーは “開放”を共通のテーマにしてデザインしています。どんどん前に広がっていく、というイメージ。陸くんはセンターなので特に開放感のある衣装になりました。

──対してTRIGGERのメンバーはIDOLiSH7に比べて露出度が低いというか、全員かなり着込んだ服装ですよね。

そうですね。あんまり肌を見せないようにしました。あとはIDOLiSH7は白を基調にデザインしましたが、TRIGGERは黒を基調にしています。

──その意図は?

やっぱりパッと見わかりやすくというところですかね。こっちが主人公グループで、こっちがライバルグループなんだよっていうのを。TRIGGERはライバルなので、脅威だったり、怖いと感じさせるようなデザインを意識しました。あとこれはマンガを描くときもそうなんですけど、ライバルがカッコいいと作品としての魅力が増すと思っていて。なのでTRIGGERのほうに力を入れたというのはありますね。7人に対して3人で対抗しなきゃいけないという部分もありますし、TRIGGERのデザインはがんばりました。

苦手意識で避けていたけど、結構ハマるもんだなって

──「アイドリッシュセブン」には唯一の女子キャラクターとして小鳥遊紡が登場します。これはゲームのプレイヤーとなる、いわば主人公のような存在ですね。

私が女の子を描くのが好きなので、紡ちゃんはとにかく好きなものを詰め込みました。髪の毛の色とか、服の色とか。あとはプロデューサーさんのほうからうさぎのキャラクターを出したいと言われていたので、紡ちゃんの髪型もロップイヤーをイメージしてるんです。

「MONSTER GENERATiON」ミュージックビデオより。

──ああ、なるほど。垂れてる耳のイメージなんですね。そして紡ちゃんに併せてうさぎのキャラクター・きなこも生まれたと。

そうですね、紡ちゃんがきなこを抱っこしたときに収まりがいい形にして。私がこういう動物キャラを描くときはいつも脱力系にするんですけど。今回も見てるとちょっと力が抜けるような(笑)。そんなイメージで描きました。

──モコモコしたシルエットがかわいくて、見ていて癒されます。あとは「アイドリッシュセブン」の公式Twitterでも広報として活躍している事務員の大神万理さん。

大神さんは最初キリッとした目で描いてたんですけど、「タレ目でお願いします」とリテイクが入り、今のような優しそうな表情のキャラクターになりましたね。あと大神さんは唯一の長髪キャラです。アイドルたちには長髪の子がいないので、ここで長髪のキャラを出してみました。

──今回「アイドリッシュセブン」のキャラクターをデザインしてみて、普段マンガを描かれているときには気づかなかった新たな発見はありましたか?

キャラクターの数も多いので今までにやったことがなかったデザインにもいろいろと挑戦してみたんですが、苦手意識が強かっただけで描いてみたら結構ハマるもんだなっていう発見はありましたね。

──例えば?

種村有菜による八乙女楽の設定画。

TRIGGERの八乙女楽くん。彼はウェービーな髪型なんですけど、私の作品に登場する男の子でウェーブヘアのキャラっていないんですよ。前髪だけ、っていうことはあったと思うんですけど、こんなに全体的にっていうのは初めてで。

──カッコいいですよね。色気も感じます。

楽くんはちょっとキツそうな印象のキャラクターにしたかったので、柔らかい印象を与えるウェービーなヘアスタイルはどうなんだろうって思ってて。でも結果キツさも損なわれずに済みましたし、このぐらいがちょうどよかったのかなと思いました。キツキツ過ぎるよりもどこかアンバランスな要素があったほうが、キャラとして魅力が立つと思うので。

──今までこういった髪型を避けていた理由はあるんですか?

個人的にあんまり好きじゃなかったんですよね。ウェービーな髪型ってかわいくて柔らかいっていうイメージがあったんです。シャープな印象のデザインが好きなので、自分の作品では描いたことがなかったんですけど……楽くんをきっかけに自分の作品でもチャレンジしてみようかなと思うぐらい気に入りました。推してる子はほかにもいるけどデザイン的にはIDOLiSH7、TRIGGERのキャラクターの中でも一番のお気に入りですね。

アイドル育成アプリ「アイドリッシュセブン」

「アイドリッシュセブン」

8月20日に配信が開始されたスマートフォン向けアイドル育成アプリ。プレイヤーが7人のアイドルとともにアイドル界の頂点を目指す、フルボイスの本格リズムアクションゲームだ。製作はバンダイナムコオンラインが、楽曲制作はランティスが務める。スマートフォンゲームを起点とし、コミカライズ、音楽CD、アニメ映像など各種メディアでの展開が予定されている。

種村有菜(タネムラアリナ)
種村有菜

1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。2013年にはマーガレット(集英社)で「猫と私の金曜日」を、メロディ(白泉社)では「31☆アイドリーム」をスタートさせた。