「アイドリッシュセブン」特集 保志総一朗&立花慎之介インタビュー|Re:valeに吹き込んだ新たな風

スマートフォン向けアプリ「アイドリッシュセブン」から生まれたアイドルグループ・Re:valeが8月3日に2ndアルバム「Re:flect In」をリリースした。

Re:valeはモモ(CV:保志総一朗)、ユキ(CV:立花慎之介)からなる2人組グループ。彼らの2ndアルバムにはテレビアニメ「アイドリッシュセブン Second BEAT!」のエンディング主題歌「ミライノーツを奏でて」をはじめとした既発曲に加えて、葉山拓亮が手がけた「Storyteller」、伊秩弘将が手がけた「夢雫」の新曲2曲を合わせた7曲が収められ、Re:valeの新たな一面を感じさせる1枚に仕上がっている。

音楽ナタリーでは、「Re:flect In」の発売を記念して保志と立花にインタビュー。Re:valeの音楽性やお互いの歌声の印象、新曲2曲にまつわるエピソードを聞いた。

取材・文 / 酒匂里奈撮影 / 須田卓馬

Re:valeのおかげで相棒的な感じに

──お二人は「アイドリッシュセブン」のことはRe:valeとして携わる前からご存知でしたか?

保志総一朗 名前を聞いたことがある程度でした。そんなときに百役で話をいただいて。オファーをいただいたときはアイドル役だったので驚いたな。自分のところにはあまり話がこないような役柄だったから。Re:valeはベテランアイドル枠なので、それを聞いて少し納得しましたね。

立花 僕はオファーをいただいたときは「アイナナ」のことをまったく知らなくて。

保志 SNSで目にすることもなかった?

立花 当時はSNSを情報を集めるツールとして使ってなかったんです。何も知らない状態だったんですけど、相方役が保志さんと聞いて、「えっ保志さんが歌って踊るの? じゃあやる」と即答しました。僕も歌って踊ることは嫌いではないですし、別のコンテンツで人前で歌っていたので。

左から立花慎之介、保志総一朗。

左から立花慎之介、保志総一朗。

──Re:valeを演じることが決まってからお互いに連絡取り合うことはありましたか?

保志 オファーを受けた当時はなかったと思います。

立花 僕と保志さんは世代やキャリアが違うこともあって、当時は連絡先も交換してなかったんです。これまでにも仕事でお会いすることはありましたけど、プライベートの話をするような機会はなくて。

保志 距離が近付いたのはRe:vale役が決まってからだと思います。ほかの現場でちょいちょい会ってはいたんですけど、「アイナナ」をきっかけに相棒的な感じになったのかなと。

立花 Re:valeのおかげで距離が一気に縮まりましたね。「アイナナ」に携わる前の保志さんは主役路線をひた走っていて、「パッピー!」とよく言っている先輩というイメージがあるくらいだったので。

──お二人の距離を縮める大きなきっかけになったのは、2018年7月に埼玉・メットライフドーム(現:ベルーナドーム)で開催されたライブイベント「アイドリッシュセブン 1st LIVE『Road To Infinity』」なのではと思いますがいかがでしょう?

保志 そうですね。ゲームのアフレコは個々だったから会う機会もなかったし。「アイドリッシュセブン」に登場するほかの3グループ、IDOLiSH7、TRIGGER、ŹOOĻのキャストたちもライブをきっかけに絆が深まってそうだよね。

立花 「アイナナ」のキャスト、みんな仲いいイメージありますよね。

保志 あるある。僕らはアニメの1期に出てないので、最初に「アイナナ」キャストと集まったのは「Road To Infinity」なんです。

立花 アニメの1期をやっていた頃から「アイナナ」のキャストやスタッフが参加しているLINEグループがあって、そこでみんなが盛り上がっているのを見て寂しさを覚えていました(笑)。その頃から一体感があって、“アイナナファミリー”という感じはありましたね。

──「Road To Infinity」では、Re:valeとしてのステージをどんなふうに作り上げていきましたか?

保志 立花くんは丁寧に仕事をする人で、確認も提案もしっかりしてくれて。すごくやりやすかったです。

立花 僕個人としてやりたいことや挑戦したいことはあったんですけど、そこは保志さんに相談しないとって。声優としては先輩で、Re:valeとしては仲間なので。気軽にいろいろ相談できてありがたかったです。

保志 そんなふうに相談しながら作っていったので、Re:valeとして1つのゴールに向かっていく感じがしましたね。

立花 物語の中での千と百の仲のよさに影響を受けた部分もあるかもしれないです。

──演じている役柄と実際の関係性がリンクすることがあるのでしょうか?

保志 自分と百を重ねることはそんなにはないけど、立花くんと千を重ねちゃうことはあリますね。ほかの3グループのキャストをそういうふうに見てしまう部分もあるし。ほかのグループのキャストは、ライブのMCでもキャラクターを崩さずにやっていることが多いので、そこでよりキャストとキャラがオーバーラップしているのを感じます。

保志総一朗

保志総一朗

立花 ライブ前に保志さんと話し合ったことがあったんです。キャラを背負うようなパフォーマンスは若い子たちに任せて、僕らは最年長だし、キャラを出す部分と素を出す部分の両方を作ってもいいんじゃないかと。歌っているときはRe:valeだけど、MCでは立花慎之介と保志総一朗でいきましょうという話をしました。

保志 トーク部分に関してはあえてけっこう素を出してるよね。

立花 そうですね。それも“絶対王者”のRe:valeだからこそできることなのかも(笑)。

あくまでも声優なので

──百さんと千さんがどんな人でどんなアイドルなのか、お二人なりの言葉で聞かせていただけますか?

保志 百は最初は絶対王者の先輩アイドル、という印象を受けるんですけど、物語が進むにつれて苦労した過去が描かれる人で。なんの苦労もなしに今の立ち位置まで来れたんじゃないんだなとわかるんです。Re:vale、そして百は、さまざまな過去を経たからこそ、みんなの目標とされるようなアイドルになったんだと思います。

立花 千は一見クールで天才肌な印象を受けるんですけど、実際はすごく人間味があるんです。苦悩を抱えていたり、挫折を経験したりと、負の感情を抱えつつそれをエネルギーにして生きてきた子で。Re:valeがただ単にトップで輝いてるグループじゃないと知って、リアルライブでのアプローチの仕方も変わりましたね。

──キャラに対しての解像度が高まることで、パフォーマンスが変わってくると。

立花 やっぱりキャラに付随するストーリーやバックボーンを理解してないと……。

保志 ただ歌うだけになるよね。

立花 そうですね。気持ちが入らなくなっちゃいます。そういう意味では「アイナナ」はキャラの心情がしっかり描かれているおかげで、ライブでは自然とRe:valeとしての意識を持ってパフォーマンスができています。

立花慎之介

立花慎之介

──声優キャストの方がキャラを背負ってライブパフォーマンスをするときに、どういう心持ちで臨んでいるのか気になっていたので納得しました。2.5次元ミュージカルのように見た目をまるっきりキャラに寄せるわけじゃないわけですし。

保志 ほかのグループのキャストは見た目も近い感じするけどね。

立花 我々は大変ですよね。

保志 髪をロングにしたりしないもんね?

立花 それは完全にコスプレなので(笑)。

保志 確かに。それこそ2.5次元になってしまうというか、僕らの仕事じゃないもんね。

立花 あくまでも声優なので、我々は。

Re:valeの音楽は幕の内弁当

──「アイナナ」に登場する4グループの音楽性はそれぞれ異なりますが、Re:valeの楽曲の魅力はどんなところでしょう?

保志 Re:valeはノージャンルだからね。

立花 幕の内弁当だと思っています。いろんなおいしさが詰まってる。

保志 千らしい答えだな! おいしい部分の詰め合わせって感じだよね。それぞれの楽曲によってまったく別の世界が見えるけど、聴いてみるとどの曲もRe:valeの曲なんですよね。

──どんなサウンドでもお二人がRe:valeとして歌えばRe:valeの曲になるという。

立花 IDOLiSH7、TRIGGER、ŹOOĻはそれぞれ楽曲の方向性がある程度決まってると思うんですよね。この3組がいるからこそ、Re:valeのノージャンル感が際立つというか。相対的に聴いたときに初めて、「これがRe:valeの楽曲だ」と感じられるんじゃないかなと思っています。もしRe:valeだけしか登場しない作品だったら、方向性が定まってない感じが出ちゃうかも。

保志 なんでもやっていい感はRe:valeの特権かもしれないね。そう思うとRe:vale無敵じゃない?

立花 確かに! 絶対王者だからこそどんな曲でも歌えるのは強みですよね。