アニメ第弐期は「最初っからてんこ盛り!」(後藤)
──アニメ第壱期から約3年半の時を経て、第弐期がスタートします。おふたりは今どんなお気持ちですか?
江口 ずっとマンガを描き続けてきたので、今「3年半」と言われて、「3年半か……そりゃあ歳とるな」と(笑)。
後藤 ええ、意外と長かったんだなと今思いました(笑)。この3年半の間にOADもオリジナルCDもあってずっと関わっていたので、特段何かすごいものが沸き起こる……ということはないです。ただテレビで放送されるのは、やはりちょっと特別なものなので、いろんなものが引き締まる思いではありますね。
江口 私、かなりうるさい原作者だと思うんですよ。
後藤 え、そんなことないですよ! 全然です!
江口 作者さんによっては「好きに作ってください」と、アニメにあんまり関わらない方もいらっしゃいますけど、私は絵やシナリオも「ここをこうしたほうがいいんじゃないか」とか、「このキャラクターはこういうセリフをあんまり言わないです」とか。ほかにもいろいろあるんですけど、その声を聞いてくださっているのが本当にありがたいし、第弐期までやっていただける。私は本当に恵まれてると思います。
後藤 江口さんのご指摘は、すごく納得がいくものばかりなので。こちらがうまく表現できなかったことに、的確に赤を入れてくださるので、私としてはすごくありがたくて、いただいたご指摘は全部ファイリングしてとってありますよ。
──まだ単行本の巻数が少なかった第壱期のときとは違い、第弐期では原作のストックが豊富にあります。何を大切に、第弐期を構成したのかを教えてください。
後藤 第壱期は地獄の事情を視聴者に伝えること、つまり世界観の組み立てを大事にしていました。第弐期では、第壱期に出せなかったキャラクターをたくさん出したいという思いがあって。賑やか過ぎるかな、とも思ったんですが、面白いものをどんどん惜しまず出そうと。「最初っからてんこ盛り!」みたいなイメージで、とにかく「鬼灯」の魅力を全部詰め込みました。
江口 私も第壱期のときに出なかったキャラクターがどうなるのかというのはすごく楽しみです。特に座敷童子の一子と二子は、私が高校生くらいのときに原型ができた、かなり古いキャラなんです。ふたりを演じる佐藤聡美さんと小倉唯さんもすごくお上手で、違う声優さんなのにちゃんと双子に聞こえるのもすごいなって。
後藤 アフレコのとき、偶然おふたりの服装が被ってて双子コーデになってましたね。
江口 ありましたね(笑)。アフレコ中、「せーの!」って掛け声で示し合わせなかったのにいきなり息ぴったりにセリフを合わせたことがあって、それも驚きました。
後藤 一子と二子のほかにも、第弐期は毎話毎話ってレベルで新キャラを投入しているので、そこは見どころだと思います。
好きな人がやると、やっぱりできあがるものが違う(後藤)
江口 第弐期をやってもらえるのは、すごく運がいいことだと思うんです。いろいろな方が動いて、体制を整えてくれて、新監督の米田(和弘)さんもすごく一生懸命作品について質問してくださって……。
後藤 米田さんは(第壱期の監督の)鏑木ひろさんと同じ師匠筋というご縁もあって、第壱期をずっとリアルタイムで鑑賞してくださっていて、これ面白いから絶対見て!と周囲の方々に勧めまくってくださっていたという逸話が(笑)。第弐期の監督に決まったときは、「プレッシャーとうれしさで、主にプレッシャーで震えた」とお聞きしたような。
──米田監督はほかのインタビューで「第壱期でもう完成されているから、第弐期はその世界観を守ることが第一」とおっしゃっていました。
後藤 第弐期のシナリオを書くときもそうおっしゃってくださいました。「変に変えずに、第壱期のシナリオを書いた人間として気を付けていることを全部そのままやってほしい」「(マンガの)読者として感じていることを自分に教えてほしい」と。だからもう私は「このキャラのここがいいんですよ!」「この展開が最高なんです!!」「このコマの表現は絶対死守!!!」と言い続け、それを監督がひたすらメモしていく。いい方です(笑)。それに「鬼灯」は、演者さんやスタッフもすごく作品が好きな方が多くて。
江口 ありがたい……。
後藤 好きな人がやると、やっぱりできあがるものが違うんです。いい画面になるっていうのかな。みんな、読むのも楽しいし、作るのも楽しい、演じるのも楽しいし、できあがったものを観るのも楽しいって言ってますね。アニメなので、制作が大変なときはもちろんあるんですけど、観る方々にもう一度「楽しい」をお届けできるといいなって思ってます。
- 江口夏実「鬼灯の冷徹㉕」
- 発売中 / 講談社
- 「コミック&アニメ公式ガイド 鬼灯の冷徹 鬼灯なんでも入門」
- 発売中 / 講談社
待望のコミックガイド第2弾が登場! 江口夏実が語る「鬼灯の冷徹」誕生秘話、キャラクター、ストーリー、妖怪、そしてアニメ。レギュラーや金魚草など、このガイドブックのために江口が描き下したイラストも多数掲載。アニメで鬼灯を演じる安元洋貴&アニメ第弐期を手がける米田監督のインタビューも収録されている。
- テレビアニメ「鬼灯の冷徹」第弐期
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- 放送情報
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- 2017年10月7日よりTOKYO MX1・サンテレビ・BS11・KBS京都・AT-Xにて順次放送開始
- TOKYO MX1:10月7日より毎週土曜日25:00~
- サンテレビ:10月7日より毎週土曜日25:00~
- BS11:10月7日より毎週土曜日25:00~
- KBS京都:10月7日より毎週土曜日25:30~
- AT-X:10月9日より毎週月曜日22:30~
- AbemaTV:10月7日より毎週土曜日25:00~地上波同時配信
- ほか
※放送・配信日時は変更となる場合がございます。
- スタッフ
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- 原作:江口夏実(講談社「モーニング」連載)
- 監督:米田和弘
- 脚本:後藤みどり
- キャラクターデザイン:お祭似郎
- 編集:松原理恵
- 音響監督:はたしょう二
- 音響効果:高梨絵美
- 音響制作:サウンドチーム・ドンファン
- 音楽:TOMISIRO
- 音楽制作:キングレコード
- アニメーション制作:スタジオディーン
- キャスト
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- 鬼灯:安元洋貴
- 閻魔大王:長嶝高士
- シロ:小林由美子
- 柿助:後藤ヒロキ
- ルリオ:松山鷹志
- お香:喜多村英梨
- 茄子:青山桐子
- 唐瓜:柿原徹也
- 芥子:種﨑敦美
- ピーチ・マキ:上坂すみれ
- 桃太郎:平川大輔
- 白澤:遊佐浩二
- 座敷童子・一子:佐藤聡美
- 二子:小倉唯
- ミキ:諏訪彩花
- ほか
©江口夏実・講談社/「鬼灯の冷徹」第弐期製作委員会
- 江口夏実(エグチナツミ)
- 2010年に「非日常的な何気ない話」で第57回ちばてつや賞佳作を受賞。その中の一編「鬼」に登場したキャラクター・鬼灯を主人公にした「地獄の沙汰とあれやこれ」がモーニング2010年32号(講談社)に掲載されデビューを果たす。その後数回の掲載を経て、タイトルを「鬼灯の冷徹」と改め連載をスタート。「鬼灯の冷徹」は2014年にテレビアニメ化され、2017年10月より第2期が放送されている。
- 後藤みどり(ゴトウミドリ)
- 脚本家。脚本を手掛けた主な作品には、「よんでますよ、アザゼルさん。」「げんしけん 二代目」「鬼灯の冷徹」「進撃!巨人中学校」「潔癖男子!青山くん」などがある。
2017年12月8日更新