コミックナタリー Power Push - 高屋奈月「フルーツバスケット」

まだまだ広がるフルバワールド

親戚のような気持ちになってもらえたら

「フルーツバスケット」最終回に登場する、透と夾の子供と孫。

──それでは透たちの次世代を描いている「フルーツバスケットanother」についてもお聞かせください。「フルバ」最終話の最後に透の子供や孫たちが少し登場していますが、この時点で彼らのキャラクター設定をある程度考えていたのでしょうか。

「こんな感じで」と、考えていました。でも実際にネームを切りださない限りはいつも頭の中でふんわり存在しているだけなので、かっちり決めたのは、やはり描くことが決定した第1話ネームの段階ですね。「フルバ」本編で成し得たものを否定するような設定には、絶対しないようにしました。私自身そんなことが描きたいのではなくて、子供達から匂い立つような幸福感を描きたかったので。

──他人に迷惑を掛けることを極度に恐れる彩葉(さわ)が海原高校に入学し、睦生、はじめら草摩の姓を持つ人物と関わっていく……というのが主な筋書きですが、具体的な物語はどのように?

「幻影夢想」文庫版1巻「翼を持つ者」文庫版1巻

まず睦生とはじめは決まっていました。お話もぼんやり決めてあったんですが、実際に描くとなったらやっぱり少し変わって、彩葉が一番変わりましたね。実は本編のその後の話って「幻影夢想」と「翼を持つ者」にもあったんですが、結局描けなかったので、今回こうして描けたのが個人的にうれしいです。ちなみに「幻影」は孫の子供と飛良の話で「翼」はヒルトが主人公のお話だったような。懐かしいなあー、何言ってるかわからない方ばっかだろうなあ(笑)。

──往年のファンの方は大興奮だと思います!「another」で久々に海原高校や制服を描いて、いかがでしたか?

制服のほうはなんだかんだでちょこちょこ描いていたので、特になんということもなく、普通の気持ちでしたね。高校の校舎とか草摩の家とか諸々はすっっっかり忘れてたので、もう新しくしちゃってます。「改築したんだなあ」くらいに思ってください……。

──あはは(笑)。「another」は全3巻の予定ということで、まだしばらくお話が広がっていくんだなと期待を膨らませている読者の方も多いと思います。

「フルーツバスケットanother」カット

基本的には「フルバ」本編を知らなくても読めるように、でも読んでくださっていた方には「あらやだ大きくなったわね!お父さんとお母さん元気!?」って感じで(笑)、親戚の人のような気持ちになってもらえたらなあと。ちょっと子供達の年齢が近くなりすぎてますが、そこはもうマンガなので、賑やかで楽しげなほうを選択して描いています。親世代が登場することはありませんが、幸せそうな家庭の気配みたいなものを、子供達から感じていただけたらうれしいです。……でも今から申告しますが、全員の子供は登場させられないです。登場させてたら3巻でも終わらない……。

──今後はやはり、彩葉の成長や変化が大きな軸となっていくのでしょうか?

そうですね。彩葉は「another」からの新キャラですが、そんな草摩を知らない彼女が草摩の人間と関わって、彩葉なりに変化していく姿をまったり見守っていただけたらと思います!

フルバ 今日のおことば

「フルーツバスケット」には心に沁みる名言がいっぱい。ここでは愛蔵版1~6巻の中から、名ゼリフをランダムでお届けする。クリックするたびに違う言葉が表示されるので、そのときそのときで自分に響く名言を噛み締めてみては。

おことばを見る
「フルーツバスケットanother」花LaLa onlineで連載中!
「フルーツバスケットanother」花LaLa onlineで連載中!

透たちが卒業してから長い時が流れ…。都立海原高校に新しい春がやってきました。 高校に入学したばかりの少女・彩葉(さわ)を待っていた、新しい出会いとは!?

高屋奈月(タカヤナツキ)
高屋奈月

7月7日東京都生まれ。1992年花とゆめプラネット増刊(白泉社)にて「Born Free」でデビュー。SFやファンタジー作品を発表後、1998年に花とゆめ本誌にて「フルーツバスケット」の連載をスタート。異性に触れると動物に変身してしまう一族と女子高生の交流を描き人気を集めた。同作で2001年に第25回講談社漫画賞少女部門を受賞。TVアニメ化も果たし、売上1800万部を突破する大ヒットに。“もっとも売れている少女マンガ”としてギネスブックに認定されるに至った。その他の代表作に「翼を持つ者」「星は歌う」「リーゼロッテと魔女の森」などがある。