高身長かつ運動神経抜群の凛々しいイケメン女子・糸と、一見たおやかな美女だが実は男子である真琴の演劇ラブコメを描いた「Wジュリエット」でスマッシュヒットを放った絵夢羅。1996年にデビューした彼女が、今年で画業25周年を迎えた。
コミックナタリーでは、デビュー以降花とゆめ、別冊花とゆめ(ともに白泉社)、LINEマンガと媒体を変えながらひたむきに描き続けてきた絵夢羅の足跡を年表で追うとともに、その内面に迫るインタビューを実施。「家族」「仲間」をテーマに作品を描く理由や、2004年から続く「WジュリエットⅡ」への思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 三木美波
1994
- 「10日回廊」
白泉社文庫「七色の神話」収録 - 第222回HMC優秀賞を受賞した、絵夢羅が16歳のときの作品。
(掲載:花とゆめ1994年21号)
1996
1997
- 「七色の神話」
白泉社文庫「七色の神話」収録
- 「Wジュリエット」
全14巻
2003
- 「道端の天使」
1〜4巻 - 花とゆめで連載されたチャイニーズファンタジー。不思議な本を持つ少女キャトルと従者カルア、そしてキャトルを助けた少年テキーラの冒険が描かれた。
(掲載:花とゆめ2003年8号〜2004年12号)
2004
2006
- 「グランドサン」
全3巻 - 天才ボディガードのあさひと史上最年少ノーベル化学賞受賞者の朔夜が織りなすラブロマンス。
(掲載:花とゆめ2006年10号〜2007年18号)
2008
2012
2015
- 「ゆめの痕」
(単行本未収録) - 61ページのボリュームで、身分違いの恋の“その後”が描かれた。
(掲載:別冊花とゆめ2015年8月号)
2016
- 「ディスタンス」
「WジュリエットⅡ」7巻収録 - 「WジュリエットⅡ」の番外編「スターマイン」に登場したCM女王はやてと、彼女が保護した子猫を描いたスピンオフ。
(掲載:ザ花とゆめ2016年6月1日号)
たまに恋愛くらいが私にはちょうどいい
──画業25周年、おめでとうございます! 今の率直な思いをお聞かせください。
ありがとうございます。本当にあっという間でした。特にこの10年が光の速さで(笑)。この25年で画力やマンガ力は上がった気がしますが、「短時間で理想の絵を描く」能力はまだまだこれからだなあと。しみじみ思います。
──その向上心、見習いたいです。このインタビューでは、絵夢羅さんが25年間で描いてきた作品をじっくりと順に振り返っていければと思っていまして。まずは1994年から1996年までのデビュー前後の時期。初期作品の中で、一番印象に残っているものはどれですか?
デビュー作の「リトルドリーマー」です。一番直しを食らったので(笑)。45ページあったんですけど、4~5回直した記憶があります。当時はまだ高校生で人生経験も足りないし、担当さんの言ってる専門用語もわからないのにうなずいちゃって。「勢いでなんとかなるだろ!」と。
──あはは(笑)。
なんともならないことを後に悟るわけですが。これ以降は大幅な直しはなくなりました。だいたい1~2回くらいかな。マンガの描き方・作り方はもはやデビュー後の実戦で鍛えられたんじゃないですかね?
──試行錯誤しながらマンガを描き続けてきたんですね。高校生で受賞を果たしましたが、白泉社を投稿先に選んだ理由は?
投稿前にいろんな雑誌や単行本を読んで、気が付いたら白泉社系ばっかりだったんです。ひと味違う面白い作品が多いし、何よりゴリゴリの恋愛マンガは描くのも読むのも苦手だったので「ここなら恋愛モノじゃなくても大丈夫そう!!」という勝手な希望と自由度の高さが決め手でした。
──白泉社の作家さんから「恋愛だけに縛られない、ジャンルの自由度の高さで選んだ」というお話はよく聞きます。
今はゴリゴリ恋愛マンガ描いてますけど(笑)。まあ、主人公のやることや目標が先にあって、たまに恋愛くらいが私にはちょうどいいんです。
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私には読者を見ることが足りてなかった