コミックナタリー PowerPush - 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」
浅野いにおが「完璧」と語る「魔法少女まどか☆マギカ」の魅力とは
さやかが一番人間らしくて好きですね
──「まどか☆マギカ」の中で好きなシーン、印象的なシーンってありますか?
一番印象に残ってるのは、さやかがなんかちょっとモノクロっぽい、シルエットっぽい画面で戦ってるシーン。僕はあそこが一番好きで。
──TVシリーズでいうと第8話ですね。それはなぜでしょう?
実はさやかがキャラクターとして一番いいなと思っていて……ちょっとね、まどかとかはね、献身的すぎるっていうか、ほんと聖母とか神の存在なので(笑)。
──天上人みたいな(笑)。
そうなんですよね。ここまでの人はなかなかいねえぞとかって思っちゃうんですが。さやかの場合は、最初に好きな人のためにみたいな、わりと小さなレベルの自己犠牲から始まって。で、自分はちょっとヒーローになったみたいな、調子に乗る瞬間があったりして。最後ももちろんかわいそうだけど、ある意味自業自得な感じもしたりするから……一番人間らしいというか、弱い部分があるっていうのが好きなんですよね(笑)。
──女子のカルマっぽいところがグッと来たという感じでしょうか?
そうですね。やっぱりなんか、そういう欲みたいなものが見え隠れしてる部分を見たときに、「そうこなくちゃ!」って思う(笑)。
アニメをふだん観ない人でも面白さを共有できる
──今回の劇場版は完全新作ですが、どのような作品になると思いますか。
この作品って、全12話のTVアニメ作品として、バランスがもう完璧だと思っていたんです。だからその続きを作るっていうのは全然想像できないし、とても難しいことだと思います。たぶん作られてる方は何かしらの確信があってやってると思うんで、すごく楽しみですけど。気になりますね。
──まどか、さやかといった魔法少女たち、あとキュゥべえも変わらず登場するようです。
キュゥべえも、いままでの魔法少女ものにあったマスコットキャラクターを踏襲したものですよね。そういう今まであったものを全部裏返して作ってもちゃんと成り立つっていう、それも受け手側の成長だと思います。
──なるほど。では最後に浅野さんのマンガのファン、そしてコミックナタリー読者に、推薦コメントをいただけますか。
そうですね……「まどか☆マギカ」はアニメファンであっても、アニメをふだん観ない人であっても面白さを共有できる作品だと思うので、僕はとてもオススメしますね。なんだかんだでキャラクターもかわいいし(笑)。
──浅野さんのマンガをエンジョイできる方は、たぶん「まどか☆マギカ」も楽しめる気がします。
そうですね。でもメタ構造云々とかそういう見方をしなくても、ちゃんとストーリーやテンポ、演出も良いので。アニメ作品としてのクオリティがまず高くて、さらに構造的にもすごくバランスがよくて、僕はすごくいいと思ってます。というか、ただ観て面白いと思えばそれでいいと思う。こんな僕みたいにね、めんどくさいことばっかり考えてたらね、幸せになれないですよ(笑)。
──(笑)。本日はありがとうございました。
- 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」
- 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」公開中
キャスト
鹿目まどか:悠木碧
暁美ほむら:斎藤千和
巴マミ:水橋かおり
美樹さやか:喜多村英梨
佐倉杏子:野中藍
キュゥべえ:加藤英美里
百江なぎさ:阿澄佳奈
スタッフ
原作:Magica Quartet
総監督:新房昭之
脚本:虚淵玄(ニトロプラス)
キャラクター原案:蒼樹うめ
監督:宮本幸裕
キャラクターデザイン:岸田隆宏、谷口淳一郎
総作画監督:谷口淳一郎、山村洋貴
エフェクト作画監:橋本敬史
副監督:寺尾洋之
異空間設計:劇団イヌカレー
異空間美術:南郷洋一
美術監督:内藤健(stちゅーりっぷ)
美術設定:大原盛仁
色彩設計:日比野仁、滝沢いづみ
ビジュアルエフェクト:酒井基
撮影監督:江藤慎一郎
編集:松原理恵(瀬山編集室)
音響監督:鶴岡陽太
音響制作:楽音舎
音楽:梶浦由記
主題歌:「カラフル」ClariS、「君の銀の庭」Kalafina
挿入歌:「misterioso」Kalafina
アニメーション制作:シャフト
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion
浅野いにお(あさのいにお)
1980年9月22日茨城県生まれ。2000年、ビッグコミックスピリッツ増刊Manpuku!(小学館)にて「普通の日」でデビュー。2001年、月刊サンデーGENE-X(小学館)の第1回GX新人賞に「宇宙からコンニチハ」が入選、翌年より同誌で「素晴らしい世界」の連載を開始。個々の短篇からひとつのストーリーを紡ぎ出す構成力と抒情的な作風に定評があり、週刊ヤングサンデー(小学館)にて連載された「ソラニン」は、バンド経験を持つ作者によるインディーズバンドのリアルな心理描写で人気を博し、映画化もされた。2013年まで、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて「おやすみプンプン」を連載。