“逆さんまさん”やってます
──ちなみにアフレコでは、ほかのキャストさんとの絡みはあったんでしょうか。
今のところアフレコ自体はどなたともご一緒できてはいないんですけど、自分が出ないシーンのアフレコの見学はさせていただきました。プロの方のアフレコを間近で見るのも初めての経験だったので、私は見てるだけなのにカチコチに緊張してしまって(笑)。そしたら皆さんが気を遣って、休憩中にすごくたくさん話しかけてくださったんです。
──そこでどんなお話を?
台本に書き込むメモのお話とか、「この言葉、発音しにくいんだよね」みたいなお話とか……私、プロの声優さんはどんな言葉でもサラッと言えちゃうものだとばかり思っていたので、すごく驚きました。「プロの方でも、言いにくい言葉とかあるんですね!」って。そんな貴重なお話も聞けて、とても楽しかったです。
──ほかに何か印象に残っている出来事はありましたか? アフレコ中のことでも、準備段階のお話でもいいんですが。
最初に家で台本を読んでいたとき、自分の声がどんな声なのかを全然イメージできなかったんです。自分に聞こえてる声と周りに聞こえてる声ってけっこう違ったりすると思うんですけど、「そういえば自分の声をちゃんと聴いたことってなかったな」とそのとき気がついて。セリフを練習するときに自分で録音して聴いてみたりもしたんですけど、「わ! 変なの!」ってなりました(笑)。
──なるほど(笑)。一般的には“あるある”ですけど、田村さんのように表に出る仕事をしている方が自分の声を聴いたことがないというのは、比較的珍しいケースなのでは?
そうだと思います。なんか、自分が出ている映像とかを観るのがどうしても恥ずかしくて(笑)。グループでやっている「乃木坂工事中」などの番組はもちろん観るんですけど、自分がしゃべっているところだけ飛ばして観たりするくらいで……。
──自分の出番しか観ないことで有名な明石家さんまさんの逆パターンってことですね。
あははは、そうですね! 逆さんまさんやってます(笑)。今回はその恥ずかしさをぐっと抑えて、自分の声とがんばって向き合いました。
これはプロの仕事だ
──アフレコを経験してみて、改めて声優業とはどんなお仕事だと感じましたか?
今までにも舞台やドラマでお芝居をやらせていただいたことはあるんですけど、顔の表情や体の動きなどを使わずに、声だけで感情を表現することの難しさを痛感しました。しかもアフレコの段階ではまだ映像が完成していないことが多いので、あまり動かない線画の映像に合わせてお芝居をするんですけど、キャラクターの細かい表情や動きがしっかり見えない状態で声を入れるのが本当に難しくて……! 映像から感情を読み取れない分、プロの皆さんは原作を徹底的に読み込んだり、想像力で補ってお芝居をされるんですよね。アフレコを見学させていただいたときは、「これはプロの仕事だ……!」と感動しながら拝見していました。
──確かに、声優さんならではのかなり特殊な能力ですよね。
本当に! それこそセリフがないところでも、息遣いだけで「笑ってるんだな」とか「悲しいんだな」とか「戦ってるんだな」とかがありありと伝わってくるじゃないですか。台本には「……」としか書いていないところでもしっかりお芝居をされていたりして、「『……』って、無音じゃないんだ?」みたいな(笑)。あと、ほかのキャラクター同士がしゃべっているときにうしろでリアクションを取る演技もされていたりとか……私はまだ言われた通りに声を出すことしかできないので(笑)、そんなふうにたくさんの細かい工夫を積み重ねながらキャラクターに命を吹き込んでいるのが本当にすごいなと思いました。尊敬の気持ちでいっぱいです。
──ちなみに、今回のキャストに限らずでいいんですが、演技の参考にした声優さんや昔から憧れていた方などは誰かいますか?
私が声優に興味を持ったきっかけは、水樹奈々さんなんです。水樹さんの声は本当に魅力的だなと感じますし、歌手としても大好きで、初めて自分でお小遣いをためて買ったCDも水樹さんの曲でした。それに、もともと私は「プリキュア」シリーズにはあまり触れずに育ったんですけど、「ハートキャッチプリキュア!」に関しては水樹さんが出演されているからという理由で観てましたし。
──完全に声優オタクの見方ですね。
はい(笑)。それくらい、ずっと憧れている声優さんですね。
──今回初めて声優を経験してみて、「今後こういう役も演じてみたい」という思いなどは生まれましたか?
今回のキャメラット君に関しては、最初にご説明いただいたときに「ちょっと少年っぽい感じ」というふうに伝えられたんですね。でも私自身があまり少年声ではないので、もし次の機会があるなら女の子の役とかもやってみたいな、とはちょっと思いました。
──まっすぐ人間の女の子役を。
そうですね(笑)。まっすぐに演じられる役をぜひやってみたいです。
──こういう個人でのお仕事は、グループでの活動とはやはり意識がだいぶ違いますよね?
違いますね。グループ活動の場合はフォローしてくれるメンバー、支えてくれるメンバーが常にいてくれるので、ある程度自由にやれる安心感があるんです。それに対して個人仕事では、グループの名前を背負って1人で出ていく責任感も生じますし、もし何かあっても自分だけで解決しなければいけないので、より慎重にやらなきゃいけないなと思います。
──それができる自分でいたい、という思いも当然あるわけですよね。
そうですね。もともと私はあまり1人でなんでもできるタイプではないので、支えてもらえる立場のほうが気が楽ではあるんですけど(笑)。ただ、いつもその立場にいる分、1人になったときに「あのときああやって支えてもらったから、ということは今こうすべきなのかもしれない」みたいな考え方もできるようになりました。グループ活動での経験が、個人での活動にも確実に生きていると思います。
乃木坂46メンバーで“Aランクパーティ”を組むなら?
──そういう意味では、乃木坂46というグループはアニメでいうところの冒険者パーティのようなものだと言えると思うんですが……。
うんうん、まさにですね。メンバーそれぞれに得意なものがあって、そのみんなが力を合わせることで何かを成し遂げられる、という点ではまったく同じだと思います。
──乃木坂46というパーティにおける田村さんの役割を冒険職に例えるとしたら、アタッカー職、ヒーラー職、サポート職などのうち何になると思いますか?
……これ、自分で言うの恥ずかしいですね(笑)。えっと、私はけっこうファンの方から「まゆちゃんの声を聴いたらお仕事がんばれる」とか「元気になったよ」とか言ってもらえることが多いので……(もじもじしながら)ヒーラーかな?って思います(笑)。うふふふ。
──無理に言わせてしまってすみません(笑)。ちなみに乃木坂46のメンバーで“まゆたん的Aランクパーティ”を組むとしたら、誰をどの職として雇いますか?
そうですね……まず、アタッカーは4期生の弓木奈於で。彼女は突発的な攻撃力が高いというか(笑)、バラエティ番組とかでも先陣を切って突っ込んでいってくれる存在なので、かなり優秀なアタッカーとして働いてくれると思います。
──納得です。では、サポート職は?
サポートは誰かなあ……あ、3期生の梅澤美波さん! 普段からメンバーをすごく守ってくれるし、後輩を支える強い力を持っているので、梅澤さんがサポート職には適任だと思います。
──梅澤さんは万能職という感じもしますね。
確かに! 全部できちゃう(笑)。ヒーラーにもなれるし、アタッカーもできるし、割とオールラウンダーだとは思うんですけど。
──勇者みたいな(笑)。まあでも、言ってみればユークも似たようなものですからね。赤魔道士というサポート職ではありますが、なんでもできるリーダーで。
そうですよね。じゃあ梅澤さんがサポートで、あとは……。
──あとは遠隔攻撃系ですかね。魔術師とか。
魔術師は誰だろう? うーん……あーやかな? 5期生の小川彩ちゃん。最年少メンバーなんですけど、ケガさせたくないので、ちょっと後ろめの安全な位置で魔法を打っててもらおうかなって。詠唱してる姿も絶対にかわいいだろうなと思いますし。
──ありがとうございます。弓木さん、梅澤さん、小川さんと、ちゃんと3期生から5期生までまんべんなく選ばれているあたりがさすがです。
はい、バランスよく入れてみました(笑)。この4人だったらどんなダンジョンでも全部クリアできると思います!
──その様子を配信で観たくなりますね。
あははは、ぜひぜひ(笑)。
──では最後に、この記事を読む読者へ向けてこのアニメの見どころを教えてください。
私自身も最初に原作を読んだ瞬間からこの作品のファンになれたので、同じ気持ちを皆さんにも味わってほしいですね。とくにキャラクターがすごく魅力的で、絶対に推しが1人は見つかるような作品になっていると思います。主人公であるユークのカッコいい姿だったり、彼とパーティメンバーとのイチャイチャだったり(笑)、ちょっとキュンとするシーンなども楽しめる作品で……あ、あと! キャメラット君もすごくかわいいので(笑)、そこにも注目していただけたらうれしいです!
──確かに、普段あまりアニメを観ない方の場合はとくに「キャメラット君かわいい!」とかを入口にしてもらえるといいかもしれないですね。
まずはキャメラット君推しから入っていただいて(笑)。戦闘開始シーンにはだいたい出てきますし、実は次回予告も全部私が担当させていただくんですよ。本編にキャメラット君が登場しない話数でも最後には必ず出てきますので、絶対に毎週欠かさず観ていただきたいです!
プロフィール
田村真佑(タムラマユ)
1999年1月12日生まれ、埼玉県出身。2018年に4期生として乃木坂46に加入する。現在、TOKYO FM「ベルク presents 乃木坂46の乃木坂に相談だ!」にレギュラー出演中。