「ルックバック」劇伴を押山清高「スケールが程よい」と絶賛 主題歌の制作秘話明かす

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藤本タツキ原作による劇場アニメ「ルックバック」の公開記念舞台挨拶が、本日7月20日に2回にわたって東京・新宿バルト9で開催され、押山清高監督と劇中の音楽を手がけたharuka nakamuraが登壇した。本レポートでは、10時の回上映後に行われた舞台挨拶の模様をお届けする。

左から押山清高監督、haruka nakamura。

左から押山清高監督、haruka nakamura。

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「ルックバック」は自分のマンガに自信を持つ藤野と、同級生で不登校の京本、2人の少女がマンガに向き合い続けるさまを描く青春物語。6月28日に公開され、動員60万人、興行収入10億円を突破し、上映劇場を順次拡大している。

押山清高監督

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この反響について率直な感想を聞かれた押山監督は、「観てくださった方の口コミの力ってこんなにすごいんだなと、今回すごく実感しています。SNSなどにずっと張り付いてエゴサしているんですけど、追いかけきれなくて。皆さんしっかり観て感想を書いてくださっている。本当にありがとうございます」とコメント。nakamuraは「普段僕がアルバムを出しても感想は来ないんですけど、今回はモノづくりをしているクリエイターを中心にメールを送ってくれる人が多くて。やっぱり刺激されるところがあるみたいです」とにこやかに話した。

左から押山清高監督、haruka nakamura。

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音楽家という創作者の立場から見た「ルックバック」の感想についてnakamuraに質問が飛ぶと、押山監督は「聞いてみたい」と気になる様子を見せる。nakamuraは「監督も生活を度外視して向き合っていたという話を聞きましたが、自分もモノづくりをするときは1人で向き合う時間がすごく大切で。ただ共感しか、リスペクトしかなかったです」と完成した作品を観たときのことを述懐。それを聞いた押山監督はnakamuraに「机に向かって表現を突き詰めていくのってすごく孤独だし、周りのアニメーターがどんどん離れて行ってしまう、友達がいなくなってしまうような感覚に陥るんですが、そういうことってありますか?」と投げかける。青森県出身というnakamuraは、自身が幼なじみのバンド仲間と2人で上京したときのエピソードを披露。「彼とは音楽の方向性の違いとかいろいろあって1度離れて。今は青森でカレー屋さんを営んでいるんですけど、今回の映画とすごくリンクして心情が重なりました」と語りかけた。

左から押山清高監督、haruka nakamura。

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nakamuraに劇伴を依頼したきっかけについて尋ねられると、押山監督は「藤本(タツキ)さんが、『ルックバック』の執筆中にnakamuraさんの音楽を聴いていたという話を聞いたのがきっかけです」と発言。また藤本が「ルックバック」という作品に、どう向き合って描いていったのかを知るため、「絵コンテを描く段階からトレースするように意識した」と明かし、「そのときにnakamuraさんの音楽を聴いていたんですけど、僕も好きになって。メーカーさんからの後押しもあり、ぜひにと依頼しました」と続ける。nakamuraはオファーが来たとき、別のバンドメンバーから藤本作品の「チェンソーマン」を進められ、一気に読了した1週間後に「ルックバック」の依頼が舞い込んだという裏話を語った。

haruka nakamura

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「ルックバック」の劇伴を作るにあたっては、まず作品を象徴するような曲のアイデアをnakamuraがいくつか提案し、その中から方向性を決定。押山監督自らが仮でアフレコし、音楽を付けた“ビデオ絵コンテ”、音響監督の木村絵理子とともに作成した音楽のメニュー表を踏まえ、段階を踏んで綿密に打ち合わせを行ったという。美しい絵や風景、物語を読むと、一緒に音楽が聴こえてくるというnakamuraは劇伴の制作について、「最初『ルックバック』を読んだときに、雨の中で踊り出すシーンは強く音楽が聴こえていたので、最初の1曲目とそのシーン、ラストと自分の中にできた点をつなぐような形で、1曲目から順番に作っていこうと思っていました」と打ち明ける。楽曲の印象を問われた押山監督は、「2人の少女の青春を描いた作品でもあるので、スケールが大きすぎず小さすぎず、本当に程よい距離感というか。そういう曲を書いていただけて本当によかったです」と笑顔を見せた。

主題歌「Light song」に話がおよぶと、nakamuraはイメージとして「大きな意味で“賛歌”というか。メッセージとしてモノづくりをしている人の背中を押してくれるような“賛歌”な感じが僕の中にはありました」と思い返す。押山監督は「打ち合わせの際に『こういうイメージでお願いしたい』とnakamuraさんに伝えさせてもらったんですが、1発目であげてきていただいたものがもう素晴らしくて。それで行きましょうとなりました」と絶賛。また主題歌の歌詞については、いろいろな意味合いも込めて“あえて外した”と言い、「簡単にまとめられない、もう少しいろんな見方ができる作品だと思ったので、ああいうメロディみたいな歌声という形に落ち着きました」と明かした。

劇場アニメ「ルックバック」押山清高監督&haruka nakamuraが劇伴と主題歌の制作秘話明かす

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劇場アニメ「ルックバック」

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スタッフ

原作:藤本タツキ(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・キャラクターデザイン:押山清高
美術監督:さめしまきよし
美術監督補佐:針崎義士、大森崇
色彩設計:楠本麻耶
撮影監督:出水田和人
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音楽:haruka nakamura
アニメーション制作:スタジオドリアン
配給:エイベックス・ピクチャーズ

キャスト

藤野:河合優実
京本:吉田美月喜

※針崎義士の崎はたつさきが正式表記。

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(c)藤本タツキ/集英社 (c)2024「ルックバック」製作委員会

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Raghu Jat 🇮🇳 @RaghuJAT01

@comic_natalie 👍👍👍

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