1952年に少女マンガ家としてデビュー後、「ガラスの城」「聖ロザリンド」「悪女シリーズ」といった作品を執筆し、2006年に女性のマンガ家としては初めて旭日小綬章を受勲したわたなべ。1929年に生まれ、今年91歳を迎えるわたなべが週刊連載のペースで執筆する「秘密-ひめごと-」では、人間の欲や業を題材にしており、幸せな結婚をし何不自由のない暮らしをしていたはずの女性・美也が、中学の同級生・糸子と再会したことをきっかけに、その人生を狂わされていく様子が描かれる。
わたなべは「この作品を作るにあたって、生まれついての悪女を描いてみたかった。人の倖せを見ると、破壊せずにはいられない哀しい性の女。でも、描きすすめる内に、糸子の心の傷を思うと、悪女にしきれなかった事が、かえってよかったかな、とホッとしています。皆様が、よろこんで下さると、いいのですけれど…」とコメントを寄せた。
わたなべまさこコメント
この度、長いページのお仕事をいただいて、毎日、机の前に座るのが、本当に嬉しく、アシスタント達の助けを借りて「秘密-ひめごと-」を無事に、仕上げる事が出来ました。この作品を作るにあたって、生まれついての悪女を描いてみたかった。人の倖せを見ると、破壊せずにはいられない哀しい性の女。でも、描きすすめる内に、糸子の心の傷を思うと、悪女にしきれなかった事が、かえってよかったかな、とホッとしています。皆様が、よろこんで下さると、いいのですけれど…
私が、マンガを描きはじめた時、生まれた息子がもう67歳のオジン…。したがって、私もマンガ家生活67年のオバンになりました。ふりかえれば、山あり谷ありの年月でしたが、マンガを描く事が、つらいと思った事は一度もないんです。不思議でしょ。
ねぇ、私って欲張りなのでしょうか? 描きたいマンガのストーリィが、まだスケッチブックに何冊もたまっているのです。一つの作品を作り上げていく事の、至上の楽しさ。一生をマンガに、たずさわって生きてゆける事の幸せ。
こんな人生をあたえて下さった神様、佛様に、そしてファンの方々に、心から感謝しています。2020年4月2日 わたなべまさこ
今井孝昭マンガMee編集長(担当編集)コメント
わたなべ先生は亡くなられた手塚治虫先生と、ほぼ同世代の生まれです。私が入社するずっと前から、今日まで第一線でご活躍されてきました。今回原稿をお願いするにあたり、毎週更新のマンガアプリなので、無理を承知で週刊連載をお願いしました。先生ご自身はスマートフォンを利用していませんが、アプリやマンガMeeの作品購読の仕組みを説明させていただくと、すぐにご理解いただけました。アプリに適した内容ということで、今回先生からは二つの作品案をいただきました。その1本が、今回の「秘密-ひめごと-」という作品です。業を背負って生まれてきた人間と、業とは一見無縁にある人間が、恐ろしくも哀しい感情の糸で結ばれ、悲劇を生み出していく物語です。ぜひ最後までお楽しみください!
古市憲寿 @poe1985
マンガMeeで読んだ!なかなか興味深かった。きちんとスマホも出てきた。
→
91歳迎えるわたなべまさこがマンガMeeで週刊連載、人間の欲と業を描く(コメントあり) https://t.co/6k5KZ0Usea