篠井英介がオンチで可憐な歌手に「Glorious!」開幕

篠井英介が主演を務める「Glorious!」（グローリアス!）が、本日8月18日に東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて開幕する。

脚本をピーター・キルターが手がけた本作は、実在の歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンズの実話にもとづいたコメディ。ニューヨークを舞台に、オンチと評されながらも歌を愛し続け、ソプラノ歌手になる夢をあきらめないフローレンスの姿を描く。演出は鈴木勝秀が担当。

劇場に足を踏み入れると、まず目を引くのはきらびやかな舞台美術。大きな花を飾ったソファが中央に、部屋の隅にはピアノが置かれている。そこへ水田航生演じる若手ピアニストのコズメ・マクムーンが登場。彼は篠井演じるフローレンスにレッスンを依頼され、彼女の邸宅を訪れたのだった。はじめは渋々レッスンを引き受けたコズメだったが、徐々にフローレンスの不思議な魅力に気付き、彼女が心から音楽を愛していることを理解し始める。フローレンスもまたコズメに心を許し、2人は信頼関係を築いていく。

篠井は、オンチにもかかわらず自信たっぷりに歌うフローレンスを可憐に表現。ゴージャスな毛皮のコートやバラをあしらった情熱的なドレス、背中に天使のような羽根がついたドレスと、シーンごとに変わる豪華な衣装も着こなし、女形の本領を発揮している。一方の水田はそのオンチっぷりに驚かされつつも、レッスンを引き受けてしまうコズメをときにスマートに、ときにコミカルに演じる。

また彩吹真央は、フローレンスの屋敷で家政婦として働くメキシコ人のマリアを飄々と演じる。スペイン語を話すマリアは、英語が少ししかわからないため、フローレンスと意思の疎通がうまく図れない。マリアの豪快な身振り手振りには、観客から笑いがこぼれた。さらにフローレンスの友人で理解者であるドロシーと、フローレンスの歌にクレームを入れ、抗議するミセス・ヴェリンダー・ジェッジという正反対の役も演じ分け、表現の幅を見せた。

周囲からバッシングを受けながらも、音楽の力を信じて突き進むフローレンスとコズメ。そんな2人にある日、カーネギーホールでの公演の知らせが舞い込んで……。上演時間は約1時間45分。公演は9月15日まで東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて行われ、以降、東京・江東区文化センター ホール、石川・北國新聞 赤羽ホール、富山・富山県民会館ホール、大阪・サンケイホールブリーゼ、神奈川・杜のホールはしもと ホールを巡演する。