ナタリー PowerPush - モーモールルギャバン
J-POPシーンの異端児が放つ 全力投球アルバム「BeVeci Calopueno」
俺、変態ぶってるけどあんまり変態じゃない
──そうやってポップに賭けるすごみを自分たちも体現したいと思ったんですか?
ゲイリー 「自分たちにできるものは何か?」って考えたときにこれだったんですよね。もともとひねくれ者なんで、大学時代はジャズとかプログレとかにも没頭していて。
──それもまた音に出ていますよね。
ゲイリー はい。ROVOとかDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENとかにも憧れてたなあ。そういう人たちにすごく憧れて。でも、それってないものねだりだったんです。だんだん「自分にはこういう才能はないな」ってビシビシ感じるようになって。
ユコ 憧れはあったんだけどね。
ゲイリー 俺、変態ぶってるけどあんまり変態じゃないなって。
──そうかあ?(笑)
ゲイリー あははははは(笑)。
ユコ それってテクニック系の変態っていう意味で?
ゲイリー テクニック系の変態っていうか、やっぱり、ゆらゆら帝国とかも突き抜けていたじゃないですか。ホントにああいう景色が見えて、ああいう歌詞を書いてるんだろうなってわかる。でも、俺にはそれはできないなって思ったんですよね。20代前半のころは特に自分のできないことばかりにずーっと憧れていたんです。で、「俺にできることはなんだろう?」って目を向けたときにモーモールルギャバンというバンドができて、こういう音楽が生まれて。すごくJ-POPなんだけど、でもちゃんとカッコいいロックでもありたくて。遊び心と悪ふざけは忘れずに。あと、モンスターのような演奏であったり。「あれはできないけど、これならがんばればできるかもしれない」って個人的に思ったのがモーモールルギャバンなんです。
──ある種のコンプレックスや行き詰まりを超えていって、自分ができることだけを突き詰めたら発明のようなポップミュージックが生まれたっていう。
ゲイリー そんなたいしたものでもないんですけどね(笑)。
最終的にポップスに辿り着いた
──ユコさんとマルガリータさんはそのあたりどうですか?
ユコ 自分にできることで最大限の効果を出すというのは同感です。自分が聴いてきた音楽で今の自分はできあがっているので。自分はピアノをやっていたので、クラシックから始まっていて。で、それから流行りの音楽も聴きだして、大学時代は昔のロックやジャズも聴いて、またそれに憧れを抱いて。ひととおりやってきて、最終的に自分ができることってジャズじゃないって思ったし、結局ポップスだったんですよね。
──聴いてきたいろんな音楽の濃い部分も失わずにポップスに落とし込むというか。
ユコ そうですね。聴いてきた音楽のカッコいいと思った部分、憧れていた部分は継承したいし、表現したいっていう思いがありますね。
マルガリータ 僕も昔からほとんどJ-POPしか聴いてなくて。
ゲイリー X JAPANってJ-POP?(笑)
──世界的なJ-POPだと思います。
ユコ 彼はコアなX JAPANファンなんですよ。
マルガリータ そう。X JAPANも含め邦楽しか聴いてこなくて。大学のサークルに入って、いろんな音楽をやっている人と出会って、いろんな音楽を聴くようになったんです。でも、当時あんまり洋楽は受け入れられなかったんですよね。卒業してからですね、QUEENの良さとかがわかるようになったのは。だから、もともとポップなものがいちばん好き。
CD収録曲
- UWABURN
- BeVeci Calopueno
- Hello!! Mr.Coke-High
- ATTENTION!
- 変な人
- ワタシハワタシ
- Smells like SURUME!!
- 821
- パンティくわえたドラ猫の唄
- Kitchen
- 愛と平和の使者
- rendez-vous
- 美沙子に捧げるラブソング(※初回限定盤のみ収録)
初回限定盤特典内容
初回限定盤には特典として「モーモールルギャバン直筆の絵やコメントが入っているかもしれないオリジナルフォトカード」封入。
モーモールルギャバン
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ・カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2009年3月にFM802主催の「MUSIC CHALLENGE 2008」でグランプリを獲得し、同年11月に初の全国流通作品となるアルバム「野口、久津川で爆死」をリリースする。2010年1月には第2回CDショップ大賞関西ブロックを受賞。同年6月にミニアルバム「クロなら結構です」をビクターエンタテインメント内のレーベル、Getting Betterからリリースした。