音楽ナタリー Power Push - モーモールルギャバン
最新作でアピールする「活動休止のすすめ」
今年3月に約10カ月の活動休止期間を経て再始動したモーモールルギャバン。復活の狼煙を上げるニューアルバム「シャンゼリゼ」は、よりキャッチーな響きが際立つようになった歌やそれを過不足なく補填するアレンジなど、確かな変化を感じさせる内容になっている。どうやら活動休止期間がバンドにもたらしたポジティブな効果はとても大きかったようだ。メンバー3人に話を聞いた。
取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 塚原孝顕
楽器から離れても音楽を辞めることは絶対にない
──休止中は自由な時間を満喫できましたか?
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo) もう毎日飲み歩いてました。クズのように。
──音楽のことはまったく考えず?
ゲイリー 音楽のことは頭の片隅に置きながら、なんとなくiPhoneに思いついたメロディを吹き込んだり、歌詞らしきものをメモしていたんですけど、基本的にはずっと飲んでましたね。川のほとりで寝て、友達に置いていかれたり。
──大学生みたいな飲み方ですね。
ゲイリー そうですね。ある程度、酸いも甘いも知った大学生ほどタチの悪いものはないですよね。
──でも、毎日酒を飲んで散財していたら金もなくなりますよね。
ゲイリー 借金しました。開き直ってましたね。
──借金してまで飲んでたんだ。
ゲイリー もちろん、飲むためだけじゃないですよ? 海に行ったり、琵琶湖に行ったり、島に行ったり、海外に行ったり。借金して遊びまくってましたね。
ユコ=カティ(Key, Vo) 私も、借金はしなかったけど、貯金を食いつぶして遊んでましたね。旅行にもけっこう行ったし。「普通の遊びひさびさー!」とか言いながら。
──楽器を触ることもなく?
ユコ まったく。それは自分の中で決めて、あえて触らなかったんです。触りたくないというより、距離を置いたほうがいいなと思って。楽器から離れたからといって、音楽を辞めることは絶対にないし。だから、離れることの不安はなかったですね。
ゲイリー そういう意味では僕なんか偉いですよ。カラオケのある飲み屋でちゃんと自分の歌を歌ってましたからね。「お兄ちゃん、歌うまいね!」って言われて「ホントですか? 一応、これ僕の歌なんですよー!」とか言いながら(笑)。
──ゲイリーさんは、ドラムは叩いてなかったんですか?
ゲイリー ちょいちょいですね。デモ音源の前の、デモのデモのデモみたいなものは作っていたので。そのためにドラムはちょいちょい叩いてました。
──マルガリータさんは?
T-マルガリータ(B) 僕はもう、家に引きこもってるか、実家に帰ってるかでした。音楽からも離れてましたね。ベースにも触らず。
ユコ ずっとゲームしてたんでしょ? すごいよね。
マルガリータ 何が?
ユコ ずっと家にいるなんて無理。
マルガリータ でも、ゲームばっかりやってると、最初は楽しいけど落ち込んでくる。
ユコ 落ち込んだらどうするの?
マルガリータ それでもゲームする(笑)。落ち込み切って活動再開できた感じです。
人から褒められないとモチベーションが上がらない
──スタジオにはいつ頃入ったんですか?
ゲイリー 去年の12月からですね。「いい加減ちゃんと曲を作らないとヤバくね?」ってなって。
ユコ その前に一度9月にも集まったんですけど、そのときは話をするだけで。上京するとか。
──あ、皆さん京都から上京したんですか?
ユコ そうなんです。去年の末に。で、上京してからスタジオに入って制作を始めた感じですね。
──ひさしぶりにスタジオに入ったときの感触はどうでしたか?
ユコ うーん……。
ゲイリー 「ああ、また始まったな」って。「やりますか」って感じ。
──3人で音を出して気持ちいいなっていうこともなく?
ゲイリー あ、そういうのはないです。
ユコ そういうのは全然なかったよね。
ゲイリー ただ、がんばってよかったなって思えたのは、先日、完成したアルバムの音源をタワレコで先行試聴してもらう期間があって。Twitterでリスナーの反応を見て「あ、活動再開してよかったな」って素直に思いました。復活ライブ(参照:モーモールルギャバン、結成の地・京都で復活)をやったときもそう。俺ね、基本的に人から褒められないとモチベーションが上がらないタイプなので。
──当然だけど、休んでたら褒められないしね。
ゲイリー そうなんですよ。休んでるときは自分で自分を「お前という人間はこれほど無価値なニートなんだ! 借金までしてこのクソ野郎!」って罵って、またそういう自分に甘んじるという感じでしたから。
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収録曲
- さらば人類
- クレイジーベイビー
- ナイトメアダンス
- 紅のベッド
- 000
- あなたに
- ザ・ラストトレインスター
- ハイパーライター
- N
- バイララ
モーモールルギャバン Tour 2015
“Would you be my friend?”
~Champs-Elyseés de ツーマン~
- 2015年9月11日(金)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2015年9月13日(日)京都府 磔磔
- 2015年9月18日(金)群馬県 高崎Club FLEEZ
- 2015年9月19日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-3
- 2015年9月21日(月・祝)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2015年9月23日(水・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2015年9月25日(金)宮城県 仙台MACANA
- 2015年9月27日(日)岩手県 the five morioka
- 2015年10月2日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2015年10月4日(日)静岡県 Sunash
- 2015年10月9日(金)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2015年10月11日(日)福岡県 DRUM Be-1
- 2015年10月12日(月・祝)香川県 DIME
- 2015年10月17日(土)熊本県 B.9 V2
- 2015年10月18日(日)鹿児島県 SR HALL
- 2015年10月22日(木)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2015年10月24日(土)愛媛県 松山サロンキティ
- 2015年10月25日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2015年11月2日(月)広島県 SECOND CRUTCH
- 2015年11月3日(火・祝)島根県 松江 AZTiC canova
- 2015年11月6日(金)新潟県 CLUB RIVERST
- 2015年11月7日(土)石川県 vanvan V4
~ ワンマン á Tokyo et Osaka ~
- 2015年11月15日(日)大阪府 BIGCAT
- 2015年12月12日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
モーモールルギャバン
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ=カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2009年11月に初の全国流通作品となるアルバム「野口、久津川で爆死」を、2010年6月にミニアルバム「クロなら結構です」をリリースする。その後、「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」「BeVeci Calopueno」という2作のフルアルバムやシングル「LoVe SHouT!」を発表。2014年5月より制作に集中するためライブ活動を休止するが、2015年3月からのツアー「蘇る無茶と野獣ツアー2015」でライブを再開。2015年6月にレーベル移籍後第1弾作品にして3年3カ月ぶりとなるフルアルバム「シャンゼリゼ」をリリースした。