ナタリー PowerPush - モーモールルギャバン
J-POPシーンの異端児が放つ 全力投球アルバム「BeVeci Calopueno」
ギターが抜けたことで認識した自分の音
──ギターレスになってバンドの音もかなり変質したと思うんですけど。ユコさんの負担も大きくなっただろうし。
ユコ 私のスタンスはかなり変わりましたね。ギターがいたころは、ギターがメインで全体の空気感をギターに任せていたんです。自分はサポートするような立ち位置で。
──今みたいに多彩な音色を出すこともなく?
ユコ 全然なかったですね。後ろで地味な仕事をしている感じで。でも、ギターがいなくなって、私が(上モノを)100%担うことになったときに「自分が出したい音って何だろう?」って考えるようになったんです。そのあたりからようやくバンドマンとしての自分に向き合い出したのかもしれないですね。
──それからギターのような音色もキーボードで出すようになったんですか?
ユコ はい。ギターがいなくなったから、ギターがやっていたことを補わないといけなくなったんですけど、すぐにライブの予定が入っていたんですね。ライブに穴を開けるわけにはいかないと思って、メンバーに「ちょっとエフェクター買ってくるわ!」って言って(笑)。そうやって成り行きから始まったんですけど、やってみたら面白くて。今までやったことのないアプローチだったから。
3人になって「これだな」って感じた
──今は3人全員がフロントマンみたいな感じですよね。
ユコ 3人になってひとりにかかる比重がドン!って増しましたね。4人と3人では全然違う。3人になってから何も隠しごとができなくなったんですよ。でも、景色がすごくスッキリしたんです。いる音、いらない音もわかって。
──おそらくそこでグッとオリジナリティも高まったんだと思うし。モーモーはずっとこの3人であってほしいですね。
ユコ まあ、たまにギターがいてもいいかなと思うときもあるんですけどね(笑)。
ゲイリー 「そよ風のようなギターを弾くもやしのような人がいたらいいね」ってみんなで話していて(笑)。完全に空気なんだけど……。
ユコ でも、いないと物足りないみたいな。そんな人はなかなかいないと思いますけどね(笑)。
──マルガリータさんは3人になってどうでしたか?
T-マルガリータ(B) 僕もスッキリして「あ、これだな」って感じましたね。
振り切ったバンドになりたい!
──初めて3人でやった最初のライブも手応えがありましたか?
ユコ あのライブは絶対忘れられないですね。ドキドキもありつつ、すごくフレッシュで。すっごい“音楽”があったんですよ、そこに。それは今でも鮮明に覚えてます。
──その日のライブが原点になった。
ユコ そうですね。あの感覚は忘れちゃいけないし、忘れられないと思います。
ゲイリー しかも3人になっていきなり2日連続でライブがあったんですよ。大阪と京都で。両方ともホームのようなハコで。スタッフの人たちにも親身になって相談に乗ってもらっていたんですけど、両方のハコで「3人もいいね!」って言ってもらえたんです。当時僕は自分の感覚に全然自信を持てていなかったんですけど、そう言われて、いけるんじゃないかと思いましたね。
──3人とも実はテクニカルなプレイヤーではあるんだけど、テクニックを高尚なものとして表現しないですよね。それにも勝る衝動と遊び心で勝負をしていて。
ゲイリー そこを失ったら絶対ダメだと思うんですよ。僕は中学のときからQUEENとかTHE BEATLESとかLED ZEPPELINとか聴いていたんですけど、やっぱり彼らのように振り切ったバンドがカッコいいなと思ってきたし。
──モーモーもそういう振り切った衝動と遊び心を音楽に注いでいますけど、それをポップに落とし込んで「自分たちはJ-POPバンドだ」と言いますよね。それが痛快だなと思うんです。
ゲイリー 日本の音楽も古いものが結構好きなんですけど、昔から日本の音楽のいいところってポップな部分だと思うんですよ。ユーミンにしろ、はっぴいえんどにしろ。山口百恵さんとかもカッコいいんですよね。今聴いても「当時の山口百恵って世界と張り合えるよな」って思うし。
CD収録曲
- UWABURN
- BeVeci Calopueno
- Hello!! Mr.Coke-High
- ATTENTION!
- 変な人
- ワタシハワタシ
- Smells like SURUME!!
- 821
- パンティくわえたドラ猫の唄
- Kitchen
- 愛と平和の使者
- rendez-vous
- 美沙子に捧げるラブソング(※初回限定盤のみ収録)
初回限定盤特典内容
初回限定盤には特典として「モーモールルギャバン直筆の絵やコメントが入っているかもしれないオリジナルフォトカード」封入。
モーモールルギャバン
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ・カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2009年3月にFM802主催の「MUSIC CHALLENGE 2008」でグランプリを獲得し、同年11月に初の全国流通作品となるアルバム「野口、久津川で爆死」をリリースする。2010年1月には第2回CDショップ大賞関西ブロックを受賞。同年6月にミニアルバム「クロなら結構です」をビクターエンタテインメント内のレーベル、Getting Betterからリリースした。