桑田佳祐「MUSICMAN」 アルバムレビュー
アルバム試聴会にご来場の皆さんから感想コメントをいただきました!
桑田佳祐9年ぶりのソロアルバム「MUSICMAN」がついにリリースされる。桑田は昨年夏のレコーディング中に自身の病気を公表。治療に伴う制作中断と発売延期を経て、ファン待望のこのアルバムを完成させた。活動休止のニュースは瞬く間に全国に広がり、国民的アーティストとしての桑田の存在を改めて裏付けるものとなったが、本作はそうした評価をさらに高めるハイクオリティな内容。近年希に見る超大作のロックアルバムに仕上がっている。
アルバムは、辛辣なメッセージソング「現代人諸君!!(イマジン オール ザ ピープル)」から幕を開け、桑田の音楽のルーツを描いたとも取れる、ラストナンバー「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」まで、全17曲をあっという間に駆け抜ける。ロマンチックなラブソングあり、ディープなブルースナンバーあり、“桑田節”全開で彩られた楽曲の数々は、そのひとつひとつがほかの誰にも真似のできない圧倒的な名曲だ。
「君にサヨナラを」「本当は怖い愛とロマンス」といったポップなシングルチューンが軽やかに鳴らされる一方、ソロ作品ならではのシリアスなメッセージも強烈にアピール。サザンオールスターズが奏でるのが“みんなのうた”だとするなら、ソロの桑田が鳴らすのは“桑田自身の歌”だ。そしてその桑田の魂が、確かな普遍性を持って受け手の胸に突き刺さってくる。
音楽を愛し、この時代に生きるすべての人へ──。このキャッチコピーが決して大げさではないことは、アルバムを聴けばすぐにわかる。「音楽が好きでよかった」と思える1枚。年齢も性別も飛び越えて、多くの人の耳に届いてほしい。
大山卓也(ナタリー編集長)
収録曲
- 現代人諸君(イマジン オール ザ ピープル)!!
- ベガ
- いいひと ~Do you wanna be loved ?~
- SO WHAT ?
- 古の風吹く杜
- 恋の大泥棒
- 銀河の星屑
- グッバイ・ワルツ
- 君にサヨナラを
- OSAKA LADY BLUES ~大阪レディ・ブルース~
- EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~
- 傷だらけの天使
- 本当は怖い愛とロマンス
- それ行けベイビー!!
- 狂った女
- 悲しみよこんにちは
- 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
初回限定盤DVD収録内容
- アルバム「MUSICMAN」の楽曲が生み出される制作現場に密着したドキュメント映像や、ミュージックビデオの撮影風景に加え、新たに撮り下ろした楽曲を含む、ミュージックビデオ6曲を収録!!
初回限定盤BOOK収録内容
- "MUSICMAN'S NOTE" 桑田佳祐本人による全曲セルフライナーノーツ、最新インタビューを収録!! さらに、参加ミュージシャンやエンジニア、スタッフによる、ここでしか知り得ないレコーディング秘話も掲載。全104ページに及ぶボリュームで、アルバム「MUSICMAN」を追求!!
桑田佳祐(くわたけいすけ)
1956年2月26日生まれ。神奈川県茅ケ崎市出身。
1978年サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」でデビュー。デビューして以来フロントマンとして、またソロアーティストとして常に日本のミュージックシーンのトップを走り続けている。
ソロ名義では、1987年リリースの「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」で活動を開始。以降ソロ活動も精力的に続けており「波乗りジョニー」「白い恋人達」「明日晴れるかな」などヒット曲も多数。2011年2月23日には約9年ぶりのオリジナルソロアルバム「MUSICMAN」をリリースする。
3. いいひと ~Do you wanna be loved ?~:タイトルとのギャップにびっくりしましたが、すごくかっこよくて大好きです!!!
14. それ行けベイビー!!:元気になれます。桑田さんに応援していただいている気分になれて、落ち込んだ時にも聞きたいです。女の子はスマイルなんですね。がんばります。
17. 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト):毎晩寝る前に聞きたいです。歌詞がすごく染みて、ウルっとしてしまいました。「明日は今日より素晴らしい」というのが好きです。
全曲本当にすばらしくて、70分あっという間でした。発売されたら、1曲1曲大切に、考えながら聞きたおしたいです。(皆藤愛子)
アグレッシヴなノスタルジーがずっと桑田くんの持ち味。
それが全面開花したことを感じました。
17曲目の詞は僕も胸が張り裂けた。(平山雄一)
ご本人おっしゃるように
本当に「境地」に達したアルバムだと思いました。
すばらしいです。(ロッキング・オン RO69 兵庫慎司)
甘い未来を想像できないからこそぼくに必要なのは現代人(イマジン)のシンボル桑田!
こんな時代でも桑田さんにとってはテーマの宝庫。
また桑田さんに背中を押された。
学生の頃サザンを聴いた時のように。
あの頃は海へむかいながら聴いたがこのアルバムは家へ帰る車の中で聴くだろう。
同じように元気をもらいながら。
桑田さん、ありがとう!!(ニッポン放送 垣花正)
MUSICMANは現代の「魏志倭人伝」のようだった。
日本の社会、景色、そして日本人のすべてが丸裸。痛快!
遠い未来で、語り草となる作品だろう。
そして今、僕らの住む日本には「桑田佳祐」という“ミスターMUSICMAN”がいることに改めて感謝!!(TOKYO FM 編成部 宮野潤一)
「MUSICMAN」というタイトルに象徴されると思うが、このアルバムを聴くと、桑田さんが音楽人として、日本の音楽シーンを引っ張ってきたエンターテイナーとして、そして日本で生きる55歳を迎える大人として、親として、そして男としての責任みたいなものを背負い、伝えようとしているように思えてくる。
怒り、悲しみ、愛情、優しさ、欲望、あらゆる感情が詰め込まれた、強烈な一曲一曲に、感情をぐらんぐらんに揺さぶられて迎える17曲目。
最後の「月光の聖者達」を聴いたとき、なぜかすべてを受け止めて許してもらえたような気持ちになって、涙があふれてくる。
とてつもない1枚を、ありがとうございます。(東京エフエム音楽出版株式会社 藤村裕紀)
“今さらLove&Peaceは無い”と来てびっくり。確かに世の中は矛盾にあふれてて、未来が見えない。
そんな時こそ、“音楽”が必要だし、“MUSICMAN”の出番だ!
「それ行けベイビー!!」はそんな宣言に聞こえました。
深いアルバムです。何度も聴きたい。(J-WAVE 吉村隆宏)
よく「20代のうちに読むべき本」みたいなものを目にしますが、この桑田さんのアルバムはまさに「20代のうちに聴くべきアルバム」です。
現代社会を投影した歌、男女の性(さが)をリアルに伝えている歌、自分や友人に向けての応援歌…。
今年55歳になる桑田さんからの17のメッセージは、今年30歳になる私の頭と心にぐさっと刺さりました。
言うならば、迷った時や困った時に背中をぽんっと押してくれる心強い参考書のような。
仕事も恋愛も、大人になればなるほど難しくなっていく中、自分の答えを見つけることができるヒントをくれるアルバムでした。
ぜひ自分より下の世代にも全曲通して聴いてもらいたいです。(株式会社スペースシャワーネットワーク 多田絵美)
必ず帰ってくると思っていた。
そしてもちろん、帰ってきた。
期待通りの音、声、詞、メロディーで。
そして、それと同時に生まれ変わっていた。
予想しえなかった世界がここにあった。
色鮮やかなフルカラー、
キツイコントラストのモノクローム、
ぼんやりかすんだセピアカラー、
一曲一曲が、ロードムービーのように、心に刺さる。
これは、まるで、“命がけの劇場型完全犯罪”だ!
桑田さんと同じ時代を生きていられることに心から感謝します。(Sha-la-la Co. 金田恒夫)
全体を通して、これまでの色んな時代を思い出す様な、桑田佳祐の魅力がたくさん詰まったアルバムだと思う。
その中で、我々桑田世代には刺さるのは、少し落ち着ける、男の哀愁をベースに感じるメロディ、歌詞、そして桑田佳祐ならではの歌い方だ。
全体的なアレンジは、古き良き音色を大事にしているのも印象的だ。
昨年の病気を思えば、「君にサヨナラを」の様な生と死を意識したものも感じることは多いし、「OSAKA LADY BLUES ~大阪レディ・ブルース~」の様な相変わらずの桑田節もあり、「傷だらけの天使」に背中を押され、涙さえこみあげてきた。
とにかく名曲ぞろいの最高傑作であるのは間違いない。(EMTG MUSIC 佐藤元)