和、いけるな！

──まず驚いたのが、シングルの表題曲のタイトルに漢字が入っていたことなんですが……。

メイリア　そうなんですよ！

──今までカップリング曲で「人魚姫」など日本語のタイトルはありましたけど、表題曲はずっと英語でしたよね。

toku　今回は意図的に漢字にしたんです。

メイリア　ずっと和をテーマにした曲をやりたいと思ってたところ、ちょうどエンディングテーマを担当することになったアニメ「クオリディア・コード」の神奈川編の登場キャラクターが刀を使うという話を聞いて。それで「和、いけるな！」と。

──“和”をやってみたかった理由はなんだったんですか？ 和装のビジュアルも初めてですよね？

メイリア　まずはファッションに興味があったっていうのと、海外でライブする機会が増える中で、海外に行くとより日本の文化の魅力を改めて感じることがあって。日本にいるときよりも「日本ってこんな文化あったよな」って思ったりして。そういうこともあって、自分たちでも和装のアートワークをやりたいなと思ってタイミングを探っていたところ、今回ならできる感じだったので挑戦しました。

──つまり、メイリアさんの和装をやってみたい、ビジュアルを見せたいっていうアイデアから曲が生まれた感じですか？

メイリア　ですね！（笑）

toku　ちょうどアニメのタイアップがあったのがよかったんです。カップリングに入っている「極楽浄土」の踊ってみた動画を先に公開していたこともあって、僕も「次の作品は和がいいな」って思っていて。前に和風の音階を取り入れた楽曲も作ってるし、琴なんかの和楽器を曲の中で使ったこともあるし、オーダーされればやれるっていうのはありましたね。ガルニデで和を表現するとしたらどんな形で出すかはメイリアと話をして。その中で、メイリアが歌詞や衣装だけでなく、サウンド的なところまで踏み込んだ意見を言ってきたのでそれを受け止めようと。

──それは面白いですね。tokuさんはガルニデのメインコンポーザーでいながら、今回はメイリアさんの発案にどうレスポンスするかという態度で臨んでいた。

toku　そうですね。和装で踊るってなるとけっこう動きが限られるから、どんなステップが組み込まれるような曲がいいんだろうとか。そういう話をしている中で、メイリアから「例えばこんな音だよね？」みたいな具体的な意見をもらいつつ作りました。

──2人のパワーバランスが、曲によって変わるんですね。

メイリア　変わりますねー。今回は私のやりたいことがビシッと決まっていたので、それに乗ってもらったというか。tokuさんが私の押しの強さに負けたのかもしれませんけど（笑）。

──流れとしては「極楽浄土」のほうが「約束 -Promise code-」よりも先にできていた？

メイリア　そうですね。

──ということは、カップリング曲からシングル全体のイメージが見えてきた感じでしょうか？

メイリア　はい。「タイトルに漢字が入ったし、どうせだったら和装やりたいね」「ミュージックビデオで殺陣もやれるな」ってどんどん和の要素が加わっていきました。

toku　でも、「約束 -Promise code-」に関しては和に寄りすぎず、あくまでもガルニデのサウンド感の装飾として、和のテイストが入っている感じですね。

みんなが好きなGARNiDELiAのアニソンを

──曲作りで意識したことは？

toku　「GARNiDELiAの作るアニソンといえばこういう形なのかな」っていうのがリスナーに定着したのかなと思いつつ、「じゃあ、求められてるものはこれなのかな？」っていう考えで作ったところはありますね。セルフオマージュしたというか。

メイリア　アニメとのタイアップは1年半ぶりなので、みんなが好きなGARNiDELiAのアニソンを届けたいなっていうのと、ちょっと新しい部分を見せられたらというのはありました。

──「クオリディア・コード」のテーマソングをLiSAさんやClariSさんが担当していて、そこと対決しなきゃいけないという思いもあったのでは？

一同　はははは（笑）。

toku　あったかもしれませんね。

──当然勝ち負けではないのかもしれないけれども、視聴者に爪痕は残したいっていう欲求はあるでしょうし、「GARNiDELiAの曲が一番印象残ってない」はイヤでしょうし……。

メイリア　そうなったら悲しい。

──で、今回は“ザ・GARNiDELiAの音”をここで最大出力で出す、というイメージがあったんじゃないかなと思うくらいの直球感を感じました。

toku　あとは、アニメサイドから速い曲、強そうな曲っていうオファーをいただきまして。

メイリア　エンディングテーマの依頼だったので、てっきり私たちは「曲調はミディアムテンポかな？ バラードかな？」って思ってたんですけど、「激しい感じで」と言われたので史上最高速度を更新してみました。エンディングテーマって言っても、あんまり説得力ないサウンドで。

──はははは（笑）。さっきtokuさんおっしゃっていた、セルフオマージュは大変でしたか？

toku　そうですね、セルフオマージュといっても、前とまったく同じことをやるわけにはいかないし。

──今回の場合、和のエッセンスを加えて新しい部分を出しつつ、王道のGARNiDELiAの曲にもしなきゃならないってなるとかなり難しい作業だったんじゃないかと。

toku　ええ。今まではわりとデジタルな音に寄せてたんですけど、ヒューマンな感じも出したくて。人が歌う歌なので、そこに寄り添う演奏も人が奏でるものにしたいなという思いはありました。演奏の難易度はかなり上がってますし。でも、今回のレコーディングはライブメンバーを中心に作っていて、バンドスタイルでやってきた熱量の高い音を出せたと思います。