音楽ナタリー Power Push - GARNiDELiA
1人では届かない世界を見るためファンと交わす“約束”
日本人はやっぱり和の音やリズムで盛り上がる
──カップリング曲の「極楽浄土」はこれまた違うモードというか。「約束 -Promise code-」はエッセンスとしての和の要素が入っていたけど、「極楽浄土」は和のサウンドが土台にあるEDMです。
toku そうですね。EDMとか最先端のダンスミュージックでも、シンセがピコンピコンって鳴ってるだけで終わってる曲もいっぱいあるじゃないですか。よく言えばシンプルなんですけど、悪く言えばダサいみたいな(笑)。で、「極楽浄土」のイントロで同じフレーズを繰り返すっていうのも、そういうEDMと同じに聞こえかねない気がして心配だったんですけど。
メイリア この曲はそこがいいんですよ! アレンジしてるtokuさんの隣でイントロを聴きながら「大丈夫、絶対いけるよ! カッコいい!」って言ってたんですけど、実際に動画の再生回数は伸びましたからね! 私の言うことに間違いはない。
toku はははは(笑)。
──でもtokuさんは、これはいけるって思いもあったんですよね? 「ダセエな」って思いながら作ってはないですよね?
toku それはないですね(笑)。
──そのほかに曲作りで意識したことは?
toku 踊れなさそうな人も踊れるグルーヴをベースラインで表現しましたね。
メイリア 「俺が踊れないから、俺でも体が動かせる音の作り方をする」って言ってました。そこからドゥーンドゥーンドゥーンっていう印象的なイントロが生まれたんですよね。
──なんで踊れなさそうな人も踊れるグルーヴを作ろうと?
toku ライブではぎゅうぎゅう詰めのところで、みんな盛り上がるとこじゃないですか。動けない状態でこの曲を聴いたときにお客さんがどう動くだろうって。そのイメージがベースのイメージになってますね。
──それってクラブミュージック的な作り方というか、ダンスフロアでいかに曲を機能させるかっていう発想ですよね。ぎゅうぎゅうのフロアで棒立ちのお客さんをどうアガらせるかという機能性のあるアレンジというか。
toku 楽器がメロディを奏でると聴いている人も歌いにいってしまうけど、同じリズムを繰り返すと体動かす方向になるだろうなって。
──でも和のフレーズや音階をダンスミュージックに乗せると「演歌をEDMアレンジしました」みたいなチープな音になりかねない……。
toku それが、メイリアの振り切った歌詞に助けられたところがあって。ナヨッとした歌詞だとメロディとのバランスがよくないし、演歌っぽい言葉を入れると古くなる感じがするはずなんですけど、そこらへんは歌詞のおかげでバランスが取れてる。あとメイリアの歌の力もありますね。
──ライブで披露したのは5月の赤坂BLITZ公演が初めて?
メイリア はい。いやあ、すごかったですね、あの盛り上がり。「これが聴きたかったんだよ!」みたいな思いが伝わってきた。「極楽浄土」の振り付け動画が公開されていたことで、みんなの一体感が生まれてライブの空気も変わって。「こういう曲大事!」と思いました。みんなで一緒に極楽浄土へ行ける楽曲なんだなっていうのは、ライブやってみて感じたことです(笑)。
──GARNiDELiAの場合、今まであまり観客参加型のパフォーマンスはしてなかったですよね。
メイリア 「極楽浄土」が初めてだと思います。そもそもみんなで踊ってもらおうっていうことをコンセプトにこの曲は書いたんです。
──作戦成功?
メイリア 大成功でした!
toku 盆踊りみたいな感じだったよね。ライブでの盛り上がりを見て、日本人はやっぱり和の音やリズムで盛り上がるんだなって思いました。
和装で歌っておかしくない曲に
──そしてシングルには「紫苑」という新曲も収録されています。こちらはバラードなんだけど、なぜかシンセベースとキックが重い(笑)。
メイリア はい(笑)。ほかの2曲とはサウンドの種類が違いますね。
toku でも今回のシングルの曲はどれもアレンジを変えてもメロディが生きる曲だと思うんですよ。「約束 -Promise code-」に関して言えばテンポを落としたバラードにしてもいいだろうし、「極楽浄土」はロックなアレンジもいける。「紫苑」はシンプルなアコースティックセッションでもいい。どれもメロディがちゃんと耳に残る。
──確かに。作詞はどうでしたか? 「約束 -Promise code-」「極楽浄土」のように曲をもらってから書いたんでしょうか?
メイリア それがこの「紫苑」に関しては詞先だったんですよ。
──ではこの詞を受け取って、tokuさんはシンセベースをブリブリ鳴らそうと思ったと?
メイリア みたいですね。私にしてみると、どうしてそうなったんだっていう(笑)。私は「約束 -Promise code-」で和のロック、「極楽浄土」で和のダンスナンバーをやったから、次は和をコンセプトにしたバラードやミディアムテンポの曲を歌いたいなと思ってて。夏に出すシングルだから「夏の終わりをイメージした切ないバラードがいいなあ」って思って、あとは和装で歌っておかしくない曲にしたかった。
──ジャケットのビジュアルに惹かれて買った人に見合ったものを届けたいと。
メイリア そうなんです。日本の夏をテーマに歌詞を1コーラス分書いて、tokuさんに渡して、メロディを付けてもらって……というガルニデにしては特殊な作り方をしたんですけど。
toku 作り方はいつもと違いましたけど、できあがった曲はメロディが強いGARNiDELiA節のバラードでしたね。
メイリア ですね、結局(笑)。
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- ニューシングル「約束 -Promise code-」 / 2016年8月17日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / SECL-1944~5
- 期間生産限定盤 [CD] 1620円 / SECL-1947~8
- 通常盤 [CD] / 1296円 / SECL-1946
初回限定盤CD収録曲
- 約束 -Promise code-
- 極楽浄土
- 紫苑
- 約束 -Promise code- instrumental
初回限定盤DVD収録内容
- 約束 -Promise code- Music Video
- 人魚姫 LIVE映像
- march LIVE映像
- オオカミ少女 LIVE映像
期間生産限定盤CD収録曲
- 約束 -Promise code-
- 極楽浄土
- 紫苑
- 約束 -Promise code- instrumental
- 約束 -Promise code-(TV Size ver.)
期間生産限定盤DVD収録内容
- 約束 -Promise code- Music Video
通常盤CD収録曲
- 約束 -Promise code-
- 極楽浄土
- 紫苑
- 約束 -Promise code- instrumental
- stellacage vol.V
- 2016年12月10日(土)大阪府 BIGCAT
- 2016年12月17日(土)東京都 ステラボール
GARNiDELiA(ガルニデリア)
モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1台と歌で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューすると7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を立て続けに発表。2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月にアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマとして制作した「約束 -Promise code-」をシングルとしてリリース。