ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN

切実なメッセージと私小説的楽曲 心の琴線に深く触れるシングル2作

BUMP OF CHICKENトークライブ ナタリーTVにて生放送! - 日時:2010年4月14日(水)21:30~23:00(予定)

昨年11月に約2年ぶりとなるシングル「R.I.P. / Merry Christmas」をリリースしたことをきっかけに、その動向と音楽的な新展開に改めて強い注目と期待が高まっているBUMP OF CHICKEN。彼らが4月14日に「HAPPY」、そして続く4月21日には「魔法の料理 ~君から君へ~」と、2週連続でニューシングルを発表する。

“生き続けることの意味”を切実に訴えかけてくるメッセージソング「HAPPY」。NHK「みんなのうた」でオンエア中の、郷愁感漂うナンバー「魔法の料理 ~君から君へ~」。ナタリーでは、この珠玉の新作2作について、ソングライターである藤原基央にインタビューを実施。その誕生秘話をじっくりと語ってもらった。

取材・文/竹内美保

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友達に対しての僕なりの思いを書いた曲

──まず「HAPPY」のお話から伺っていきたいのですが。かなり危ういところを感じる部分もありますし、その危うさに光が差し込んでいる印象もあって。非常に切実に響いてくる歌、と感じました。

ええ……はい。

──特に「まだ生きていて」という一節。この言葉が痛烈に刺さってきて。ギリギリなところにいる、という切迫感が……。

あぁ……。でも「まだ生きていて」というのはただの情報なので。それに対して“ギリギリ”と思う人もいるかもしれないし、“しつこいなぁ”と捉える人もいるかもしれないし。

──“まだ生きているのか”という捉え方もできる、ということですか。

そういうことです。だから、ただの情報です。

──その情報でしかないものが、この作品を聴いたときにあまりにも生々しく響いてきたので、取り上げずにはいられませんでした。では、この作品を書くきっかけはなんだったのでしょう? “生死”をテーマにした歌は、これまでにもありましたが。

登場する少年も少女も、僕の友達なんですけど。「少年」「少女」と表現してますが、僕と同世代の友達で。その2人に対しての、僕なりの思いを書いたんです。だから友人に贈った曲……贈った、なんて言い方はちょっとおこがましい気もしますけど。で、どうしてそういう曲を書いたか、っていうと、それは2人のすごくプライベートなことがきっかけなので、それをお話することはできないんです。

──はい。ただ、藤原さんの中で「この歌を贈りたい、伝えたい」という思いが強くあったことは確かなんですね。

そうです。いてもたってもいられない、っていう感じはありました。僕の中では。でも贈るっていうか……勝手に書いた感じですね。僕が歌いたかった、それだけです。

歌いたいことを掘り下げると“生と死”に

──“生と死”というテーマはとても大切であるがゆえに難しい、と思います。日常で起きる普通の物事を歌う以上に、より心配りが必要、という意識もありますか?

うーん、どうでしょうね。僕は逆に、いろんなことを“生と死”から切り離して考えるのはできないんですよね……こと、歌詞に関しては。歌いたいことがあってそこを掘り下げていくと、そういうところにやっぱり行き着くので。だからそれが自然な現象というか、勝手にそうなっちゃいますよね。もちろん軽々しく扱っていいものだとは思わないけど、そもそも僕自身も曲を書くときにはあまり軽々しくは書けないから、昔から。なので、そういう結果の産物だと僕は思います。でも、そんなに高い敷居をまたいだとは思ってないんです。

──生まれた瞬間から宿命ではありますからね、“生と死”と対峙していくのは。

うん。でも、そこに僕はロマンチックさとかドラマチックさを感じるわけでもないし。逆にシニカルに考えるわけでもないけど。昔から曲作りをしてきたら、単純にひとつの情報として、ひとつの現象として、そういうことがどうしても無視できなくなっていったというか。だから、この詞のようなことを表現したければ、当然そういうことも歌わなければいけないし、っていう。そういう感じなんです。……答えになってますか? 大丈夫ですか?

──はい。ただ、特定の人に向けて、ということになると、今おっしゃったことにもうひとつ要素が加わってくるかな、とも思いますが。

「その人に生きていてほしい」というようなことですか? うーん……。

──「力になれれば」というか。

あぁ……。どうでしょう……そこは自覚しがたいです。ホントに僕は歌いたかったし。だから……それをその人たちがそういう曲だって認識してくれなくてもいいと思うし。僕が心震えた出来事があったから、僕は歌にしました、っていう。でも、それはやっぱり作家としては何よりも強い動機になりますよね。うん、そういうことです。

ニューシングル「HAPPY」 / 2010年4月14日発売 / 1050円(税込) / TOY'S FACTORY / TFCC-89300

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CD収録曲
  1. HAPPY
  2. pinkie

ニューシングル「魔法の料理 ~君から君へ~」 / 2010年4月21日発売 / 1050円(税込) / TOY'S FACTORY / TFC-89303

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CD収録曲
  1. 魔法の料理 ~君から君へ~
  2. キャラバン
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)

1994年に中学3年の文化祭用バンドとして結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、着実に知名度を上げていく。2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たし、その後も「jupiter」「ユグドラシル」といった名曲満載のアルバムを発表。2006年9月にはアルバム収録曲から着想を得て制作されたオリジナル無声映像作品「人形劇ギルド」もリリース。現在まで不動のメンバーでマイペースに活動を続けている。