大阪を拠点に活動する22歳のシンガーソングライター・Soalaが新曲「声の軌跡」を配信リリースした。
「声の軌跡」はテレビアニメ「真夜中ハートチューン」エンディング主題歌として、物語の世界観に寄り添い制作された楽曲。アニメの主人公・有栖が“声”の持ち主を探す姿と、かつて音楽に救われ、現在は誰かの救いとなる歌を届けるSoala自身の経験が重ねられている。
音楽ナタリー初登場となる今回は、「声の軌跡」や普段の楽曲制作についてはもちろん、3月に控える自身最大規模のZepp DiverCity(TOKYO)公演への意気込みを聞いた。また不登校の時期にロックバンドに救われたという意外なルーツ、「カリスマギャルシンガー」というイメージとは裏腹な“超繊細”な素顔、あえて縁のない大阪を拠点にする理由など、彼女のこれまでの歩みと等身大のパーソナリティに迫る。
取材・文 / 岸野恵加撮影 / 堅田ひとみ
魂の叫びに心を打たれて
──Soalaさんが歌い始めたきっかけは、子供の頃のお友達とのささやかなやりとりだったそうですね。
はい。小学生の頃、足の速さや顔の小ささなど……何かにつけて、親友と張り合っていたんです(笑)。私はその子に負けてばかりで、何か勝てるものが欲しくて。お母さんに相談したら、知り合いの方がやっているボーカルレッスンを勧められました。歌うことは昔から好きだったので興味本位で体験レッスンに行き習い始めたらどんどん歌の魅力にハマっていって。発表会などで私の歌で涙してくれる方や笑顔になってくれる方の姿を見て、「歌で誰かを救いたい」という気持ちが高まっていきました。
──当時はどんな楽曲を歌っていたんですか?
ロックバンドおかんさんや森源太さん、AAAさんなど……自分自身が救われたアーティストさんの楽曲を歌うことが多かったです。あとは、お母さんが大好きだった松田聖子さんの「赤いスイートピー」など、昭和の楽曲もよく歌っていました。
──本格的にプロのアーティストを目指すと決めたのはいつ頃ですか?
中学生の頃、不登校になってしまった時期があったんです。その時期に、ロックバンドおかんさんと森源太さんの音楽に救われて。魂の叫びに心を打たれて、「私もこんなふうに、歌で感情を伝えられるアーティストになりたい」と思いました。当時は外に出ることもままならなかったけど、なぜかロックバンドおかんさんと森源太さんのライブには足を運べたんです。心が楽になって、自然と涙を流せる大切な場所だったので、私も自分のライブをそんな空間にしたいと思っています。
──Soalaさんの音楽性からすると意外にも思えるルーツですが、バンドをやりたいと思ったことはなかったのですか?
めちゃくちゃありました! エレキギターを習っていたし、高校生の頃に少しだけバンドを組んでいて、最初はロックをやりたいと思っていたんです。でもコロナ禍で、ライブ開催が難しくなってしまって……。弾き語りの動画を投稿してみても、自分にはしっくりこず。さらにSoalaとして活動し始めてからは、めちゃくちゃかわいい曲調の楽曲が少しだけTikTokで伸びてくれて、ありがたいことではある一方で、音楽の方向性に悩んで塞ぎ込んだこともありました。でも、パルクールの大会「PARKOUR TOKYO CHAMPIONSHIP 2022」のテーマソング「Glorious」を担当したとき、パルクール協会の会長さんに「とらわれなくていいんじゃない?」と言っていただいたことが、自分の中で大きな転機になりました。
──「自分はこういうアーティストだ」と決めないようにした?
はい。ジャンルにとらわれず、私の表現したい感情を素直に届けていけばいいんだって。「すれ違い」など失恋を歌った楽曲がヒットして、Soalaの存在を多くの人に知ってもらえたのですが、そうした曲調にこだわりすぎたくもないんです。バラードや切ない楽曲はもちろん、かわいい曲もカッコいい楽曲も、いろんな楽曲を歌い上げられるアーティストでありたいです。
見た目は“ギャル”かもしれないけど……
──ブロンドヘアや長いネイルなどのビジュアルから“カリスマギャルシンガー”と言われることもあるSoalaさんですが、過去のインタビューでは「私、ギャルじゃないんです」と答えていましたよね。実際に、上京した17歳の頃のアーティスト写真は黒髪姿で、まったく印象が違いました。
あはは! そうなんです(笑)。インナーカラーから始めて、勢いで金髪にして、少しずつ変化していきました。成人式のときに一度黒髪に戻したけど、「やっぱり私は金髪が一番似合うな」と。また、覚えてもらいやすいとも思うので、金髪を貫いています。長いネイルやバサバサまつ毛のメイクが好きなので、結果的にギャルっぽい外見になっているんですが、自分からはあまりギャルを名乗れないです(笑)。
──(笑)。自分がどう見られるかというイメージにも、あまりこだわっていないということですね。
そうですね。特にこだわらないようにしています。
──ご自身のマインドはギャルに近いと思いますか?
うーん……“超超超”繊細だと思うので、どうだろう……。周りの目が気になって仕方がないし、時間が経ってから「あの言い方で相手を傷付けなかったかな?」と、めちゃくちゃ考えてしまう。傷付いたときは、家でずっと泣いています。ライブでもほぼ毎回泣いてしまうんですが、この間のツアーはステージ上では泣かずに完走できたので、少し成長したなと思いました。
──「太陽のよう」と言われるほど、Soalaさんの明るいキャラクターはスタッフさんやファンの方から愛されていますが、それは繊細で、周囲をよく見ているがゆえの明るさなんでしょうね。
「太陽みたいな人」と言ってもらえるのはすごくうれしいし、無理して明るく振る舞っているわけでは全然ないんです。まだSoalaという名前もなかったデビュー前、SNSのフォロワー数などの数字で態度を変えてくる人がいたりして、傷付いた経験があって。私はそうなりたくないと思ったし、自分の周りは、みんなが気持ちよくいられる環境にしたいと思っています。何も言わなくても、私が繊細なことを察してくださるスタッフさんが多いので、今は本当にありがたい環境で活動できていますね。
縁のない地で活動する理由
──現在は大阪を拠点としていますよね。愛知出身で、かつては上京も経験したSoalaさんが、あえて縁のない地を選んだのはなぜですか?
家族がいる地元だと、甘えてしまいそうだと思ったんです。全部自分でやらなければいけない状況に置かれたら、成長につながるかなと。実は東京は、過去の音楽活動ですごく苦しい思いをして……。今は大阪からお仕事で毎週東京に行っているんですが、移動を繰り返すことで、ファンの子が待っていてくれていることや、いろんなお仕事をいただけるありがたさを実感できるので、今後もしばらくは大阪を拠点に活動し続けようと思っています。
──大阪では普段、どんなふうに過ごしているんですか?
大阪には遊びに行く友達が全然いなくて(笑)。ひたすら家で音楽を作っているか、猫と遊んで癒されています。あとは、パフォーマンス力を上げたいので、ほかのアーティストさんのライブ映像を観ていますね。宇野実彩子さんに憧れているので、よく拝見しています。宇野さんはかわいさもカッコよさも全部備わっていて、ライブの演出も面白い要素が入っていたりするので、たくさん勉強させていただいています。
──楽曲制作はどのように?
最初はギターで作っていたけど、今はネイルが長いのでギターを封印していて……(笑)。いただいたトラックからイメージを膨らませたり、鼻歌で浮かんだメロディからトラックメイカーさんに制作を依頼したり、いろんな作り方をしていますね。以前は部屋のyogiboクッションに座ってリラックスしながら考えていたけど、最近は音楽家らしく、深夜にPCに向かって、アロマを焚いて制作するのがルーティンになっています。
──曲のアイデアが浮かぶのはどんなときですか?
人のライブを観ると、曲を書きたい欲がすごく湧いてきます。あとは、インスピレーション源がないと書けないので、映画や恋愛リアリティショーを観て、主人公の視点からアイデアを膨らませていくことが多いです。ファンの方からいただいたDMから曲を作ったこともあるし、自分の中にはない感情を取り入れるようにしていますね。今まで60曲以上を発表してきたけど、似たような楽曲ばかりだと思われたくなくて。最近は洋楽っぽいメロディやフェイクを入れてみるなど、メロディにバリエーションを付けることを意識しています。
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