ナタリー PowerPush - AKB48
高橋みなみ&柏木由紀が語る初ドキュメンタリー映画の裏側
AKB48初のドキュメンタリー映画「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」が1月22日より全国公開されている。この映画では岩井俊二が製作総指揮を、佐々木希主演映画「天使の恋」で長編監督デビューを果たした寒竹ゆりが監督を担当。2010年に大躍進を遂げたAKB48の素顔に迫っており、これまで明かされることのなかったメンバーの思いや将来の夢などが、赤裸々に語られている。
この映画の公開を記念して、ナタリーではメンバーの高橋みなみ(チームA)と柏木由紀(チームB)にインタビューを敢行。昨年の活躍を振り返りつつ、撮影中のエピソードや完成した映画を観た感想、映画にも登場する旧チームから新チームへの移行時に感じたこと、さらにAKB48の今後などについてじっくり訊いた。
取材・文/西廣智一 インタビュー撮影/中西求
「これ、映画の撮影なんですよね?」「はい」
──映画を作りますって聞かされたのは、いつ頃だったんですか?
高橋 ちゃんと「ドキュメンタリー映画を作ります」と聞いたのは去年(2010年)の年末くらいかな。でも、実際にはもっと前から撮影はされていて、「これ、映画の撮影なんですよね?」「はい」っていう会話はあったんですよね。
柏木 私は「AKB48 秋祭り」(2010年10月9日・10日開催)でファンの方に発表したときに、初めて知って。
高橋 じゃあ10月くらい? 私たちに言うずっと前から密着されてたんで。昔から記録用映像というのは撮っていたんですけど、みんなそれの撮影だと思ってたよね。だから、記録用なのか映画用なのかみんなわかってなくて、知らない間に進行してたんです。
──じゃあ撮られている側としては、意識してないところでどんどん製作が進行していたと。
柏木 そうです。だから、完成した映画を観てびっくりしました(笑)。
──昨年1年間にわたり撮影を行ったそうですが、2010年のAKB48には本当にいろんなことがありましたよね。
高橋 そうなんですよねぇ……本当に内容が濃くて。昨年末にインタビューで「この1年どうでしたか? 印象に残っていることは?」って訊かれたんですけど、大きいトピックが多すぎて、それが2010年に起きたことなのか、それより前に起きたことなのか、全然思い出せないんです。
柏木 大変だよね。インタビューのたびに毎回年表が欲しくなるくらいで。
高橋 「あ、これ今年だったんだ!」みたいな、そんなこともよくあります。
新チームになるまでが長かったのでいろいろ悩んだ
──実はナタリーで2010年末に年間アクセスランキングを公開したんですが、トップ10にAKB48のニュースが5件も入ってるんですよ。
2人 えーっ!?
高橋 そんなに入ってるんですか!
(2人、年間ランキングをじっくり読む)
柏木 おーっ、「シングルの詳細判明」が7位なんですか!?
高橋 すごいですね、これ……。
──この結果を見ると、確実に第2回選抜総選挙以降に注目度が一気に高まったのがわかります。今回の映画もその総選挙と、組閣(旧チームから新チームへの移行)の部分が重点的に取り上げられてますが、こういう内容になるのもAKBならではだし、ほかと比較のしようがないんですよね。いろんなことがあった中で、ずっと活動してきたチームがバラバラになって、新編成になり、気持ちの面でもずいぶんと変わったと思いますが。
高橋 私たち2人とも、武道館の組閣発表のとき(2009年8月22日・23日のコンサート「AKB104選抜メンバー組閣祭り」)に新チームのキャプテンに任命されたんですけど、発表のときはあまりピンとこなかったよね?
柏木 うん。
高橋 ただ、コンサートのサブタイトルに「組閣祭り」と付いていたから、メンバーがみんな「組閣ってなんだろう?」って疑問に思っていて。調べたら、政治でいういろんな改革のことだと知って、「いや、でもそこまで変わらないだろう」という軽い気持ちでいたら、ガラッと変わってしまって。正直、新チームになるまでの期間が結構長かったので、いろいろ悩みました。
──どういったことに一番悩みましたか?
柏木 旧チームでこのままがんばっていきたいけど、でも次に新チームが待ってるという。なかなか新チームに移行できなかった分、余計に考えちゃって。
高橋 でも、新チームになることによってメンバーがそれぞれ新しいキャラクターを出せたり、殻を破れたりするのかなと考え始めて。最終的には自分たちのポテンシャルも高まったと思います。
新チームのレッスンは今までで一番キツかった
──新チームのスタートは最初がチームK、続いてチームBで、最後がチームAでした。それぞれ新編成がスタートするのを観てどう感じました?
柏木 私はチームKの初日を観たわけではないんですけど、スタッフさんやファンの方から「新チームKはすごいよ!」とたくさん言われて。
高橋 そうだね、私もよく耳にしました。
柏木 その反応を聞いて、漠然と「あ、新チームになって良かったんだな」と安心したのもあったんですけど、途端にそれが自分にとってプレッシャーになってしまって。
高橋 私もゆきりん(柏木)も各チームのキャプテンになったからには、やっぱりいいものを作りたいと思っていて。私のチームAは最後だったので、新チームK、新チームBの反応をたくさん聞いたし、ファンの方からも「新チームA、すごく期待してます! がんばってください!」って言ってもらってたんですけど、うれしくもありプレッシャーでもありました。
──旧チームのときも新公演が始まると「今度の公演はすごいよ!」って声を耳にしたことがあったと思いますが、またそれとも違いますものね。
高橋 これまでは曲が変わるだけでメンバーはそのままだったので、ちょっと安心していた部分もあったんです。でも、今度はメンバーも替わったし、曲も今までのチームAの色とは違うものだし、すごくとまどいがあって。そういった部分を受け入れるまでには、ちょっと時間がかかりました。
──特におふたりはAKB48の選抜メンバーとしての仕事や個人の仕事と並行して、レッスンを続けたんですよね。
高橋 新公演はどのチームも、今までで一番準備期間が短かったよね。
柏木 以前は1カ月間まるまるレッスンに使えたのを経験してる分、今回の新チームのレッスンはみんな「今までで一番キツかったねー」って言ってます。
高橋 1週間なかったもんね。
──え、そんな短期間で?
高橋 本当に時間がなくて、人によっては3日しかレッスン期間がなかったりする中で10数曲を覚えなくちゃいけなくて。チームKの準備期間は、ちょうどグアムでのPV撮影と重なってたんです。
柏木 1週間弱くらい行ってたんです。
高橋 なので、グアムから帰ってきてから2日くらい泊まり込んで、レッスンしたそうです。
──……すごいですね(苦笑)。
高橋 やっぱり、みんなレッスンにはたくさん参加したいし、いろんなメンバーとも交流を取りたいんですけど、それぞれ個々の仕事があったりでなかなか全員揃わなくて。その部分は新チームとして大きな壁でした。
──そういう話を聞くと、映画で新チームが始まるシーンがまた違って見えてくるかもしれませんね。
高橋 私たちが観ると泣けちゃうよね。
柏木 本人的には当時のことをいろいろ思い出しちゃって。
AKB48(えいけいびーふぉーてぃえいと)
秋元康プロデュースのもと、2005年に始動した次世代型アイドルグループ。劇場に足を運べば毎日会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で、チームA、チームK、チームBが毎日ステージを行っている。楽曲はすべて秋元康が作詞を担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、いきなりオリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末のNHK紅白歌合戦にも初出場を果たした。
2008年にはレーベルを移籍し、同年10月にシングル「大声ダイヤモンド」をリリース。チャート初登場3位を記録し、着実に人気を高めていく。2009年4月には、アイドリング!!!とのコラボユニット「AKBアイドリング!!!」として、シングル「チューしようぜ!」も発売。オリコンウィークリーチャート初登場2位にランクインし、話題を集めた。同年7月にはシングル曲の選抜メンバーを決定する選抜総選挙を、ファン投票により実施。8月には初の日本武道館公演も実現し、10月リリースの14thシングル「RIVER」は、初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得した。
2010年には各チームのメンバー編成をシャッフル。同年2月の15thシングル「桜の栞」、4月のアルバム「神曲たち」も1位を記録し、それぞれ30万枚を超えるヒットとなった。さらに、5月発売の16thシングル「ポニーテールとシュシュ」、8月発売の17thシングル「ヘビーローテーション」はそれぞれ発売1週目に売り上げ50万枚を突破。横浜アリーナや代々木体育館での単独ライブのほか、9月には日本武道館で19thシングルに参加する選抜メンバーを決めるじゃんけん大会も行われ、大きな注目を集めた。10月リリースの18thシングル「Beginner」は発売初週に80万枚を超えるセールスを記録。2011年1月末までに売上100万枚を突破した。