みんな本当はザコだしクズだと信じてます
磯貝 役者としてはとにかくザコ感を前面に出したいです。お客さんに「俺こそがザコだ!」って言ってやりたいですよ。
川尻 「あんなザコはいねぇ……」って言わせたいね。
川本 磯貝くんのファンの方々は何か言ってました?
磯貝 「やるんですね、楽しみです。ザコ、似合いそうですね」って言っていただけるんですが、そんな想像も超えて、度肝を抜いてやりたいです。「髪を引っ張り抜いてやる!」ぐらいの勢いで(笑)。
川尻 キャストの皆さんには、作中でいろんなザコを演じてもらいます。磯貝くんは仲間思いのザコとか、ザコとしての資質を見極めたりする面接官のザコ。今回はザコ自身が思うザコ像についても言及していて、ザコたちの中でもザコとしての在り方や意見が分かれたりとか……。
川本 何回ザコって言うんだよ(笑)。
川尻 ザコの中にも「人を殺すのはダメだ」ってやつもいれば、「嘘をつくのがダメ」ってやつもいるでしょうし、一概に全員が「ヒャッハー!」という感じではないんですよ。それぞれの悪の形があるってことを見せられたら。
磯貝 “歌うザコ”なんかも出てきますからね。
川尻 ザコの歌なんてなかなか聴けないですよ。とにかく1人1役ではなく、いろんなザコをやってもらいます。と言うのも、1役だとみんなすぐ死んじゃうんで。死んだらまた違うザコとして登場してもらいます(笑)。
──観客の中には原作の「北斗の拳」を読んだことがない、知らないという方々もいると思います。
磯貝 そんな方にこそ観ていただきたいです。僕は普段、キラキラした2.5次元舞台もやらせていただいてますが、今回は僕の裏の部分と言いますか、より普段に近い部分が垣間見えると思います。キャストたちが普段持ってるものそのまんまを反映できるんじゃないかな。みんな本当はザコだしクズだと信じてますよ、僕は(笑)。いつもとのギャップというか、この舞台でしか観られないものがあると思うので、僕たちのザコな姿をぜひ観にきてほしいです。
──演じる上で、どうやってザコ感を出していきますか?
磯貝 ザコ特有の変な動きを研究したいですね。アニメも観てたんで、ちょっとアニメのほうにも寄せたいです。
川本 普段演じてるヒーロー側とは、かけ離れた姿が見たいですね。
名言を残して死んでいくザコ
──ザコはバトルもののマンガやアニメ作品には欠かせない存在ですが、「北斗の拳」のザコならではの魅力はありますか?
磯貝 やっぱり死に様ですかね。
川尻 断末魔だね。
川本 「あべし!!」とか「たわば!!」って原作でも1回しか出てきてないのに、誰でも知ってるぐらいの言葉じゃないですか? 「あべし!!」と聞けば「あ、『北斗の拳』のやつだよね」ってわかるぐらい相当な名言を残して死んでいくザコがいる。
川尻 舞台版でもTwitterで募集したオリジナル断末魔を採用したりします。舞台ならではの死に様を出したいですね。
川本 それこそ「ぶたい!!」とかね。
川尻 自分が立ってる場所を言いながら死ぬんですね(笑)。
川本 「バミリ!!」とか、「かみて!!」「はけるー!」とか叫びながら。
磯貝 「あんてんっ!!」「サスー!」とか。
川尻 舞台用語で死んでいくザコたち……。
川本 原作に出てきた要素やエピソードをどう取り込むかって、かなり悩みどころと言うか楽しみどころですよね。
川尻 原作を知らなくても楽しめるし、原作を知っているとより楽しめるような作りにしたいです。
今回はジャギだけです
──原作のキャラクターからはジャギの登場が告知されていますね。
川本 ジャギ様とかザコ界から見たらとんでもない大スターだからね。
川尻 北斗4兄弟の1人ですから。
磯貝 僕は角田信朗さんのファンなので、角田さんがジャギを演じられるのは胸躍っちゃいます。制作発表でジャギ様が登場したときに、「わ、本物の角田さんだ!」って震えました。
川本 ジャギより角田さんに興奮してたんだね……。
川尻 あまりたくさんスターを出しすぎると、ザコも恐縮して自分の素を出せなくなっちゃうと思うので、今回はジャギだけです。
磯貝 僕はアミバ様が大好きなので、出してほしかったですよ。今でも脚本に書き足してくれないかなぁって思ってます(笑)。
川尻 シリーズ化できれば、ゆくゆくはね……。今回はある意味“エピソード0”のような前日譚なんです。ザコにとってはケンシロウがやって来るまでは平和で、だんだんケンシロウに駆逐されていく時代に突入していく。「おや? 出かけていったあいつが帰ってこないぞ?」みたいなことが起こり始めて……。
川本 こんな話を真剣にしてるのが面白くなってきた(笑)。
次のページ »
ザコというより下戸
- 舞台「北斗の拳―世紀末ザコ伝説―」
- 2017年9月6日(水)~10日(日)
東京都 東京ドームシティ シアターGロッソ
-
原作:「北斗の拳」(原作:武論尊 漫画:原哲夫)
脚本:川尻恵太(SUGARBOY)
演出:村井雄(KPR/開幕ペナントレース)
出演:磯貝龍虎、河合龍之介、寿里、花園直道、林野健志、水希蒼(A応P) / 青山フォール勝ち(ネルソンズ)、キャベツ確認中(キャプテン★ザコ、しまぞうZ)、街裏ぴんく / 大岩主弥、福島悠介、吉野哲平 / 円盤ライダー(渡部将之、冠仁、賢茂エイジ、森田和正)、KPR/開幕ペナントレース(高崎拓郎、G.K.Masayuki、森田祐吏)
ジャギ役トリプルキャスト
角田信朗:9月6日(水)、7日(木)夜、9日(土)昼
山本圭壱(極楽とんぼ):9月7日(木)昼、9日(土)夜、10日(日)夜
武田幸三:9月8日(金)、10日(日)昼OPENING LIVE「愛をとりもどせ!!」:クリスタルキング(ムッシュ吉﨑) with A応P
声の出演:千葉繁
©武論尊・原哲夫/NSP 1983, ©北斗の拳-世紀末ザコ伝説-製作委員会2017 版権許諾証GP-907
- 磯貝龍虎(イソガイリュウコ)
- 1987年北海道出身。「ミュージカル『テニスの王子様』」の千歳千里役で注目を集め、その後コメディ、朗読劇など数々の舞台に出演。ブレイクダンスやアクションなどにも定評があり長身を生かしたパフォーマンスと瞬発力のあるアドリブを得意とする。また2016年には東京・俳優座劇場で初脚本・演出の「上手」を上演した。音楽活動にも力を入れており2017年6月には自身が参加する音楽ユニット・メンズヘラクレスの1stミニアルバムをリリースしている。好きなザコは“でかいババア”。
- 川尻恵太(カワジリケイタ)
- 1981年北海道出身。脚本家、演出家、俳優。SUGARBOY主宰。2000年に札幌で劇団ギャクギレを旗揚げ、2010年の解散まで、ほぼすべての作品の脚本・演出を担当。2006年に上京し、ラーメンズ及び小林賢太郎作品の演出補、エレキコミック、エレ片の構成作家を務め、お笑いから演劇に至るまで幅広く作品を発表。近年では、乃木坂46出演の舞台「じょしらく弐 ~時かけそば~」や、「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』2 ~信越地方よりアイをこめて~」、「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』双」などの脚本・演出を担当している。好きなザコは“「息をするのもめんどくせぇ」って言うやつ”。
- 川本成(カワモトナル)
- 1974年鳥取県出身。欽ちゃん劇団1期生在籍。1994年あさりどを結成。主な出演番組として、「笑っていいとも!」9代目いいとも青年隊、「王様のブランチ」、「スタイルプラス」、ドラマ「真昼の悪魔」、アニメ「テニスの王子様」など。近年の主な出演舞台は、ブルドッキングヘッドロック「おい、キミ失格!」、男子はだまってなさいよ!「聖バカコント」、月刊「根本宗子」の「もっと超越した所へ。」「忍者、女子高生(仮)」、劇団鹿殺し 電車2部作「電車は血で走る」「無休電車」など。自らも時速246億を主宰し、毎回多彩な作家・演出家を迎え、ジャンルにとらわれない作品をプロデュースしている。2016年には細川徹(男子はだまってなさいよ!主宰)を作・演出に迎え、SFコメディ「バック・トゥ・ザ・ホーム」を上演。2017年9月には、自身のソロ公演第3弾「独走」の上演が決定している。好きなザコは“「汚物は消毒だー!」と火炎放射器を振り回すやつ”。