舞台「幽☆遊☆白書」 PR

舞台「幽☆遊☆白書」Blu-ray / DVD発売記念 鈴木拡樹インタビュー|原点ここにあり!霊界探偵編からTWO SHOTSまで、原作の魅力が詰まった舞台を振り返る

「週刊少年ジャンプ」黄金期を彩る冨樫義博の「幽☆遊☆白書」。崎山つばさ、郷本直也、鈴木拡樹、橋本祥平ら第一線で活躍する俳優陣により同作が舞台化されたことは、2019年の演劇界における大きなトピックの1つと言えるだろう。

ステージナタリーでは、舞台「幽☆遊☆白書」のBlu-ray / DVDが発売されたことを記念し、蔵馬役を演じた鈴木にインタビュー。連載当時、リアルタイムで「ジャンプ」本誌を読んでいたという鈴木は、原作屈指の人気キャラクターである蔵馬とどのように向き合ったのか? また本特集の後半では、鈴木の推しキャラの存在も明らかになる。

取材・文 / 興野汐里 撮影 / 須田卓馬

まさか「TWO SHOTS」のエピソードが差し込まれるとは!

──改めて、公演やご自身が演じた役どころについて振り返っていただければと思います。鈴木さんは以前インタビューで「蔵馬は美しいキャラクターなので、演じるにあたってプレッシャーを感じる」とおっしゃっていましたね。

舞台「幽☆遊☆白書」より、鈴木拡樹扮する蔵馬。©︎舞台「幽☆遊☆白書」製作委員会 ©Yoshihiro Togashi 1990年-1994年

「ジャンプ」の歴代キャラクターの中でも、特に「美しい人」というパブリックイメージがあるキャラクターなので、所作1つひとつに気を配らなきゃいけない、ということを常に念頭に置いていました。せっかく舞台化の機会をいただいたのだから、原作を読んだ方にも読んでいない方にも、蔵馬という人物に共感してもらいたい。もし舞台版の続編があったとしても、蔵馬と母親とのエピソードや喜多嶋麻弥との関係性を描けるのはおそらく今回だけだったと思うので、蔵馬の数少ない人間味がある部分をしっかりと表現できればと思っていました。蔵馬が麻弥に恋をしていたかどうかは原作でもはっきり明言されていなくて、読み手に任されているところが大きいじゃないですか。自分の中では「あれはきっと恋だったけど、その気持ちを押し殺したのではないか」と解釈して演じてみたんですが、そういった部分を考える時間がとても楽しくもあり、大変でもありましたね。

──舞台「幽☆遊☆白書」では、荒木宏文さん扮するコエンマが、昔の映像を見返しながら回想する形で物語が進んでいきました。原作の1巻から3巻にあたる部分だけでなく、先ほどお話に出た「TWO SHOTS」(編集注:単行本7巻に収録されている蔵馬と飛影の出会いを描いた外伝)のエピソードも盛り込まれていて、原作の見どころをうまく抽出し、凝縮した脚本の構造になっていたと感じます。

まさか「TWO SHOTS」の物語がこんなふうに差し込まれると思っていなかったのでびっくりしました。時系列を並び替えることで原作とは別の見せ方をして、舞台ならではの面白さが出せたのかなって思います。あと、コエンマをストーリーテラーに据えたことで、原作とはまた違ったコエンマの魅力が引き出されたというか、「新しい役割ができたね」って座組のみんなと話していたんです。アニメ化されたときにジョルジュ早乙女(編集注:アニメオリジナルキャラクター。コエンマの秘書を務める青鬼)というキャラクターが生まれて、視聴者の皆さんから愛されていったように、今作ではそのポジションをコエンマが担ってるのかなって。……舞台の途中からは剛鬼もジョルジュ的なポジションに就いていましたけど(笑)。

──確かに、吸魂鬼としての恐ろしさはどこへやら、後半の剛鬼は完全にコミカルなキャラクターに変貌していましたね(笑)。また、コエンマ役の荒木さんの見事なコメディアンっぷりや高いアドリブ力にはとても驚かされました。

荒木さんは今回が初共演だったんですが、本当に器用な方だなと思いました。何事にもアグレッシブに取り組んでいらっしゃって、ストイックな人ってああいう人のことを言うんだなって。

鈴木拡樹

──劇中でタッグを組んだ飛影役の橋本祥平さんとは、「舞台『刀剣乱舞』」など、他作品でもご一緒されていますね。

「幽☆遊☆白書」の現場でも「彼はこういう人なんだ」っていう発見がたくさんありましたが、今回改めて思ったのは、彼は完璧な後輩キャラなんだなってことですね。みんな、「いつまでも後輩でいられると思うなよ!」ってツッコミながら接してるんですけど、あそこまで後輩キャラを確立してる人はそうそういないので、今後、彼に勝てる後輩キャラの人は出てくるのかな?って思うくらい(笑)。

──あははは(笑)。そんな橋本さんとは、どのようにして蔵馬と飛影の関係性を築いていったのでしょう?

蔵馬と飛影って一緒にいることは多いけど、心を開いてるかっていうと、必ずしもそうではない場合もある。そんなところが逆にいいなと思っていて、気付いたら自然と一緒にいる、みたいな関係性を目指していました。稽古中、お互いの役についてはそんなに触れなかったんですけど、シーンを成立させるための探り合いをよくしていたかもしれません(笑)。お互い、自分から発信していくタイプというより、「仕掛けたほうの意向に寄り添えるように全力でがんばる」っていうスタンスというか。

──メインキャスト4人の中で、自分から発信していくタイプなのは……?

(崎山)つばさくん、(郷本)直也さんは発信していくタイプだと思います。特につばさくんは座長として積極的に動いて、座組のみんなに方向性を示してくれていたので、周りはいつも「つばさくんを支えたい」っていう思いで稽古していました。実際、幽助を演じるのって体力的にかなりしんどかったと思うんですよ。1回負けてからしか勝てないタイプの主人公を演じるのってなかなか難しくて、1回だったらまだいいんですけど、幽助はそういう戦いが何戦もありますから(笑)。「つばさくん、大丈夫かな? 倒れないかな」ってとにかく気にしていましたね。

──皆さん、支え合ってお稽古されていたんですね。お稽古でいうと、今作の脚本・演出を手がけた御笠ノ忠次さんは、俳優さんから出てきた発想を大切にしながらクリエーションを進めていくと伺いました。

そうですね。演出家としての御笠ノさんの一番の特徴は、ご自身も輪に入って座組作りをしてくれるところだと思っていて。稽古に入る前に雑談タイムがあるんですが、「昨日ニュースでやってた○○についてどう思う?」とかその都度テーマを決めて、ディスカッションをするんです。その中で自然とお互いの名前を覚えられますし、会話することへの抵抗もなくなっていく。そういった時間を大切にすることで座組の結束が強くなって、何かが起きたときにサッと対処できたり、うまくカバーできたりするようになったと思いますね。