“盟友”天久聖一が語る「松尾スズキと30分の女優」
──今回担当されたコントのコンセプト、見どころを教えてください。
僕の担当は主にミニコーナーなんですが、これだけ豪華な俳優さんたちなので、逆にどんな無駄遣いが良いか悩みました。主観ものは男たちの永久保存版を目指したのでぜひ観ていただきたいです。
──クリエイター・松尾スズキが放つ“笑い”の魅力、俳優・松尾スズキが持つ魅力、それぞれどのようなところにあると考えていらっしゃいますか?
松尾さんの笑いには「笑うしかない」という切実さがあってそこが好きです。俳優・松尾スズキは若かりし頃の孤独な毒気も好きですが、今はそれに隙だらけの哀愁も加味されて、そこにいるだけで笑えてしまう存在感があると思います。
──吉田羊さん、多部未華子さん、麻生久美子さん、黒木華さん、4人が持つ“笑い”の特徴にキャッチコピーを付けるとしたら?
笑いの魅力とはズレますが、僕を含めてたぶん視聴者のみなさんは、各女優さんにこんな願望を抱いてるんじゃないかなと想定したものがあって、それをベースにネタを書いたので記しておきます。
吉田さん:叱られたい
多部さん:睨まれたい
麻生さん:弄られたい
黒木さん:騙されたい
“珍獣”大谷皿屋敷が語る「松尾スズキと30分の女優」
──今回担当されたコントのコンセプト、見どころを教えてください。
僕が書いた台本を松尾さんにお送りして、めちゃくちゃ面白く修正されて返って来る、という工程を何度も繰り返す、僕にとっての「究極の赤ペン先生」活動は、これ以上ないほど幸せな時間でした。
関わらせていただいた中でオススメなのは、「わう」です。
まるで大河ドラマのような、重厚なセットの中で、信じられないくらいくだらないやりとりが連発されるこのコントは、「この世にこんな幸せな仕事があっていいのか!?」と、衝撃を受けるほど、くだらなさを高品質でコーティングしている、傑作だと思います。
ちなみに、尺の調整のために、「松尾さんが書かれた台本を、僕が削る」という作業は、今まで経験してきた仕事の中でも、歴代最高クラスで、手の震えが止まらない仕事でした。
──クリエイター・松尾スズキが放つ“笑い”の魅力、俳優・松尾スズキが持つ魅力、それぞれどのようなところにあると考えていらっしゃいますか?
中学高校のときに作った、コントや漫才を文字起こしして、笑いのメカニズムを分析する「お笑い研究ノート」という、二度と開きたくない、「恥ずかしさの極地」みたいなノートがあるんですが、当時、松尾さんの戯曲を分析しようとしても、一切分析ができませんでした。確実に面白いのに、メカニズムがわからないという異常事態に、僕は混乱して、「この人が作るものの正体を、どうにかしてわかりたい」と思うようになりました。松尾さんが出されている本をすべて読破して、気付けば、分析そっちのけで、どっぷりと松尾沼に浸かってしまいました。
捉えようによっては、「ふざけてたら怒ってきそうな人」にも見える、シブい大人の魅力ある見た目だと思うんですけど、演技が始まると「誰よりもふざけてる人」になる、圧倒的な説得力を持ったその演技力と人を笑わせる力は、歴史に残るべきコメディアンだと思います。
結果、松尾さんに影響されて、自分でも、金にならない、訳のわからぬ劇団まで作ってしまいました。人ひとりの人生を狂わせるほどの魔力を持った笑いだと思うし、俺の人生どうしてくれるんだとも思います。
──吉田羊さん、多部未華子さん、麻生久美子さん、黒木華さん、4人が持つ“笑い”の特徴にキャッチコピーを付けるとしたら?
吉田さん「読み込み力」
脚本の読み込みが深く、どんな種類のギャグも確実に笑いに落とし込んでいらっしゃって、驚きました。難易度が高そうなディープなギャグすらも、核の部分を即座に掴んで演じていらっしゃって、その幅の広さは圧巻でした。
多部さん「打ち返す力」
松尾さんと何度も共演されてるだけあって、松尾脚本のツボを押さえてらっしゃっていて、松尾さんの強烈なギャグに、ギャグで打ち返していく様子を拝見して、「これが観たかったんだよ!」と、心の中で何度も思いました。この阿吽の呼吸は、ファンなら絶対観るべきだと思います。
麻生さん「空気を変える力」
麻生さんがセリフを発するたびに、どんどん現場が面白空間になっていくのを体感できて、「こりゃ貴重なモノを観た!」とホクホクしました。ボケの演技もツッコミの演技も両方がハイクオリティで、「マジ、無敵じゃん!」ってなりました。
黒木さん「面白がり力」
面白くなりそうな部分を見つける嗅覚が鋭く、楽しみながら、確実な演技で、面白さを増幅させていく様子は、拝見していて非常に痛快でした。その場で一番面白くなる選択肢を瞬時に判断して、すぐにアウトプットしていくライブ感は、現場でも次々と笑いを起こしていました。