mosaïque「PRISM」女優S 大平峻也|性別を超え、2つの立場から語る作品への思い

大平峻也インタビュー

mosaïqueのために性別を超える

──今回、女優Sとして本作に参加することになった経緯についてお教えいただけますか?

大平峻也

大平峻也 由梨子さんから、「自分のすべてを賭けてこの作品を上演する」と伺って、僕も何か力になりたいと思ったんです。でもmosaïqueは女性限定のユニットだから、女性でなければ参加できない。それでどうしようと思ったときに「性別を超えよう」ということになったんです。

──実際にSとしてmosaïqueの稽古に参加してみていかがでしたか?

大平 稽古に行く前、鏡の前に座って化粧をしているとき、「何やってるんだろう、僕」なんて思うこともありますが(笑)、カンパニーの皆さんのおかげで“女優”として稽古場での時間を過ごすことができました。またヒロイン・ホワイト役のS、ホワイトの恋人・ソラ役の南(千紗登)ちゃん、お互いが性別を超えてホワイトとソラを演じることによって、逆にリアルな“恋人感”が出せているんじゃないかなと思います。

──mosaïqueは女性メンバーが中心となって構成されたユニットです。一方、大平さんはこれまでに「ミュージカル『テニスの王子様』」や「ミュージカル『刀剣乱舞』」など、男性を中心としたカンパニーの作品に多く参加されてきました。男性が多い現場は男子校のような雰囲気で稽古が進んでいくと伺いますが……。

大平峻也

大平 確かに男性キャストばかりで公演期間が長い舞台だと男子校みたいになりますね。感情だったり言葉だったり表情だったり、男って熱い気持ちが表に出やすいじゃないですか。最初はみんなそれを隠してるけど、少しずつ殻を破っていって、最後にはその絆が演技に滲み出るんです。

──大劇場から小劇場までさまざまな劇場に立たれた経験を踏まえて、今作の会場となるDDD AOYAMA CROSS THEATERのような客席と距離の近い劇場の魅力はどんなところだと思いますか?

大平峻也

大平 大きい会場の公演で沈黙があると、「あれ? 今、何の時間……?」っていう死に間ができてしまうことがたまにあるんですけど、お客さんとの距離が近い会場では、逆に無言が心地いいなと思える瞬間があるんです。自然体でお芝居ができるし、ちょっとした視線や仕草もお客さんに拾ってもらえるから物語に埋没してもらいやすいですよね。

──先ほど、Sさんに女優としての目標を語っていただきました。これを受けて、俳優の先輩である大平さんから、初舞台の本番を控えるSさんにエールをお願いします。

大平 言葉にするのは簡単だけど、夢を叶えるのは本当に難しいことだと僕は思っていて。もちろん彼女はがんばってると思うけど、言葉にしたからにはしっかり成長してほしいし、もっと強くなってほしい。先輩方からたくさん学んで、言葉の重みを噛み締めてほしいです。彼女がちゃんと女優として舞台に立てているのか、僕もしっかり見届けます。

大平峻也
mosaïque season1 REAL‐LOVE
File1「PRISM」
2018年5月11日(金)~14日(月)
東京都 DDD AOYAMA CROSS THEATER
mosaïque season1 REAL‐LOVE File1「PRISM」
  • 脚本・演出:中井由梨子
  • 出演:南千紗登、S、朝井莉名、小板橋みすず、相原えみり、諸治蘭 / hoval、KOSEN / 高山典子(バイオリン演奏) / 瀬川ももえ(友情出演)
大平峻也(オオヒラシュンヤ)
1994年東京都出身。2011年から翌12年にかけて「ミュージカル『テニスの王子様』」2ndシーズンで加藤勝郎役を演じ、人気を博す。15年からは「ミュージカル『刀剣乱舞』」に今剣役として出演。このほか代表作に、「プレゼント◆5」「舞台『カードファイト!! ヴァンガード』~バーチャル・ステージ~」「厨病激発ボーイ」などがある。