COCOON PRODUCTION 2021「物語なき、この世界。」三浦大輔が斬り込む“物語で人生を彩るというエゴ” 主役は新宿?岡田将生・峯田和伸・寺島しのぶが語る思い

主役は新宿?岡田将生・峯田和伸・寺島しのぶが語る思い

ここでは、売れない俳優・菅原裕一役の岡田将生、同じく売れないミュージシャン・今井伸二役の峯田和伸、2人が立ち寄るスナックのママ・橋本智子役の寺島しのぶに作品や三浦大輔への思いを聞いた。

岡田将生

新宿に振り回されているような感覚

岡田将生

──現段階で作品に対してどのようなイメージを持っていらっしゃいますか。気になったキーワードなどがあれば教えてください。

この芝居の主役は、ある意味、新宿・歌舞伎町なのではないかと思っていて。だから登場人物たちが動くのではなく、舞台装置が動くことで僕たちのほうが動かされているような、新宿に振り回されているような感覚があるんです。それがなんだかすごく面白くて。これは僕が勝手に思っているだけかもしれないですが、三浦さんの演出の付け方も、そこを意識されているような気がなんとなくしています。そんな、主役になれない男たちの話です。

──今回岡田さんが演じられる菅原役について、現段階で感じていらっしゃるイメージを教えてください。

これは僕もビックリしていることでもあるんですが、この間までドラマでやっていた役と今回の菅原はまったく真逆のキャラクターだと言えそうで。だから良い意味で裏切りたいですし、こういうこともあるからやっぱりお芝居って面白いよってところも見せたいです。何度か舞台に立たせていただき、演劇のことも少しずつわかってきたので、この面白さをさらに大勢の方に提示していきたいという気持ちが年々大きくなってきているんです。

──三浦さんの稽古場での様子で、印象に残っていることはありますか?

三浦さんからは「もっと素っぽく、リアルに」ということを求められていて。僕も生々しいものを出したいという気持ちで稽古に入ったものの、それがいかに難しいかを痛感しているところです。「立ち方をだらしなくしてほしい」とも言われたので、これまで舞台に立つ中で培ったものを捨てて臨まないといけない役かもと思っています。サンダルを履いてみたりしつつ(笑)、三浦さんの言う“だらしなさ”をどう表現するか模索中です。

岡田将生(オカダマサキ)
1989年8月15日、東京都生まれ。2006年にデビュー。映画「Arc アーク」が公開中。「ドライブ・マイ・カー」(8月20日公開予定)、「CUBE」(10月22日公開予定)が公開待機中。舞台では「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」「ニンゲン御破算」「ハムレット」「ブラッケン・ムーア〜荒地の亡霊〜」などに出演。三浦大輔作品には映画「何者」に参加した。12月に上村聡史演出「ガラスの動物園」が控える。

峯田和伸

今井は“三浦作品における菅原裕一”の分身

峯田和伸

──現段階で作品に対してどのようなイメージを持っていらっしゃいますか。気になったキーワードなどがあれば教えてください。

今までの三浦作品とは少し違ったものになるかもしれないと思いました。文体は変わっていませんが、改行の仕方がまったく違うような。

──今回峯田さんが演じられる今井役について、現段階で感じていらっしゃるイメージを教えてください。

自分は今回“今井伸二”ですが、三浦作品における“菅原裕一”のもう1つの分身のような役どころだと感じています。Lo-fiな三浦さん本人です。

──三浦大輔さんの稽古場での発言で印象に残っていることはありますか?

ドラマを観るのとラーメン食べるのが好きな、ちょっとすけべなお兄さん。稽古場でよくおっしゃっているのは、「素でやってほしい」と。役の中にその人の“人間っぽさ”を見つけて出してほしいということなんだろうか。まだ考えています。

峯田和伸(ミネタカズノブ)
1977年12月10日、山形県生まれ。1996年にロックバンド・GOING STEADYを結成し、CDデビュー。2003年、GOING STEADY解散後に、ソロ名義で銀杏BOYZを始動させる。その後、バンド体制となった銀杏BOYZの活動と並行し、2003年公開の主演作「アイデン&ティティ」で銀幕デビュー。三浦大輔作品には映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」、舞台「母に欲す」などに出演。

寺島しのぶ

三浦さんの脚本はいつも空気感が好き

寺島しのぶ

──現段階で作品タイトルや作品に対してどのようなイメージを持っていらっしゃいますか。

物語のないちょー現実的な世界。観ていただければ、よくわかると思います。

──寺島さんは以前も三浦作品に出演されていますが、三浦作品、あるいは三浦演出についてどのような印象をお持ちですか?

三浦さんの脚本はいつも空気感が好きです。セリフのない部分が特に好きです。
芝居、美術、音楽と、総合芸術が合致していないとなかなか納得いかない方という印象です。

寺島しのぶ(テラシマシノブ)
1972年、京都市生まれ。1989年、NHKドラマの「詩城の旅びと」で本格的に女優活動をスタートさせ、2003年、「赤目四十八瀧心中未遂」と「ヴァイブレータ」で国内外の賞を数多く受賞。2010年「キャタピラー」では、ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)に輝く。2018年「OH LUCY!」ではインディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされた。三浦大輔作品はドラマ「裏切りの街」や舞台「禁断の裸体」に出演。