月刊「LaLa」(白泉社刊)で連載された葉鳥ビスコの人気マンガ「桜蘭高校ホスト部」が、2022年にミュージカルとして新生する。“三度のご飯よりミュージカルが大好き”という原作者の葉鳥も、上演決定に際して喜びを明かしていた(参照:歌劇「桜蘭高校ホスト部」須王環役は小松準弥、原作・葉鳥ビスコが喜び「夢かな」)。
「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」で、ホスト部の部長・
取材・文 / 興野汐里撮影 / Ryusei Imai
ヘアメイク / 海野由香、小倉優美(LaRME)スタイリスト / MASAYA
環にイチコロ!
──葉鳥ビスコさんのマンガ「桜蘭高校ホスト部」(白泉社)が“歌劇”として舞台化されることになりました。過去にテレビアニメ化、テレビドラマ化、実写映画化され、人気を博した「桜蘭高校ホスト部」ですが、小松さんはこれまで本作に触れたことはありましたか?
昔、ドラマを観ていて、舞台のお話をいただいてから原作マンガを読ませていただきました。個性的なキャラクターがたくさん登場しますし、ギャグ要素満載なので、初めは笑いながら楽しませていただいていたんですけど、物語が進むにつれて、ホスト部のみんなの過去が明らかになっていって……。それぞれのキャラクターの核になっている部分や葛藤を知るたびに、「彼らも、僕たちと何も変わらない1人の人間なんだ」と感じて、そういった面の描き方に関してもすごく素敵だなと思いました。それと「桜蘭高校ホスト部」には、自分自身が生活していく中でヒントになるようなセリフがたくさんちりばめられているんですよね。ただ楽しいだけじゃなく、自分の背中を押してくれるような、温かいメッセージが込められた作品だと思います。
──小松さんは今回、桜蘭ホスト部の部長・須王環役を演じます。環はナルシストで“おバカ”ながらも周囲から愛されるキャラクターですが、ご自身と環とで「こんなところが似ているな」と感じる部分はありますか?
素直に感情を表現するところなど、いろいろ共通点があるなと思ったんですけど、中でも一番共感できたのが、「楽しく」をモットーにしているところです。僕もまったく一緒なんですよ! 俳優というお仕事をさせていただくうえで、自分自身も楽しくお芝居をやっていきたいし、お客さんはもちろん、周りのキャストさんもスタッフさんも、みんなが楽しい気持ちでお芝居に関わってほしいという思いがあって。ただ、僕はカッコつけるのが苦手で、照れ隠しでボケに走ってしまうことが多いんです(笑)。でも、環はサラッとカッコいいことができるからすごい! 僕が女性だったらすぐ落ちちゃうだろうなって思います(笑)。
──環を演じるにあたり、ご自身の役とどのように対峙したいと考えていらっしゃいますか?
環くんの心の奥底まで歩み寄るところから始めたいと思っています。やりたいことに素直に全力で向かっていく環くんの核となる部分を見つめ、抱えている思いとしっかり向き合って、彼を愛することができれば、環くんとして“生きる”ヒントが見つかってくるんじゃないかなと思います。
──環とはタイプが異なるキャラクターですが、「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」の蓮巳敬人や「舞台『刀剣乱舞』」の豊臣秀頼などを演じる姿を拝見して、ご自身が演じるキャラクターを誰よりも深く理解しようとする小松さんの気概を感じました。
どの作品もそうなのですが、原作のある作品は特に責任があるなと思っていて。皆さんが愛をもって育ててきた「桜蘭高校ホスト部」を生半可な気持ちで演じたら、きっとその思いが透けてしまうし、そんな気持ちでは絶対に演じられません。皆さんに負けないほど作品を愛して、カンパニーのみんなのことも愛していきたいと強く思っています。
今、最もホスト部“ガチ勢”なのは小松準弥!?
──小松さんのお話を伺っていて、すごく頼もしいと感じました。今回、初共演の方が多い座組ですが、キャストのどなたかと作品についてお話しされましたか?
藤岡ハルヒ役の(山内)優花ちゃんと取材で初めてお会いしたとき、僕がハイテンションで優花ちゃんに話を振ったら、上手にサラッといなされて、場が和んだんです。そのとき、「おお! 優花ちゃんってナチュラルにハルヒなんだ!」と思いました(笑)。
──もうすでに環とハルヒのように息ぴったりですね(笑)。ハルヒと同様、盟友・鳳鏡夜との関係性も本作における重要なポイントの1つになりそうです。
そうですね。鏡夜がいるからこそ、環は好きなことができているんだと思うし、(鏡夜役の里中)将道との絆が深まれば深まるほど、環と鏡夜の魅力があふれるんじゃないかなと思っています。ホスト部のメンバーを演じる仲間と良い関係を築き上げた状態で、お客さんの前に立ちたいですね。まだ実際にお会いしていないキャストの方々が多いんですが、将道から「この人はこんな人だよ。あの人はね……」など、いろいろな話を聞いているので、皆さんにお会いできるのが楽しみです。どんなカラーのカンパニーになるのかまだわからないですが、今からワクワクが止まりません!
──環、ハルヒ、鏡夜のほかにも個性豊かなキャラクターが多く登場しますが、小松さんの “推し”は誰ですか?
自分の中で波があって……双子(常陸院光、常陸院馨)推しのときもありますし、稽古に向けて環のことをずっと考えていたので、環推しでもあるんですけど、今はモリ先輩(銛之塚崇)ですね! これは将道の影響かもしれないな(笑)。「指名するなら誰が良い?」っていう話をしてたとき、将道が「モリ先輩とお茶を飲みながらゆっくりしたい」と言ってて、「うわ! それも良いな!」と思ったんです。環におもてなししてもらって、ホスト部の極意を肌で感じたいと思っていたんですけど、「モリ先輩がもてなしてくれるとしたらどんな感じなんだろう? えっ……? さりげなくキュンとさせてくれるのかな?」って考え始めちゃって(笑)。でも鏡夜も気になるんだよな……。
──もうホスト部にどっぷりですね!
そうなんです! 皆さんが「桜蘭高校ホスト部」を好きな理由が本当によくわかります。この人すごく素敵、でもこの人も素敵……みたいに、“好き”の輪がどんどん広がっていく感じがこの作品の魅力だと思うんですよ! ……ちょっと落ち着きます(笑)。
新しい魅力を届けたい
──笑いあり、涙ありの「桜蘭高校ホスト部」を青春群像劇の名手・劇団鹿殺しの菜月チョビさんがどう立ち上げるのか、非常に楽しみです。
以前、劇団鹿殺しさんの「傷だらけのカバディ」を拝見したのですが、皆さんが全力で青春を謳歌している姿に胸が熱くなりました。今回、ホスト部のみんなとワチャワチャするシーンがあるんですけど、菜月さんとたくさんお話しながら作っていけたらと思います。
──小松さんは俳優として活動する傍ら、2019年にアーティストデビューも経験されています。今回「桜蘭高校ホスト部」を“歌劇化”するということで、小松さんの歌唱シーンを心待ちにされているファンの方も多いのではないでしょうか。
歌が得意かと言われるとそうではないのですが、歌うこと自体は大好きなんです。歌やダンスで表現する機会をいただけたことがすごくありがたいですし、僕自身も純粋に楽しみですね!
──それでは、キャストの皆さんの“おもてなし”を心待ちにされている“姫”たちに、一言メッセージをお願いします。
少しずつではありますが、皆さんが劇場に足を運べる状況になったことがすごくうれしいですね。「桜蘭高校ホスト部」という作品をリスペクトしながら、新しい魅力をお届けできたらと思います。この作品を愛してくださっている方も、初めて触れる方も、「『桜蘭高校ホスト部』ってこんなに面白い作品なんだ!」「原作も読んでみようかな」「もう一度舞台を観てみようかな」と思ってもらえるように、心から楽しかったと思ってもらえるような作品にするので、楽しみに待っていてください!
プロフィール
小松準弥(コマツジュンヤ)
1993年、宮城県生まれ。第13回 FINEBOYS専属モデルオーディション、TOHOKU DREAM AUDITION 2015でグランプリを受賞。2016年に俳優活動を開始し、2019年10月にシングル「A Way of Life / Toxic」でアーティストデビューを果たした。近年の主な出演作に「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」シリーズ、「あずみ~戦国編~」「舞台『刀剣乱舞』」シリーズなどがある。
小松 準弥 | Sun Music Group Official Web Site