「仮面ライダーリバイス」初のスピンオフ「仮面ライダーリバイス The Mystery」全5話がTELASA(テラサ)で独占配信されている。そのタイトル通り、仮面ライダーと推理ドラマの要素が融合した本作では、陸の孤島となったペンションで起きた殺人事件をめぐる物語が描かれる。一輝とヒロミ、そしてゲストヒロイン・鈴の三角関係も見どころだ。
映画ナタリーでは「仮面ライダーリバイス The Mystery」出演者7人による座談会を実施。「リバイス」本編から前田拳太郎、濱尾ノリタカ、小松準弥、過去の仮面ライダーシリーズから同役で出演した唐橋充、井俣太良、木ノ本嶺浩、そしてゲストヒロインの逢沢りなに作品の見どころを聞いた。撮影の裏話や、「どんなスピンオフが観たいか」といった話題も飛び出すレギュラーとレジェンドのクロストークに注目だ。なおTELASAでは3月28日から4月10日まで、「テラサ 春の無料ウィーク!」と題したキャンペーンを実施中。「仮面ライダーリバイス The Mystery」第1話ほか、100作品以上のドラマやバラエティを誰でも無料で観ることができる。
取材・文 / 松本真一撮影 / ツダヒロキ
「仮面ライダーリバイス The Mystery」キャスト座談会
撮影は笑いをこらえるのが大変でした(前田)
──「仮面ライダーリバイス The Mystery」の撮影を終えた感想としてはいかがですか。
前田拳太郎 今回はミステリーという要素があって、さらに恋愛の三角関係を描くということを台本をもらったときに知ったんですけど、本編とは別の感覚で撮影に臨めたので新鮮でした。
濱尾ノリタカ いい意味で本編とズレてますよね。スピンオフといっても本編の延長線上とか、場所が違うだけということもありますが、本当の意味のスピンオフというか、本編でできないことをしっかりやっている。“振り切って”いる面白さがあったのではないかなと思っております。
木ノ本嶺浩 (前のめりで)え、「振り切る」?
濱尾 気付いてくれました?(笑)
──仮面ライダーアクセルの決めゼリフ「振り切るぜ!」をさり気なく入れてくれたんですね(笑)。小松さんはいかがですか?
小松準弥 それぞれのキャラクターが「リバイス」本編とは違う形で描かれてるので、魅力が広がっていくのも楽しかったですね。僕たち自身も「このキャラはこういう一面を持ってたりするのかな」と考えながらやらせてもらったので、それは本編に生きてくるんじゃないかなと思います。
濱尾 それはありますね。自分の演じるキャラだけではなくて、一緒にお芝居をしている前田くん、小松さんの知らない一面が見えることもありました。ゲストの方々とお芝居させていただいたときにアイデアの引き出しをいただくこともありましたし。作品として面白くなったことも大事ですが、役者としての糧になることがすごく多かったので、こういう機会って大切だと思いました。
──特に小松さんは、恋愛パートでは本編よりも若干コメディ寄りの演技でしたね。
前田 若干……?(笑)
小松 若干ではないですね、それこそ振り切ってやらせていただきました(笑)。
──門田ヒロミって恋愛が絡むとあんなキャラになるのかと驚きました(笑)。特にau 5Gチャンネルでは、1話と5話を別角度から見られるマルチアングルドラマというコンテンツがあり、恋するヒロミの心の声がダダ漏れになるというムービーが配信されています。
小松 ありがたいことに、心の中の門田ヒロミを前面に出す機会をたくさんいただけたので、どこまでいけるか挑戦したいっていうのが個人的にありましたね。本当にやりすぎちゃったら監督がきっと止めてくれるだろうと。
──監督から「それはやりすぎ」と言われることはありましたか?
小松 いや、ほぼなかったですね。これまで演じさせてもらった門田ヒロミという人物とのバランスは意識してたんですけど。「門田ヒロミはもしかしたらこうなるかも」という、ギリギリのところを探っていけました。一輝と鈴さんに嫉妬する役どころだったので、嫉妬が積み重なった結果、ああいう暴走につながったのかなって(笑)。
前田 僕と鈴さんがいる画角に、ヒロミさんが無理やり映り込んでくる場面があって(笑)。撮影は笑いをこらえるのが大変でした。
小松 僕がずっとふざけてたんですけど、映ってないときでもそんな感じだったので、たぶん邪魔でしかなかったと思います(笑)。
前田 あんまりヒロミさんに構ってると進まないんですよ(笑)。
──ヒロミと一輝が2人とも振り切ると大変なことになりそうです。
井俣太良 振り切っていい人(小松)と、振り切っちゃいけない人(前田)だよね。
小松 場の空気を和やかにはできたかなと思うんですけどね。ゲストの先輩方がいるとちょっと緊張するかなと思ったんですけど、そこで緩和されたというか。
──前田さん、小松さんと三角関係になる鈴役の逢沢さんは、今回の撮影はいかがでしたか。
逢沢りな 私は皆さんと違って仮面ライダー経験者じゃなくて戦隊(「炎神戦隊ゴーオンジャー」)だったので、溶け込めるかどうか不安だったんです。でもコミュニケーションを取ってくださる方たちばかりで、初日からすごく楽しくてありがたかったですね。
小松 こちらこそ。
逢沢 あまり詳しくは言えないんですけど、鈴という役も楽しめました。
──実はとある秘密があるキャラでしたね。
逢沢 私はけっこう、こういった役を演じることが多かったので。
木ノ本 そうなんだ。でも本人がこういう雰囲気だから、キャスティングする側は違うタイプの役を見たいのかもしれないですね。
逢沢 でも楽しく演じるほうではありますね。
1年掛けて作った役には、今でも愛情とこだわりがある(唐橋)
──「リバイス The Mystery」はゲストも豪華ですよね。さきほど逢沢さんが「ゴーオンジャー」に出ていたというお話がありましたが、木ノ本さん、井俣さん、唐橋さんは過去の仮面ライダーシリーズから同役での出演です。特撮の現場に戻ってこれるのはやはりうれしいものですか?
木ノ本 思い入れがめちゃくちゃありますからね。
逢沢 うれしさしかないです。
井俣 僕はいろいろですね。キツかったとかつらかったとかもひっくるめた感情があります(笑)。でも、こういう現場を新しい子たちと共有できるのはすごく面白いです。
木ノ本 今のほうが俯瞰して見れる気はしてます。「仮面ライダーW」レギュラー当時はただ毎日がむしゃらに1年間やり続けてたんですよ。だけど今そういう状況にいる3人と相対したときに、「走れ!」とは思うんですけど、俯瞰で「がんばれ」と見れる感じも同時にあって、それは新鮮でしたね。年齢を重ねたんですかね(笑)。
井俣 役自体も歳を重ねてる設定なのかなとは思ってますよ。その分、深みみたいなのも出ていて、自分でも驚きます。歳を取った追田ってこういうキャラなんだ、照井ってこういうお芝居するんだなって。
木ノ本 そうですよね。昔の照井だったら怒ってたけど、今の照井なら怒らないだろうなっていうシーンもありました。
唐橋充 (大きくうなずいて)大いにありますね。あとは「台本にはこう書いてありますが、(自身の演じた)海堂はこんなこと言わないんですよねえ」だなんて、脚本家さんに失礼なことを言っちゃうときもあって。あくまで我々はゲストであって、いかに縁の下の力持ちに徹することができるか……って現場に入るときは心に決めてるんですけど、それでも「やっぱりこんなことしない」って暴走しちゃうこともあって。よくないですよね、OBなんだから。
木ノ本 いやいや、あると思います。
唐橋 やっぱり1年間掛けて作ってきたものには、こんなに愛情とこだわりがあったんだなって。自分でも驚くくらいなんです。
──熱いですね。唐橋さんは先ほどの写真撮影のときも「この(みんなで斜めに立っている)ショットは使わないでしょう?(笑)」などと言って盛り上げてくれてましたが、すごくムードメーカーというか……。
唐橋 え? ヌード?
──「ムード」です。
唐橋 さっき着替えてたら「そこで裸にならないで」って怒られたからその話かと思っちゃった。
──(笑)。唐橋さんは現場でもずっとこんな感じですか?
木ノ本 はい(笑)。
唐橋 でもそういう意味ではね、濱尾さんが僕らをアゲるのがとってもお上手なんですよ。
濱尾 いやいや、別にアゲようとしてアゲてるわけじゃないですから。
木ノ本 彼はライダーに対する知識量が無尽蔵ですよね。
唐橋 しっかりとした知識も愛情も熱もあって。僕がいかに、何十年もぼんやりと生きてきたかって思い知らされました。
──濱尾さんは過去の仮面ライダーに詳しいジョージ・狩崎という役ですが、ご本人もライダーオタクなんですよね。木ノ本さんの出演が発表されたときも「レジェンドの皆様とご一緒させていただけることに狩崎と濱尾がいちばん興奮しております(笑)」という、“らしい”コメントを出されていました。現場でも常に興奮してる感じだったんでしょうか。
濱尾 それはもちろんです。とはいえ単純に喜ぶだけの狩崎と、濱尾としての興奮の仕方はやはり違います。作品を観てるうえで、本当に素敵だなと思って、どうしても好きなキャラというのはいるわけで。そういう意味では、この「リバイス The Mystery」は僕的にキャスティングが本当にうれしい。「仮面ライダー4号」にゲスト出演した海堂のシーンは、歴代のライダーの中でもトップレベルと言っていいぐらいに好きなんです。
──レジェンドの皆さんには、当時の裏話も聞いたんですか?
濱尾 はい。お話を伺える機会は本当に貴重ですから。特に木ノ本さんとは長く一緒にいさせていただいたので……。
唐橋 あの人があの人を好きになっちゃった話とか?
濱尾 いやいや(笑)。
木ノ本 (わざとらしく)えーっと……(笑)。
井俣 あっはっはっは。
濱尾 (笑)。菅田(将暉)さんとのお話とか聞かせていただきましたよね。
木ノ本 ああ。「仮面ライダーW」の現場では、桐山漣くんがイタズラをするのがすごい好きだったんですよね。当時17歳の菅田将暉に、とあるイベントの舞台上で誕生日プレゼントを渡したことがあるんですよ。カバンなんですけど、それが絶妙にダサくて(笑)。でもやっぱり彼は真面目だし、みんなが観てる前だと喜ばざるを得ないから、「ありがとうございます!」って言って、ちゃんと使うんですよ。それをしばらく経ってから「そろそろネタバラシするか」って、みんなでお金を出し合って買ったすごくいいカバンを「実はあれはイタズラで、本当のプレゼントはこれなんだ」って渡した、っていうエピソードです。
濱尾 そういうのをいろいろ聞かせていただきました。
──イタズラといっても、誰も傷付いてないですね。
木ノ本 1年同じ現場で撮影をやってるとフラストレーションがたまることもあると思うので、どっかで息抜きみたいな、人を傷付けない程度の遊びというか、そういうのができたらいいよねという……この話、記事に使えるかな?
唐橋 使えますよ、めちゃくちゃいい話。うちの現場なんてさあ……。
──絶対に余計なこと言うのでやめてください(笑)。