天野天街と小熊ヒデジが語る“演劇でしかできないこと”を詰め込んだ「りすん」、キャストが明かす稽古の様子 (3/3)

キャストが明かす稽古の様子

妹役:加藤玲那

加藤玲那

──ご自身が演じられる役について、現在どんなキャラクターとして捉えていますか?

私にとって朝子は“今この時”を全力で生きている少女。女の子特有の勘の鋭さ、というか、察しの良さを持っていて、嫌でもいろいろ気付いてしまう子なのですが、それでもどこか、あどけなさがあって。そして、家族や自分のルーツをとても大切にしていて、そこに無条件の愛を持っている(持てる)魅力的な子だと感じています。

──今回はたった3名のキャストで本作を立ち上げます。共演のお二人はそれぞれどんな俳優さんだと思いますか?

菅沼さんは、普段とても真っ直ぐで礼儀正しい方で。たまに垣間見える、腹を括った勇気と強さが、お芝居をされるときの目に出ているのが印象的です。アリさんは、演技中も普段も、ついつい頼ってしまう心強い俳優さん。演技中、ずーっと「可愛らしさ」があることが本当にすごい。お二人とも初めてご一緒させていただくのですが、とても気さくで温かい、尊敬する俳優さんです。

──原作や台本で印象的だった言葉やシーン、あるいは稽古の中で印象的に残った天野さんの発言や行動を教えてください。

朝子の「お兄ちゃんて、なんでお兄ちゃんなんだろ、ね。」は、私の中に残り続けている言葉です。
印象的なエピソードとして、ある日の稽古中、天街さんが「もう(最終的な絵が)見えてきたね」と。もちろん、セリフも大切ですが、天街さんは、俳優がその時に纏う空気をとても大切にされていて、それを常に見ているのかなと感じた瞬間でした。あとは、天街さんがひらめく、裏ルール! 小さなルールが舞台の中にカラクリのようにちりばめられていて、演じていてもとても楽しいです。

プロフィール

加藤玲那(カトウレイナ)

1997年、愛知県生まれ。ナレーター、パーソナリティ、役者、書道家。高校演劇部を経て、大学より名古屋を拠点に演劇を始める。現在は主に番組 / 動画ナレーションやテレビ/ラジオのMCとして活動中。

兄役:菅沼翔也

菅沼翔也

──ご自身が演じられる役について、現在どんなキャラクターとして捉えていますか?

服装に無頓着で、カバンに銭湯セットを入れて持ち歩き、大学と就職活動以外は付きっきりで朝子の看病にあたる。そんな行動にこそ隆志の人となりが表れていると思います。ときに言葉遣いがキツく感じられることもありますが、逆に言えば、思ったことは包み隠さず相手に伝えられる、裏表のない青年。「静かにしろ」と言っておきながら、吹っかけられるとすぐに乗っちゃうところも憎めません。

──今回はたった3名のキャストで本作を立ち上げます。共演のお二人はそれぞれどんな俳優さんだと思いますか?

加藤玲那さんは今回が初共演。稽古中も普段も、相手をよく見る方という印象があります。「今日のTシャツ良いですね」「菅沼さん、髪の毛に芋虫が付いてますよー」。よく見てるから、よく気付く。見習いたいです。宮璃アリさんは過去に映像でご一緒させてもらったことはありますが、舞台は初めてです。アリさんが笑うと現場の空気が和む、ムードメーカー的存在。初演にも出ていらっしゃるので、わからないことがあれば、すぐアリさん。とても心強いです。

──原作や台本で印象的だった言葉やシーン、あるいは稽古の中で印象的に残った天野さんの発言や行動を教えてください。

初めて原作を読んだとき、1行目「しぇけなべいべな」から心を掴まれました。なぜなら、私ごとで恐縮ですが、ビートルズが大好きだからです。その後もザ・キングトーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」に大瀧詠一さんの「カナリア諸島にて」、大正生まれの祖母がよく口ずさんでいた「戦友」などなど、個人的に思い入れのある楽曲が次から次へと出てくる……。勝手に親近感を覚え、ワクワクしながら読み進めたのを覚えています。

プロフィール

菅沼翔也(スガヌマショウヤ)

1989年、愛知県岡崎市出身。ホーボーズ所属。名古屋大学在学中よりタレント活動を始め、名古屋おもてなし武将隊2代目豊臣秀吉役を約3年間務めたあと、舞台やドラマ、映画の分野で活動。大河ドラマ「どうする家康」第1話&32話、名古屋市短編映画「五時のメロディ」等に出演。ミュージシャンとしても活動中。

祖母役:宮璃アリ

宮璃アリ

──ご自身が演じられる役について、現在どんなキャラクターとして捉えていますか?

お節介だけど、かわいらしくて憎めない、2人のことをとても大切に思っているおばあさんだと思います。というか、そんな風になるといいなぁ。

──今回はたった3名のキャストで本作を立ち上げます。共演のお二人はそれぞれどんな俳優さんだと思いますか?

お2人ともとても真面目で、器用な方です。加藤さんは常に可愛らしく、菅沼さんは常に爽やか。原作の朝子と隆志にピッタリだと思います。お2人とも天野さんの演出や台本は初経験ですが、天野さんの一言一言をきちんと身体に取り込んで、修正というか表現され、膨大なセリフも着実にご自分たちの言葉にされています!そんなお2人と今回共演させていただく事ができて、とてもうれしいです。

──原作や台本で印象的だった言葉やシーン、あるいは稽古の中で印象的に残った天野さんの発言や行動を教えてください。

たくさんありますが、今の稽古中の私のお気に入りのセリフは「ムッ」。どこかで、誰かが「ムッ」って言うので、それも楽しみにご覧いただければ。とっても可愛らしいです。本当に諏訪さんの言葉たちは、楽しくて興味深くて。そこに天野さんのエッセンスが加わって、この舞台が立ち上がってきています。是非、原作「りすん」をお読みいただいてから、舞台「りすん」をご覧いただければと思います。

プロフィール

宮璃アリ(ミヤリアリ)

三重県四日市市在住。2002年の四日市市民演劇出演を機に演劇活動を始める。近年は舞台以外に、NHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」などのテレビドラマやラジオドラマ、映画等の映像作品への出演や地元コミュニティラジオのパーソナリティ、演劇や音楽ライブの企画制作なども手がける。

※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

2023年9月9日更新