六角精児が語る、ドラマ「#声だけ天使」|青春は必ずしもイケてない

1月15日に放送開始されたAbemaTV初の完全オリジナルドラマ「#声だけ天使」。プロの声優を目指し、田舎から上京した主人公・岸田建造(ケンゾウ)が、専門学校の声優科の仲間と共に、好みのボイスをユーザーに届ける「イケてるボイスサービス(仮)」(通称「イケボイ」)を立ち上げ、奮闘する青春群像劇だ。ステージナタリーでは「#声だけ天使」の脚本を手がけた横内謙介と古くからの仲であり、横内が主宰する劇団扉座の創立メンバー・六角精児にドラマの魅力について話を聞いた。ケンゾウを観て「昔の僕にちょっと似てる」と述べる六角が自身の青春を振り返る。

取材・文 / 川口聡 撮影 / 宮川舞子

相関図

相関図

「みんながやるから、僕もやる」

──まずは「#声だけ天使」を2話まで観て、率直にいかがでしたか?

六角精児

若者が「自分を試したい、自分の可能性にかけてみたい」という気持ちは、いつの時代も同じなんだなと思いました。ただ「#声だけ天使」に出てくる人たちはものすごくエネルギッシュですよね。僕が若い頃はここまで熱くなかった。高校のときに横内謙介や、このドラマでアングラ先生を演じている岡森諦が1つ上の先輩にいて、僕は誘われる形で劇団(扉座の前身である善人会議)に参加したんですが、そのときは自分が俳優になろうなんて考えてなくて、「みんながやるから、僕もやる」という感じで、流されながらなんとなく生きてるうちに、この世界にすがるしかなくなった人間なんです。

──周囲の人を引っぱるのは当時から横内さんの役目だったんですか?

そうですね。横内は高校時代、生徒会の副会長をしていて、しかも会長を陰で動かすブレーンみたいなタイプで(笑)。実行力のある男ですし、劇作家を目指して劇団を作って、制作でもなんでもやってました。そんな熱い気持ちを持つ彼だからこそ「#声だけ天使」のシナリオが書けたんだと思います。

──物語のどんな部分に横内さんらしさを感じましたか?

主人公の周りに「それはやめたほうがいいんじゃないか!」と止める人間がいないところですかね。思ったことに対して全力で突っ走るだけ。それは横内が若者たちを描くとき、若い頃の自分を投影しているんだと思います。

AbemaTV「#声だけ天使」より。亀田侑樹演じる岸田建造。

──主人公のケンゾウは、声優になるために地元・愛媛のスーパーで2年間アルバイトをして資金を貯め、上京後は居酒屋で働きながら声優科に通っている努力家です。六角さんの十、二十代の頃と比べていかがでしょう?

僕はそこまで「何者かになりたい!」という意識はなかったですが、バイトしながら劇団の公演に出ていたので、状況的には似てるかな。公演と言ってもギャラなんかまったく出ませんでしたから。

──アルバイトは何をされていたんですか?

“ミュージックテープ”を卸す倉庫で働いてましたね。そのテープは一応JASRACを通ってたらしいんですが、完全にバッタもんで、八代亜紀さんの曲を全然知らない人が歌ってたりするんです(笑)。で、ある日、その倉庫に行ったら潰れてて、一緒に働いてたおばちゃんがすごくさびしそうだったな……。あとは岡森さんと自動車工場で働いたりもしてた。岡森さんから「一緒に辞めよう」って言われてすぐに辞めましたけど。

「#声だけ天使」
毎週月曜22:00~

脚本:横内謙介
音楽:平床政治
演出:尾形竜太
プロデューサー:稲葉尚人
エグゼクティブ・プロデューサー:藤田晋

出演

岸田建造:亀田侑樹
長友信二:佐久本宝
小森茜:松本妃代
寺本武文:久ヶ沢徹
葛原しのぶ:山口景子
安西さくら:仁村紗和

小此木理恵:清水葉月
ハル♡ビッグユニット:
柿本光太郎
三澤貴之:馬場良馬
江津子:立石晴香
メグミ:今田美桜
アングラ先生:岡森諦

STORY

池袋の声優のための専門学校で出会った主人公・ケンゾウと4人の仲間たち。彼らは声優になるという夢を実現するため、ボイスサービスサイトを立ち上げる。ある日、1人の女性からケンゾウにリクエストが送られてきた。その依頼主であるさくらが気になって仕方ないケンゾウは、彼女に直接コンタクトを取ってしまうのだった……。登場人物達それぞれが抱える問題が明かされる中、ケンゾウとさくらの恋の行方は?

六角精児(ロッカクセイジ)
1962年兵庫県生まれ。劇団善人会議(現・扉座)の旗揚げに参加。劇団公演をはじめ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、中島淳彦、大谷亮介、福原充則、倉持裕などさまざまな演出家の作品に出演する。また映画やドラマへの出演も多く、特に「相棒」で演じた米沢守役は、主演映画「鑑識・米沢守の事件簿」が制作されるほど人気を博す。鉄道マニアとしても知られ、「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」などの番組にも出演。ギターと歌を得意とし、バンド活動も行なっている。5月15日から鈴木裕美演出「シラノ・ド・ベルジュラック」(東京・日生劇場 ほか)に出演。