明るくコミカルなキャラクターから、憂いを帯びた役どころまで、作品ごとにさまざまな表情を見せる俳優・陳内将。彼の記念すべき1st写真集「J」が4月14日に発売される。陳内の名前にちなんで「J」と名付けられたこの写真集は、これまでに陳内が演じてきた役を1つひとつ振り返るような、陳内が歩んできた俳優人生が色濃く反映された構成になっている。また本書には、陳内の出演作である舞台「紅葉鬼」の原作者・桜日梯子と、陳内の同級生であるねこクラゲがイラストを寄稿している。携わるクリエイターの人選からページ構成までこだわり抜いたという本書について、陳内に話を聞いた。

取材・文 / 興野汐里　インタビュー撮影 / 須田卓馬

変幻自在な魅力が詰まった1冊

──初の写真集発売、おめでとうございます。

ありがとうございます。4月14日、図らずも大安の日に発売することになりました（笑）。

──縁起が良いですね。今回の1st写真集には、陳内さんのお名前にちなんだ「J」というタイトルが付けられています。

まず“J”から始まる英単語をいくつか挙げて、それをもとにプロデューサーやディレクターとディスカッションしながら構想を練っていったんです。撮影したのは10月下旬頃で、メイクさんやスタイリストさんにご相談しつつ、当日現場で生まれたアイデアも取り入れながら撮影していきました。

──本書には、“JOYOUS”“JUNK”“JAMMY”“JAM”“JUDGE”“JADED”“JUNGLE”“JUVENILE”“JAPAN”“JOKER”“JEALOUSY”“JOURNEY”など、“J”にまつわるテーマ沿った写真が収録されています。

自然体なイメージで撮ったものとガッツリ作り込んだものといろいろなパターンがあって、中でも“JUNGLE”で見せている表情が素の自分に一番近いかもしれません。カッコつけるでもなく、等身大の陳内がそこにいる感じ。特にセットや照明、衣装、メイクにこだわって作ったのは、道化師をイメージした“JOKER”や、和装で挑んだ“JAPAN”です。スタッフの方々の力を借りて、自然にカッコつけさせてもらいました（笑）。どれもお気に入りなんですが、我ながら「いろいろな表情してるなあ」って思いましたね。

──俳優として演じることと、写真の被写体として演じること、何か通底する部分はありましたか？

役に入るというのとは少し違う作業なのですが、自分の身体でいろいろな世界を表現するのがすごく楽しかったです。

──ミュージカル「忍たま乱太郎」の善法寺伊作のように心優しい役から、「ミュージカル『テニスの王子様』」2ndシーズンの柳沢慎也を代表とするユーモラスなキャラクター、心の奥底に秘密を抱えた「TRUMP」シリーズのティーチャークラウス、自信に満ちあふれた「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズの皇天馬のような役まで、幅広い役柄を演じられてきました。今回の写真集はまさに、陳内さんの変幻自在な魅力が詰まった1冊になったのではないでしょうか。

確かに、今まで演じてきた役の振り返りみたいなポイントがあるかもしれません。例えば「『東海道四谷怪談』で女形を演じてたな」とか、これまで務めてきたいろいろな役を思い出してもらえたらうれしいですね。

──ポップなイメージで撮影された“JUNK”のカットからは陳内さんが持つ少年性を強く感じて、笑顔の裏に寂しさを抱えた「淋しいマグネット」のシオンを思い出しました。長年にわたって陳内さんの活動を応援している方はもちろん、最近の活動を通してファンになった方も、陳内さんの新しい表情を知ることができる貴重な作品になっています。

初の写真集ということで表紙にもすごくこだわっていて、どの写真を表紙にするか3日くらい悩んで……。実は最初、別の写真が候補に挙がっていたんですけど、今表紙になっている東京タワーをバックにした写真は、改めて見返したときにすごくテンションが上がる1枚だったんです。「俺、この写真好きじゃん！ 俺のこの“好き”を皆さんに届けたい！」と思ってこの写真に決めました。……自分で自分の写真を見て、「これ好き！」って言ってるのヤバいですね（笑）。あとはそれぞれテーマや写真の掲載順にもかなりこだわって、色のバランスを考えながら流れを決めたり、最初のカットは“未来”を見据える写真にして、最後のカットは“過去”を振り返るような写真にしたりと、自分のリクエストをたくさん反映してもらいました。なぜこのページ構成になっているのか、陳内がどんな意図で写真の順番を決めたのかを想像しながら見ていただけると、より楽しんでもらえるんじゃないかなって思います。