丘山晴己の成熟とは気付くこと、“自分だけ”の時期があったからこそ今がある HARPER'S CROSSING~ I.W.HARPER とともに語る「好きを、貫く。」~ (2/2)

初めての一人旅で知った、自分にフォーカスする大切さ…ワクワクを選ばないと自分が生きない

──丘山さんはアートにも精通されていて、舞台俳優と並行して画家やアーティスト活動をされています。その両軸で“好き”を貫くために大切にされていることはありますか?

アートも舞台も思考的には同じで、パフォーマンスの一部なんです。リハーサルがあるかないか、そしてまたリハーサルの形も違う。アートの場合は黙々とスタジオにこもって、リハーサルして、1人で作品を作って出すという、どちらかと言うとプロデューサーのような立場です。「この子たち、一生懸命育てたけど、大丈夫かな?」って(笑)。舞台は、それを自分の身体でやっている感覚です。面白いのが、僕は展示会場のデコレーションから音楽、香り、作品の配置までを考えて空間を作り、展示を観に来てくれたお客さんが楽しめるように、アートの説明をするんですよ。それってもう、演出家ですよね。だから僕にとっては、アートもパフォーマンスと一緒なんです。

丘山晴己

丘山晴己

──好奇心旺盛な丘山さんが、最近、挑戦したことはありますか?

初めての一人旅で昔から夢だったエジプトに行ってきました。これがとてつもなく楽しくて。これまで旅行は家族や友人が一緒で、1人で旅行をすることはなかったので、言葉もわからず、カルチャーも違い、まったく関わったことのない世界に1人で飛び込むことは、最初はすごく怖かったんです。でも、行ってみたらさまざまな気付きがあって。ずっとお話ししてきた通り、僕が情熱を注いできたのは、“人を楽しませる”ということだった。でも、それって誰かに対して気遣いをし続けることと表裏一体で、ふと「自分は?」と思ったんです。自分にフォーカスすることなく、人のことばかりを気にしていたということに、40歳を超えて初めて気が付いたんですね。一人旅の間は、自分がどう感じているか、何をしていたら楽しいかということをあらためて感じ取る機会になりました。これからは行ったことのない、想像もつかないような場所に1人で行ってみる、ということをやっていきたいです。

──年齢を重ねると臆病になったり、知った気持ちになって行動しなかったりすることも多くなりそうですが、新たにチャレンジされる姿勢が素晴らしいです。

ワクワクするものを選ばないと自分が生きていないから。それに対しての努力は惜しみたくないんです。そこで得たエネルギーや感性はパフォーマンスにも応用できるし、違うアプローチでお客さんを喜ばせる方法になるかもしれないから。こうやって言葉にしてみると、僕の中ではすべてが“喜ばせる”ことにつながっていて、ずいぶん明確だなと思いました(笑)。同じ話になっちゃってすみません。

“自分だけ”の時期があったからこそ、今がある

──あらためて、本日、異色のメンバーでゴルフをプレーされていかがでしたか?

初めましての人でもゴルフを通してコミュニケーションができると、共通の目的や話題ができるし、掛け合うこともできて、良いなと思いました。こんなにも綺麗なゴルフコースで、完璧なウェザーの中でプレーするのも楽しかったです。たくさんの大人に観られて、普通だったら緊張すると思うんですが、僕は逆にそれが落ち着くので(笑)、友人と2人でプレーしたときよりもちゃんと打てたと思います。

HARPER'S CROSSING~ I.W.HARPER とともに語る「好きを、貫く。」~座談会の様子。(撮影:佐々木隆宣)

HARPER'S CROSSING~ I.W.HARPER とともに語る「好きを、貫く。」~座談会の様子。(撮影:佐々木隆宣)

HARPER'S CROSSING~ I.W.HARPER とともに語る「好きを、貫く。」~

※特設サイトのオープンは2026年5月7日を予定。

──ゴルフのあとには皆さんで、I.W.ハーパーと共に会話を楽しんでいただきました。上品なI.W.ハーパーは、社交の場で交流を深めるときにも合うお酒として親しまれていますが、丘山さんは普段はあまりお酒をお飲みにならないとか。

たしなむ程度にしか飲まないのですが、お酒の味は大好きなんです。なので、風味には詳しくて。もし酔わなかったとしたら、1人で自分時間を楽しむために味わって飲むタイプなのかなと思います。いろいろなお酒をストレートで楽しみたいです。

──召し上がられたのは、2022年に一度終売し、ファン待望の再販となったI.W.ハーパー12年です。味はいかがでしたか?

まろやかで深みがありますね。フルーティーな風味が舌先に残って、すごく口当たりが良いです。男女関係なく、お好きな方が多いお酒なんじゃないかなと思います。

丘山晴己

丘山晴己

──バーボンウイスキーは時間を重ねて、成熟を楽しむお酒でもありますが、四十代を迎えてご自身が成熟したと感じられる部分はありますか?

成熟って、何をもって成長したか、ということでもあると思うんですが、僕の場合、それは“気付き”だと感じています。自分がワクワクすることが、実はみんなのハッピーのためだったということにリンクしていたという、そのことに気付けたのが自分の中での一番の成長、成熟だったなと。その気付きを得られたのが三十代で、二十代の頃はひたすら自分のためだけに進んでいた気がします。でも“自分だけ”の時期があったからこそ、その反対側である“他者”を知ることができたんですよね。1つを起点にプラスとマイナスへどれだけの幅を見いだせるか。その幅をいかに広げられるかが、自分の視野の広さにもつながると信じています。視野はできるだけ広く持って生きていきたいので、マイナスなことも、プラスなことも両方好きだと言える自分になれたのがうれしいですね。

丘山晴己

丘山晴己

アートの領域に達したものは時代と共に評価される、見習いたいI.W.ハーパーのアートスタイル

──視野の広がった丘山さんが“好き”を貫くために、今後、やっていきたいことは何ですか?

受け入れるという大切さ、好きなこと、自分がどんな人間かというのはある程度わかったので、今自分が持っているものの種類を増やすのではなく、それぞれの質を高めていきたいなと思います。自分の深さを出していく作業が、次のステップになるのかなと。

──今おっしゃった「質を高める」というのは、“fewer and better”(作り出せるものが少量だったとしても良いものを)をモットーに質にこだわり、結果として多くの博覧会で金賞を受賞したI.W.ハーパー ゴールドメダルの歩みにも似ていますね。挑戦を続け、四十代で新たな自分と出会ったという丘山さんが、今、チャレンジしようとしている大人たちに伝えたいことはありますか?

おこがましいかもしれませんが、大人の先輩方には、年齢に関係なく挑戦できることのバラエティを多く持ってほしいと思います。日本のカルチャーって年齢を重視したり、年齢と照らし合わせて考えたりすることが多いと思いますが、何歳だからこうあるべきという固定概念にとらわれることなく、この年齢でこんな挑戦ができるんだ、この年齢でこういう“好き”を発信できるんだというお手本に、どんどんなっていってほしいなと思います。ぜひ、周りの大人たちに皆さんのワクワクを見せてください。

──I.W.ハーパーの創業者であるアイザック・ウォルフ・バーンハイムは、ドイツからアメリカに渡った際に4USDのみをにぎりしめて、不退転のリスクを負ったことでも知られています。逆境を乗り越えて、自らの信念と理想を追求し続けてブランドを確立しましたが、そのように“理想を追い求める”姿勢は、丘山さんと重なる部分があると思いますか?

自分のことはよくわからないです。でも、おそらく共通することは、ビジョンを持てていたんじゃないかなということ。ビジョンがなくて、勝手にここまできちゃった!なんてことはないと思うんです(笑)。情熱を注いでいることに対しては明確なビジョンがあったと思うし、貫き通せる自信やこだわりも持っていたはず。そこは少し重なる部分もあるのかなと思っています。きっと創業者のアイザックさんにとっては理想のバーボンウイスキーを作るということがアートだったんですよね。アートの領域に達したものは、時代と共に評価される。I.W.ハーパーというアートのスタイルを変えずに信念を守り継いでいったから、光が当たる時が来た。そこまで目標を掲げ続けた自信と体力が素晴らしいと思います。僕も見習いたいです。

──ちなみに、現在の丘山さんに見えている、表現者としての次なるビジョンは何でしょうか?

次のステップは、プロデュースをすることかな。俳優、アーティストとしての経験が積めたからこそ、その知識でもってうまくエンジンがかけられたら、素敵なプロデュース作品ができると思っています。誰を起用して、どういった形態で、どんな演出で作ったら、どんなふうに喜ばれるか。パフォーマンスでも、プロダクトでも良いですが、そうやって自分の冒険を続けていきたいですね。

丘山晴己

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プロフィール

丘山晴己(キヤマハルキ)

1985年、東京都生まれ。俳優・ダンサー・アーティスト。日本舞踊家の父とバレリーナである母を持つ。1999年、14歳で渡米。2008年にミュージカル「Radio City Christmas Spectacular」のオリジナルキャストとしてデビューしたのち、2014年にブロードウェイで上演された「The Illusionists」に初の日本人キャストとして出演した。日本国内の主な出演作に、ミュージカル「RENT」、「ミュージカル『刀剣乱舞』」、「Fate/Grand Order THE STAGE」、「舞台『魔法使いの約束』」、ミュージカル「チェーザレ」、「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」など。2026年5月に音楽劇「OLD WATERCOLOR FISH」への出演が控える。

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2026年4月24日更新