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「Bridges to Babylon」コンドルズメンバー座談会&ワークショップレポート|やりたいことやって生きようぜ!180人のユニゾンと共に架ける“橋”

コンドルズが新作ダンス公演「Bridges to Babylon」で、180人の公募出演者と共に作品を立ち上げる。本作は、東京・池袋の新劇場、東京建物 Brillia HALLのこけら落としシリーズの1作。“コンドルズ×豊島区民”と銘打たれたこの公演には、豊島区の内外から公募で集まった面々が出演する。ステージナタリーでは今回、コンドルズの近藤良平、勝山康晴、香取直登、ぎたろー、黒須育海の5名による座談会を実施。公募出演者とのクリエーションや新劇場への期待、おのおのが抱く“橋”への思い、さらには現在のコンドルズメンバーの関係性までざっくばらんに語ってもらった。なお特集後半には、公募出演者ワークショップのレポートと、参加者の座談会も掲載している。

[P1・2]取材・文 / 熊井玲 撮影 / 宮川舞子
[P3]取材 / 熊井玲、中川朋子 文・撮影 / 中川朋子

Interview|コンドルズメンバー 近藤良平×勝山康晴×香取直登×ぎたろー×黒須育海

橋は、いっぱいあるに越したことはない

──コンドルズ作品は毎回、タイトルに多くのイメージが詰まっています。今回のタイトルは「Bridges to Babylon」。そう聞いて真っ先に思い出すのは、やはりザ・ローリング・ストーンズですが、どんな思いが込められているのでしょうか。

勝山康晴 僕が付けました! 今回は「東アジア文化都市2019豊島」の舞台芸術部門スペシャル事業の公演で、「東アジア文化都市」の参加国は日中韓。今、中国とも韓国とも関係性が悪化していますが、そこで“架け橋”になるような作品になるといいなと。橋っていう点では(サイモン&ガーファンクルの)「明日に架ける橋」もよかったんだけど、あの曲、ちょっと暗いですよね?

一同 あははは!

勝山 だったらストーンズかなって。ニュースを観ていると韓国の若い子は日本が好きだし、日本の若い子も韓国が好き。そういう点でも、政治的な架け橋、経済的な架け橋だけじゃなく、いろんな橋がいっぱいあるに越したことはないと思って。そういう願いを込めたタイトルです。

左から黒須育海、勝山康晴、近藤良平、香取直登、ぎたろー。

──皆さんはタイトルを聞いてどんなイメージを持たれましたか?

ぎたろー 僕はいつも、「なんでこのタイトルなのか」ってところから調べますね。で、「勝山さんだったらこの意味かな?」と推測して稽古場で勝山さんに聞いてみたり、教えてもらえなかったり……。

一同 あははは!

黒須育海 お客さんと近いスタンスかもしれませんね。

近藤良平 でもタイトルとしては今回、すんなり決まったほうかもしれない。ぴったりだなって。

勝山 まあ僕が初めて観たストーンズのツアータイトルなんですけどね。

一同 へえー。

近藤 僕は別に政治的なこととかは思ってないんだけど、「Bridges to Babylon」って響きがいいなと思った。気持ちがいいっていうか、日常の机の上って感じがしない。大きいよね。

黒須 良平さんは今回のタイトルが“大きい”って言われましたけど、僕は毎回大きいと思ってて(笑)。ただ“橋”ってわかりやすくてイメージしやすいんじゃないかと思いました。あと、タイトルが決定すると必ず、(タイトルと同じ)曲を探して聴きます。きっとどこかのシーンで使われるだろうなって。

香取直登 僕は、「B」が強調されている印象を受けました。劇場もBrillia HALLですし、そういうのもかかってるのかなって。また、ちょうどコンドルズ日本縦断新元号ツアー2019「Don't Stop Me Now」の間にある公演なので、“B面”と言うか、ちょっと別の角度からコンドルズを捉えたような作品になるのかなって。

左から香取直登、ぎたろー。

ぎたろー 僕、オクダ(サトシ)さんの映像の手伝いをやってるんですけど、毎回タイトルが決まると、映像担当のLINEでアイデアが募集されるんですね。そこで話したときに、オクダさんが「橋を撮りたい」と言って、それで今、チャリであちこち橋を見に行ってるんです。橋って、本当に橋ごとに違うんですよね。勝鬨橋と日本橋はやっぱり画が違うし、橋の上からの眺めや両端でも印象が変わるんです。それと同様に、コンドルズはこれだけ人数がいますから、メンバーそれぞれとお客さんとの間に架かる橋も人数分あるんだろうなって。例えば良平さんを見て思う“橋”の印象と、僕や勝山さんではそれぞれ違うと思うし、メンバーとお客さんをつなぐ橋がいろいろあれば面白いなって。

勝山 僕なんか、橋を見るといつも恐縮するけどね。

ぎたろー 恐縮?

勝山 だって僕、地元が田舎だからさ。ばあちゃんちなんてもっと田舎で、でも山の中にも橋が架かってるんだよ。ああいう橋を見ると恐縮しちゃう。僕はバンドもやってますけど、音楽業界って1990年代が調子よくて、でも当時でも、音楽業界全体の売上より綿棒の売上のほうが高かったそうなんですね。それと同じで、舞台芸術なんていくらやってもこの橋1本架けるのに比べたら大したことないよね、と。1本の橋がどれだけ人の生活を豊かにしてるのかって考えたら恐縮しちゃいます。

ぎたろー 渡るのが怖いとかじゃなくて、ですね?

勝山 や、もう本当に自分は大したことしてないなって、橋を見ると思う。

香取 僕、橋を造る勉強をしてたんです。

近藤 そうそう、詳しいから。

香取 建築工学科だったので、ビルの耐震性とか橋の活荷重とかを計算したりしてたんですよ。

勝山 橋を造る人って建築家のレベルで言うとどのレベルなの?

左から近藤良平、香取直登、ぎたろー。

香取 相当上だと思いますよ。

勝山 でしょう? 何十年も持つものを造るんだもんね。

香取 日本は活荷重の設定が厳しくて、例えば車100台乗って大丈夫でも80台分を限度にしたり、ものすごく安全性を高く見積もるんです。そこにロマンを感じる人もいて、そういう勉強を大学で4年間やってきたんですが……。

勝山 だんだん作品の話じゃなくなってきたな(笑)。

一同 あははは!

こけら落としに“役割”を感じる

──本作はBrillia HALLのこけら落とし公演となります。そういった面で、いつも以上に気合が増している、ということはありますか?

近藤 あると思います。チラシのビジュアルを撮る関係で、劇場の完成間もない7月ごろ、中に入ったんです。新築の香り高い感じがして(笑)、ちょっと場所に対してビビりましたね。実は、赤い座席を背景に学ランの前を全部閉めて撮った写真と、学ランのボタンを開けて撮った写真と2つバージョンがあるんだけど、学ランの前が開いているほうは中の白シャツが見えるから、男前度が高いなって。

一同 あははは!

近藤良平

近藤 このビジュアルがチラシやポスターになって、世の中に出回るようになって……こけら落とし公演だから意外といろんな場所に掲出されてるんですよね。ある場所ではNODA・MAPのポスターと並んで貼られていたりして、そういうことも含めて“役割”があるんだなと。だから俺たちの眼差しひとつに、何かを感じる人がいるのかもしれない。僕たちが長く続けてきたことを劇場の人たちが評価してくれたのかわからないけれど、こういう形でこけら落とし公演ができることはすごく感慨深いし、ありがたいなと思います。

勝山 オリンピック、パラリンピックには呼ばれなかったけどね!

一同 あははは!

勝山 でも良平さんの言う通り、(本作のプロデューサーである)根本さんや豊島区のおかげで呼んでもらえて。こけら落とし公演ってある意味、劇場を印象付けるところがありますが、僕らはちょうどいい塩梅のチームなんでしょうね(笑)。演劇でもないし、ダンスでもないし、長くやってていろんなメンバーがいて、いろんなことをやる。それと僕としては、これだけ長くやってきたカンパニーですから、「自分たちが好きなことだけやってます」ってことでは、もうさすがにいけないのかなと思ってて、やっぱり社会的意義のあるチームじゃないといけないと思ってるんです。そういう意味でも今回、我々を呼んでくれたことがうれしいです。こけら落とし公演をやること自体は2回目で、昔、京都のART COMPLEX 1928のこけら落としもやってるんですけど、あのときはまだやりたいことだけやっていればよかった。今は違う。その風格が、このビジュアルに表れているわけです。

一同 あははは!

──それぞれ新しい劇場の印象はいかがでしたか?

ぎたろー 僕は不器用なので、本当に汚しちゃいけない、傷付けちゃいけないって、怖かったです。あと僕は楽屋で撮影してもらったんですけど、楽屋で撮るなんてもう一生ないかもなって思って。

勝山 確かにね。

香取 舞台面を見られたのがよかったですね。劇場をまったく知らない状態だったらどうしていいかわからなかったと思うけど、舞台面の広さとか幕の位置とかがわかったので、稽古でもイメージしやすいと思いました。

左から黒須育海、勝山康晴。

黒須 僕はこけら落としに初めて参加させていただくので、ワクワクしてます。撮影で劇場に入るときに、靴に防菌のビニールみたいなものを付けて入ったんですよね、本当に新しい劇場なんだなって緊張して。楽屋も本来は気を休めるところですけど、楽屋にいても緊張して。でもそんなときに先輩の橋爪(利博)さんがいつもと変わらない感じでリラックスしている様子を見て、安心したり(笑)。

勝山 なんとなく思い出しちゃうのは、2008年にシアターアプル(編集注:新宿の歌舞伎町にあった劇場。新宿コマ劇場、新宿コマ東宝と共に2008年に閉館)で、締めの公演をやらせてもらったこと。僕らがアプルを使わせてもらったのは最後の数年だけだけど、劇場が終わるときってやっぱり長い歴史を感じて感慨深かった。今度は、これからいろいろなことが起きていく場所でやらせてもらえる。爆発寸前の火薬のようなワクワク感を感じますね。

──また今年は、毎夏一般参加者を交えて行っている「にゅ~盆踊り」が12回目を迎えましたが、あうるすぽっとではコンドルズがスタッフに名を連ねる「可能性の獣たち」や、メンバーそれぞれの公演がよく行われ、コンドルズと池袋とのつながりを感じます。池袋という場所への思いはありますか?

近藤 僕たち西北に生きてるんですよね(笑)。事務所もこっちだし、僕は今住まいも豊島区だし、前は借りてきた猫みたいな気持ちだったけど、今は身近になった感じがするので、向き合い方が違うと思います。ちょっと勝手に“自分の庭”みたいな感じがしているというか。

勝山 新宿より上じゃないとね、ドキドキするところあるよね!

一同 あははは!