「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」宮城聰と中島諒人が語る、“これまでのつながり”から生まれたSPAC×鳥の劇場「友達」そしてSPAC新作「白狐伝」 (2/2)

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」ラインナップ

今年は4月27日から5月6日まで、7日間にわたって開催される「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」。ここでは各作品の見どころを紹介する。なお上演演目の他に、トーク企画やお茶摘み体験など多彩な関連企画も用意されているので、来場の際はぜひ参加してみては。

「友達」

1967年に発表された安部公房の「友達」は、アパートで一人暮らしをしている男の元へ、ある“家族”がやって来て男の生活や人生を乗っ取っていく物語。今回は中島諒人の演出で、鳥取の鳥の劇場とSPACの共同制作により立ち上げる。舞台芸術公園 野外劇場「有度」の空間を生かした演出に注目だ。

「楢山節考」

1956年に発表された深沢七郎の「楢山節考」を、瀬戸山美咲の上演台本・演出により、チェロの生演奏に乗せた三人芝居として立ち上げる。本作は2023年に利賀芸術公園「利賀山房」で初演された作品で、今回は舞台芸術公園の「楕円堂」の空間で繰り広げる。

間食付きツアーパフォーマンス「かちかち山の台所」

石神夏希が、昔話「かちかち山」を題材に、舞台芸術公園を舞台にしたツアーパフォーマンスを実施。道中や訪れた先で、さまざまな演劇的仕掛けを楽しもう。また本作では“間食”も用意されており、観て、感じて、食べて、作品を味わうことができる。

「かもめ」

2023年に初演された、ドイツ・シャウビューネの最新作が来日。鬼才トーマス・オスターマイアーが手がけるのは、大木の元で繰り広げられるチェーホフの「かもめ」だ。ただし今回の公演では大木の代わりに、観客の目の前で景色が描かれるスペシャル版となる。トリゴーリン役のヨアヒム・マイヤーホフはじめ、実力派俳優たちの演技にも期待しよう。

「マミ・ワタと大きな瓢箪」

SPACで2010年より行われている中高生とのダンスプロジェクト「スパカンファン」の振付でも知られるカメルーン出身のメルラン・ニヤカムが、ソロパフォーマンスを披露。海の女神マミ・ワタをめぐり、エネルギッシュな踊りを繰り広げる。

ふじのくに野外芸術フェスタ2024静岡
SPAC「白狐伝」

今回、SPACが駿府城公園で繰り広げるのは、岡倉天心のオペラ台本「THE WHITE FOX」をもとにした新作「白狐伝」。「THE WHITE FOX」は歌舞伎や浄瑠璃で知られる「信太妻」を原作とした作品で、超自然的な力を持つ白狐コルハを軸に、人間と自然の関係性、そして環境をめぐる問題が描かれる。

「白狐伝」フライヤー

「白狐伝」フライヤー

「ストレンジシード静岡2024」ラインナップ

2016年にスタートし、9年目を迎えたストリートシアターのフェスティバル「ストレンジシード静岡」。ウォーリー木下がフェスティバルディレクターを務め、今年は「なんだ?なんだ?なんだ?」をテーマに、5月4日から6日まで静岡駅周辺で繰り広げられる。

なおプログラムは「ストレンジシード静岡」がプロデュースする作品も含んだ全体のコアになるような作品群【コアプログラム】、国内で活躍するアーティストとタッグを組んだ【オフィシャルプログラム】、公募による【オープンコールプログラム】の3つの枠組みで展開され、今年は静岡市役所・葵区役所、青葉シンボルロード周辺を対象としたCITYエリア、駿府城公園を対象としたPARKエリアの2箇所で開催される。

【コアプログラム】オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト「パレードとレモネード」

ロロ・三浦直之の群像劇プロジェクトが静岡に登場。50名以上の登場人物のプロフィールをもとに生まれた短いエピソードをオムニバス形式でつなげていく。なお今回は公募出演者も交えた“ストレンジシード静岡”ならではの上演となる。

東京芸術祭 2023 直轄プログラム FTレーベル ロロ「オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)」より。(撮影:阿部章仁)

東京芸術祭 2023 直轄プログラム FTレーベル ロロ「オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)」より。(撮影:阿部章仁)

【コアプログラム】BONG n JOULE「The Road to Heaven」

韓国・ソウルから、アン・ジェ・ヒョン率いるBONG n JOULE(ボン エン ジュール)がやってくる。“チャイニーズポール”と呼ばれるサーカスアートと、韓国の伝統的なパフォーミングアートを組み合わせた移動型現代サーカスだ。

BONG n JOULE「The Road to Heaven」

【オフィシャルプログラム】

【オフィシャルプログラム】には4団体がラインナップ。山口茜率いる京都の劇団サファリ・P、仙台を拠点に活動する劇団 短距離男道ミサイル、鳥山フキ率いる東京のワワフラミンゴ、舞台衣装作家の南野詩恵による京都のお寿司が参加する。

【オープンコールプログラム】

【オープンコールプログラム】には6団体が参加。ほころびオーケストラ、鈴木ユキオプロジェクト、浅川奏瑛×演劇空間ロッカクナット、のあんじー、第二次谷杉 ≒ ミミトメ、Co.SCOoPPが参加する。