ナタリー PowerPush - バカリズム THE MOVIE

お笑い界の風雲児が“ほぼ監督”として映画初挑戦

劇場公開に向けて現在絶賛撮影中の「バカリズム THE MOVIE」。このページでは、5つの作品について、現段階で話せる裏話や見どころをバカリズムほぼ監督に訊いた。

魔スノが来たりて口笛を吹く

──「升野が来たりて口笛を吹く」は現在どのような状況でしょうか?

「魔スノが来たりて口笛を吹く」場面写真

半分以上は撮ってます。これは酒井健作さんっていう僕の仲のいい作家さんがいるんですけど、健作さんが持ってきたアイデアで、昔からある仕返しモノですね。ちょっとパロディに近いというか。ほぼ監督なので、わりと気軽な感じでこういうパロディとかもやってみようかと。

──山崎樹範さんとの絡みに注目している人も多いかと思います。

そんなに喋ってないんですよ。本当に本番だけというか。ただ、「なんて呼べばいいですか?」っていうのは言われました。「バカリズムさんって呼んでも大丈夫なんですか? この現場においては監督って呼ばなくて大丈夫ですか?」って(笑)。「大丈夫です。監督って呼ばないでください」と言ったんですけど、いちいちみなさんに説明しなきゃいけなかったですね。この「ほぼ」っていう立場を。

──物語に出てくる中学生とは実際お話とかはされましたか?

ガマ山っていう登場人物がいるんですけど、ガマ山とは仲良くなりましたね。ガマ山の進路相談を受けたりとか。ガマ山はもういま親友です。それもふまえて観てもらえると、より楽しめるかと。

(株)ROCK

──「(株)ROCK」は現在どんな撮影状況ですか?

これは昨日撮影が終わったばっかりです。僕が立ち会ってないところとかちょこちょこあるんですけど、現場はすごく楽しかったですね。津田寛治さんがイメージどおりで本当にカッコよくて、素敵な役者さんだと思いました。渡辺哲さんも面白かったですね。背中に「華麗襲(かれいしゅう)」って刺繍の入ったスーツを着てるんですけど、「渡辺さん、どう思ってるんだろう」って想像したりとか。「(株)ROCK」はアクションシーンが迫力あるので、そこもぜひ観てほしいです。

──バカリズムさんはヤンキー文化に対する憧れはありますか?

「(株)ROCK」場面写真

ありますね。小っちゃい頃からヤンキーマンガとか好きだったし、いまも好きで読むんですよ。わりといままで自分が読んできたヤンキーマンガの世界が詰まってると思います。「ビー・バップ・ハイスクール」「湘南爆走族」「ろくでなしBLUES」「クローズ」とか。あと、ヤンキーマンガではないですけど、本宮ひろ志先生の「男樹」とかが好きで、いま挙げたマンガに出てくるようなセリフをサラリーマンに置き換えて言わせたりとかしてます。最初は僕と同世代くらいのヤンキーマンガとか好きで読んできた人たち向けの話かなとかも思ったんですけど、実際に演技してるのを見ると、みんなカッコいいんですよ、おじさんたちが。「おっさんってこんなカッコいいんだ!」っていう感じはありました。だから、これはサラリーマンに観てほしいですね。世の中年男性に希望を与えるような映画になればなと思います。

トップアイドルと交際する事への考察

──「トップアイドルと交際する事への考察」はどんな進め方で作っていますか?

これは100%僕ではなくて、(放送作家の)オークラさんが出してきたアイデアなんです。誰もが想像する「もしアイドルと付き合ったら」っていうことを題材にした感じですね。僕もシミュレーションは割とするほうなんですよ。「この人はこのときにこういうことを言うだろうから、付き合えないな」とか。

──共演者のみなさんの演技はいかがですか?

「トップアイドルと交際する事への考察」場面写真

川上ジュリアさんは、メイクさんとスタイリストさんが「かわいい、かわいい」って言ってましたね。岡野真也さんも、すごくかわいらしい方でした。で、聞いたら19歳っていうから若いなあ、と。一応聞いたんですよ、休憩時間に「岡野さんは、何歳まで恋愛対象に入る?」って。そしたら「33歳」って言ってたんで、僕はもうアウトですね。モチベーションはそれでもう完全に下がりましたけど。

──ちなみに、アイドルに恋愛感情を抱くことはありますか?

10代とかアイドルはまったく恋愛対象として見られないです。最低20代ですよね。だからといって同い年くらいは嫌ですけど、常識のある大人の女性がいいです。

メンコバトラーM(アニメ)

──「メンコバトラーM」はいまどんな状況ですか?

いま(美術の)ニイルセンさんが死ぬ思いして描いてると思いますね。

──ニイルセンさんはバカリズムさんとつながりが深いですが、もともとどこで仲良くなったんですか?

ずっと関東のライブシーンをウロウロしてた人なんで、自然に友達になってました。「僕のもやってくださいよ」みたいな感じで、いろいろなものを作ってもらってます。天才だと思うんですよ。絵を描いたりモノを作ったりする能力は本当に素晴らしいんですけど、それ以外はなんの役にも立たない。喋ってもなに言ってるかわかんないし、たぶんこの仕事やってなかったら生きていけない人なんだろうなとは思いますね。

──番組のほうでもたくさんの絵が出てきましたが、発注の仕方はどのように?

ニイルセンさんは、ある程度丸投げしたほうが楽しんでやってくれる方なんですよ。勘の良い人なんで、「こうしてああして」って細かく言うよりも、ざっくりと説明すればあとはもう自分でやってくれる方なんで。そしたら求めている以上のものが返ってきます。今回も仕上がりが楽しみですね。

帰ってきたバカリズムマン

撮影風景

──「帰ってきたバカリズムマン」はまだ撮影が進んでいないと伺いました。

はい、なんにも進んでないです。これは、ディレクターさんたちと「バカリズムマンやりたいよね」って話をしていて、今回「やっちゃいません?」みたいな流れになって作ることになりました。僕がBoseさんに直接メールでお願いするっていう役回りを頼まれたんですけど、実際メールしたら、二つ返事で「やりたい」って言ってくれてよかったですね。まだ撮影がはじまっていないので、「バカリズムマン」は謎に包まれてます。でも、映像とか含めてめちゃくちゃカッコいいものになると思うので、楽しみにしていてください。

映画「バカリズム THE MOVIE」

映画「バカリズム THE MOVIE」

監督・脚本・主演を“ほぼ"バカリズムが務めるオムニバス映画。東京・シネマート六本木にて、5月26日(土)、27日(日)、6月2日(土)、3日(日)に劇場公開。

バカリズム

アーティスト写真

本名:升野英知(ますのひでとも)
生年月日:1975年11月28日
出身地:福岡県
所属:マセキ芸能社