ウエストランド井口と作家飯塚が語る「今月のお笑い」

今月のお笑い 46本目 [バックナンバー]

ウエストランド井口と作家飯塚とドンデコルテ小橋が語る「2026年3月のお笑い」

ドンデコルテ小橋の“浮かれ”の正体に迫る──!

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プロに対しては100%芸にして返す爆笑問題・太田

飯塚 爆笑問題・太田さんが「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)で繰り広げていた某言論人に対する反論(※)がめっちゃよかった。

※編集部注:太田がスペシャルキャスターを務めた選挙特番での高市早苗氏とのやり取りをきっかけに、批判の域を超えた中傷とも言える言葉がSNSに多数投稿された。太田は後日、「カーボーイ」の中で1時間以上にわたりそれらに対する反論を話芸として展開し、大きな反響を呼んだ。

井口 ミッツ・マングローブさんは「4回聴いた」と言っていて、違う現場で会ったときも興奮気味に「すごかった~!」って僕に言ってきてました。

飯塚 太田さんの素晴らしいところは、SNSでどれだけ叩かれても一般の人には言い返さないんだよね。自分は出役だという覚悟があるから、一般人がどう捉えたとしてもそこに対しては何も言わない。でも、評論家やジャーナリストを名乗る“プロ”が自分のビジネスのために間違った情報を広めることに対しては100%芸にするし、100%笑いにしますよっていうスタンスが僕は好きだし、カッコいいし、面白いなと思う。そういう人たちはSNSでただ文句を言っているいちユーザーとはわけが違うから、そこは一緒にしないでほしい。

井口 しかも相手にとんでもない弱点があるとしても、そこは言わず、今回のことだけで反論していたのがすごいなと思いましたね。太田さんは先日、「耳の穴かっぽじって聞け!」(テレビ朝日)に来てくれて。僕がやらせてもらっている番組にゲストで出てくれるという状況がうれしかったです。「太田総理」(2006年~2010年まで放送された日本テレビ「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」)をやるときは「芸人として終わった」という覚悟でやっていたとか、意外と聞いたことがない話をしてくれたのも貴重でした。

飯塚 僕は太田さんが好きだから、テレビ番組の企画会議で太田さんのお名前を出すことがあるんですけど、稀にテレビ関係者でも気難しい人だと思ってる人もいて。太田さんの何を見てきたんだ?っていう。あんなにテレビに前向きで、なんとかして盛り上げようとしている人なのに、まだ勘違いされてしまうんだなと思って悲しかった。

小橋 一度爆笑問題さんのラジオにゲストで出させてもらって、そのときもすごく優しかったですし、スタッフさんから「何を言っても絶対怒らない方なので、なんでも言っちゃって大丈夫ですよ」と言われました。

井口 太田さんは後輩からいろいろ言われるのが好きだからね。それこそ、キングコング西野さんが「プペル」(映画「えんとつ町のプペル~約束の時計台~」)の宣伝で最近テレビに出まくっていますけど、全部受け身取ってやってくれるじゃないですか。みんなにそういてほしいです。お笑い以外のどんな活動をしてもいいけど、芸人としてそれは受け入れてよっていう。

小橋 後輩からしたら「絶対怒らない」「受けてくれる」っていうのは安心感がありますよね。

飯塚 西野さんって散々擦られたイジり方でも、尖った新しいイジり方でも全部打ち返せるし、絶対盛り上げる。結局お笑いの実力すごいのかよ!って思う(笑)。

小橋 お笑いから離れている期間も長いのに、すごいですよね。

井口 定期的に来て、爆笑をかっさらって、また別の分野でいろんなことして、ヘイトが溜まった頃にまた来て、みんなにイジられて爆笑をかっさらってっていうサイクル。

揉めた末に正解導き出したみなみかわ&ともしげ

飯塚 みなみかわさんのライブにモグライダーが出演して、ともしげさんをフィーチャーした企画をやろうとしたんだけど、ライブ前の打ち合わせで揉めた話(※)。

※編集部注:詳細はみなみかわのYouTubeで各々確認を。

井口 怒号が飛び交うくらいの。

小橋 そんなに!?

飯塚 後日みなみかわさんがYouTubeにともしげさんをもう一度呼んで、そのときの映像を観ながら反省するという動画が上がったんですよ。映像で振り返りながら「最初からこうすればよかったんだ」って気づいて、最終的に企画の正解にたどり着くまでの過程が見えたのが面白かった。

井口 ともしげさんって、本当にヤバいんだよ。そのヤバさがよさでもあるから、なんとかしてみんな引き出したいんだけど、誰もうまく伝えられないし、コントロールできない。この間、「月ともぐら」(テレビ東京)っていうモグライダーがやっていた番組の最終回の放送があって。ともしげさんのデート企画がまあひどかったんだよ。まず最初にキスしようとするんだけど、ダメじゃん? 既婚者だし、早いし。あらゆる面でダメで、そのあとも女の子の気持ちを無視して自分勝手に行動して、最低だったんだよ。

小橋 めっちゃ面白いですね(笑)。

井口 そう。これだけをYouTubeでやり続けてほしいくらいとんでもなくて。それが面白いから番組の公式Xがともしげさんのヤバい場面を切り抜き動画にして載せているんだけど、「最低でした!」っていうコメントにまぎれて、「ともしげが合ってる」みたいなコメントも付くんだよ。前の「水曜日のダウンタウン」のボール争奪戦企画(※)のときもそうだったけど、世の中にいる、変なともしげみたいな奴が擁護するんだよ。せめて炎上でもすればまた何かできるのに、そうもならないっていうのが一番厄介。なんのご加護か、守られてて。

小橋 燃えきらないんですね(笑)。

飯塚 みなみかわさんやしんいちだったら言いやすいけど、「ともしげが悪い」って言いづらい見た目をしているのかもね。

小橋 ピュアに見えますもんね。純粋な悪だから言いづらい。

編集部注:「水曜日のダウンタウン」(TBS)の「GPSボール争奪戦」企画で、同じチームになった井口とモグライダーともしげの意見の食い違いが発生。ネットニュースになり賛否両論巻き起こった。「2025年9月のお笑い」より「一億総ともしげ化」の項を参照。

バズる気のないYouTubeもある

飯塚 ダウ90000の蓮見くんがニューヨークのYouTubeに出て、今後のニューヨークチャンネルをどうしていくべきか助言する動画が面白かったです。僕的に意訳すると、「ニューヨークは他人のことばっかり取り上げていないで、2人の面白さをもっと出してほしい」ということだと思うんだけど、さらば青春の光のYouTubeは本人や周りのスタッフ、半径5mくらいの人たちのことを知っていればわかるから、あんまりお笑いに詳しくないけどさらばのYouTubeだけは観ているっていう人もいると思うんだよ。

井口 かまいたちさんとか、ダイアンさんもそうですもんね。

飯塚 そうそう。でもニューヨークのチャンネルは、めちゃくちゃお笑いのことをわかっていないとついていけない。それが、蓮見くんの言っている「お笑い流行ってない」の象徴な気がした。2人で企画に挑戦するとか、ニューヨークの面白さが出ることをやったほうがいいんじゃないかと言っていて、それも一理あるなと思いつつ、きっと今のニューヨークチャンネルのスタイルが好きだっていう人もいるから、ガラッと変えるのは難しいなと思ったり。

井口 YouTubeで僕が最近思ったのは、もうYouTubeも行ききっているというか。僕個人のチャンネルとか「ぶちラジ!」もそうなんですけど、別にもうバズろうとしてないんですよ。個人チャンネルはXの代わりみたいなもので、もちろんバズって再生回数が増えるほうがお金も入るからいいんですけど、そこを主にしていない人もいるぞってことはわかってほしいです。もっと言うと、ファンサービスだから! 「ぶちラジ」なんて無償でやっているし。そういうことに対して、「もっとこうすればいいのに」とか余計なことを言ってくる奴がいて。YouTubeはもう、バズるとか再生回数を稼ぐものじゃないフェーズに来ていると思うんですよ。

飯塚 「みんながみんなバズろうとしていると思うなよ!」ということだよね。

小橋 僕らもチャンネルだけ持っていて、ちょうど最近「YouTube何もやりたくないです」っていう動画を撮ったくらいなんですけど(笑)。よしもとの制作陣が動いてくれて、改めてチャンネルを動かすことにはなったんですけど、バズろうとは全然思っていなくて。「これでいい」「これじゃダメだ」というコメントが付いたりしますけど、そこはこっちの自由ですもんね。

井口 無料でお届けしているわけだからね。いちいちXのポストに「これじゃあバズりませんよ」とは言わないじゃん。YouTubeは再生数が可視化されているからか、助言してくる奴がいるんだよなあ。バズりたい人はがんばればいいけど、でもそうじゃない人もいるっていうことをわかってほしいですね。

飯塚 益々荘のYouTubeは、渡辺さんが自分のチャンネルで「俺のチャーハンすごいぞ」ってアピールしていたら違いましたよね。益田さんが再生数を狙っている感じもありながら渡辺さんのことを撮っているのが温度感としてちょうどいい。

小橋 バズろうと思っている人が、バズろうと思っていない人を撮っているのがいいですよね。「(M-1グランプリ2025)アナザーストーリー」の密着が来たときに、ナベさんがチャーハンを作っている様子をカメラマンさんが撮っていたんですって。益田さんはそれが使われるという賭けに出て、チャーハン動画を撮っておいて「アナザーストーリー」が放送されたら速攻出そうって決めていたみたいです(笑)。名プロデューサーですよ。

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與那嶺先生の足つぼ

──小橋さんは3月のお笑い界で気になった出来事はありましたか?

小橋 ちゃんと全部は追えてはいないんですけど、カカロニ栗谷さんの借金の話は印象的でした。

飯塚 この連載で同じことしか言ってないけど、いろんな主張が出るたびに「誰が悪い」「誰がカッコいい」みたいなSNS上の評価がコロコロ変わっていくのを見て、「みんな一旦落ち着こうよ」と思いましたね。

井口 何かあったときにすぐさらばYouTubeに出るのをやめたほうがいいんですよ。いい影響力もあるし、そうじゃないときもあるから。まあ、そういう意味では栗谷も常に話題を提供してくれていますよね。童貞から彼女できて、結婚して、借金が発覚って、どれだけ短いスパンでいろいろやってるんだよっていう(笑)。

小橋 すごい人生だなあ。

飯塚 自分が出たもので印象に残っている仕事はありますか?

小橋 (スマホでスケジュールを確認して)あ、あれだ。某番組のロケに行かせてもらったんですけど、初めて與那嶺先生(※)の足ツボを受けたんですよ。1週間くらい経ちますけど、まだ痛いです(笑)。

井口 いやもうあれ、わざと痛くしてるんだよ!

小橋 これはけっこう衝撃的でした。

飯塚 みんな「またまたー」って言うけど、そんなもんじゃないってことですよね?

小橋 与那嶺先生の足ツボの痛さを知っている共演者の方が押さえつけてくれていたんですけど、そうじゃなかったら蹴り飛ばしていたかもしれないです(笑)。

飯塚 生物の反応として(笑)。

小橋 もう、ツボじゃないです。あれは筋を切ろうとしてます!

※編集部注:フットケア「足つぼ日本一」代表の足つぼ師・與那嶺茂人氏。バラエティ番組の「足ツボ罰ゲーム」と言えばこの方。

井口 ちなみに、今年の「M-1」はどうするの?

小橋 「出る」って言ってましたね。

──決めるのは渡辺さんなんですか?

井口 2人で話したの?

小橋 僕は「出たい」とは言いましたけど、ネタを書いているのは僕じゃないので、相方に任せるっていう感じです。準優勝して出なくなる芸人さんってけっこういるじゃないですか。やっぱり前年を超えるネタを作るのが難しいからだと思うんですよ。相方もけっこうしんどいと思いますね。だから、相方が「出ない」って言ったら出ないです。でも、今年は出る方向で考えていると思います。

飯塚 ここ数年、賞レースで注目を集めるタイプってネタの完成度の高い”天才肌の芸人”というイメージの人が多かった気がするけど、ドンデコルテは2人とも“人間丸出し”な感じが印象的。新しいステージに進んで見える景色が変わるたびに、それを糧にできるタイプだとも思うので、これからどんどん変わっていくドンデコルテを見ていくのが楽しみ。

──年末のイベントでも、くるまさんが「40年の人生を凝縮した傑作を披露してしまったあとの、41歳の銀次が一番ピンチであり一番楽しみ」とおっしゃっていました。(※)

※編集部注:「2025年12月のお笑い」より、「41歳の渡辺銀次に期待」の項を参照。

井口 僕らもめちゃくちゃ言われましたからね。「優勝して満たされたら、もうネタにすることがないんじゃないか」って。結局そんなこと1つもなくて、嫌なことは日々湧き出てくるんですよ。だから、ドンデコルテも「金ないです」系はもうできなくなるけど、ネタにすることはずっと尽きないだろうね。

小橋 ずっと悩んでるんで、あの人は。いろんなことで。

井口 結局そういうことだからね。「そういう人間」っていうネタだから。

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左から構成作家・飯塚大悟、ドンデコルテ小橋、ウエストランド井口

左から構成作家・飯塚大悟、ドンデコルテ小橋、ウエストランド井口 [高画質で見る]

プロフィール

井口浩之(イグチヒロユキ)

1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2022年「M-1グランプリ」王者。「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。とろサーモン久保田とのレギュラー番組「耳の穴かっぽじって聞け!」(テレビ朝日)は毎週月曜25:55~。テレ朝Podcast「ウエストランド井口と吉住の孤独アジト」は毎週木曜6:00~配信。タイタン所属。

飯塚大悟(イイヅカダイゴ)

1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「永野&くるまのひっかかりニーチェ」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」「クレイジージャーニー」(TBS)、「ヒルナンデス!」「GoldenSixTONES」(日本テレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。大井洋一と出演するポッドキャスト「褒めたいラジオ」(Artistspoken)毎週水曜23:00~配信中。

小橋共作(コバシキョウサク)

1989年6月17日生まれ、沖縄県出身。現相方の渡辺銀次と2018年にお試しコンビ「news38」を結成し、翌2019年に「ドンデコルテ」に改名。「M-1グランプリ2019」で結成1年目ながら準々決勝に進出したことをきっかけに正式なコンビとして活動を開始し、2025年に「M-1グランプリ」決勝に初進出し準優勝。翌年1月に開催した単独ライブ「こびりつく」の配信チケット販売枚数が1万枚を突破し、2025年4月に東京・渋谷よしもと漫才劇場がオープンして以来の最多記録を更新した。2026年4月より「がっちゃんこ」(ABCラジオ)月曜、「REQ JAM」(JFN系)水曜担当。

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