ウエストランド井口と作家飯塚が語る「今月のお笑い」

今月のお笑い 43本目 [バックナンバー]

ウエストランド井口と作家飯塚と令和ロマンくるまと蛙亭イワクラが語る「2025年12月のお笑い」

「M-1グランプリ2025」振り返りスペシャル!

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まーごめもキビシイも本体が来ちゃった

井口 真空ジェシカは、ガクのツカミがどうこう言われているけど、あれがあったというより単純にツカミが長すぎたんだよね。そのせいか、お客さんとのチャンネルが合いきってない感じがあった。正直、よくここまで点が伸びたなと思ったもん。もっとやばいかもって思っちゃった。

くるま 真空さんって、「シルバー人材センター」とかコントインのタイトルを言って、その1個目のボケにみんなワクワクしてウケるじゃないですか。今回は川北さんのツカミがあって、「ペーパードライバー講習」って言ったあとにガクさんのあれがあったから、タイトルが薄れちゃったんですよね。それで「これなんの施設だっけ?」とちょっとなった。だから、完全にガクさんが悪いと思います(笑)。

井口 まあ、(ガクのように)言いたくなる気持ちもわかるけどね。

イワクラ 私は言いたくなる気持ちがわからないので、「うわー。やるよな、“こっち側”の奴って」と思いました。

井口 ネタ書いてない側ね。

イワクラ こっち側の奴ってここぞというときにやりやがるんですよ。やっぱ大好きなんで、真空ジェシカ。同期なんですけど、ずっと面白い。5年連続決勝進出はすごすぎる。だからこそ、ガクにめっちゃ腹立ってます。

井口 でもガクも言ってたよ。「5年連続の一番悪いところが出ちゃいました……」って。変に余裕があったのか。このあたりでネットミーム的なボケの潮目も変わりそうな気がした。というのも、真空ジェシカが(決勝に)来て、ママタルトが来て、とうとうカナメストーンも来て、もちろん全員違うことをやっているけど、仲間たちが集まっちゃってちょっと腹一杯というか。「まーちゃんごめんね」とか「ゴメンネ」とか。どいつもこいつも「ごめんね」言ってるなあ、という(笑)。

くるま 「キビシイ」とかね。

井口 だから、来年はけっこう流れが変わってくるんじゃないかな。最初真空だけいて、「まーごめ」は川北が言ってたけど、まーごめ(ママタルト)も来ちゃったし。で、キビシイ(カナメストーン)も来ちゃって。川北の仲間が増えたことによって、また変わってくるだろうね。

くるま 本当に次の大会こそガラッと変わるかもしれないですね。

井口 こんなの言うのもあれだけど、川北って本当にいい奴じゃん。仲間といるといい奴感がダダ漏れしてきちゃう可能性もあるから。

くるま でも、そうなるとまた違う姿が出るかもしれないですよ。

井口 それはそれでまた面白いフェーズに行くかもね。

平場ボケ史上1位を更新する誠の顔

井口 「NHK新人お笑い大賞」でもヨネダ2000を見たんだけど、骨太になってきてる。ただ突飛なだけじゃなく、みんなが楽しめるようにどんどん力をつけてきてる感じがあるよね。

くるま キラキラしてましたね。自信がある感じ。ヨネダとは同期で、ずっとネタの相談を受けていました。めぞんさんが歌ネタをやると聞いていたから、そのあとだったら歌じゃないほうをやったら?みたいな話はしていたんですけど。めぞんさんが歌うことについて審査員に言われたあとだったので、誠が歌い出したときにちょっとクスクス笑いが起こっていたんですよ。それによってちょっと没入感が薄れた感じはあったかもしれないです。

井口 観ていて「これは歌ネタだ」とは思わなかったけどね。イワクラはどうだった?

イワクラ ネタもすごいし、平場(※)もすごすぎましたよね?

井口 点食べてたもんね。

くるま あれ、誰も超えられないんじゃないですか? 「M-1」平場ボケ史上一番面白いと思う。(笑い飯の)「おもてたんと違う」を更新するくらいの。

飯塚 今までの誠さんって用意してきたボケを披露してる印象でしたけど、「反省会」でもその場の返しがめっちゃ面白かった。

井口 振られてからでも面白く返せる感じになってましたね。

飯塚 能力が高くなっている気がしました。

くるま (天竺)川原さんと仲良くしてるから、川北さん、堂前さんとか、そのラインに入ってきた感じありますよね。いつでもどんなボケで返してもOKな人になりつつある。

※編集部注:ヨネダ2000は各審査員の点数が出るのに合わせて変顔を披露。ボケに振り切る姿が話題に。

きむらバンドの覚悟

井口 たくろうは2018年に準決勝まで行ったきり、しばらく東京ではあんまり名前を聞かなくなっていて。でもずっと面白いことを続けてきて、ついにバチッとハマった。

くるま 7年ぶりの準決勝ってすごいですよね。

井口 まあ、本当に一番(期間が)空いてるのはヤマゲンさん。ガスマスクガール時代から16年くらいぶりに準決勝に行ったんだよ。誰もあんまり触れてないけど(笑)。旧「M-1」の頃の話だから。

イワクラ 「M-1」の前に大阪の漫才劇場でたまたまたくろうと一緒になって、決勝1本目のネタを観たんですけど、「うわ、おもろ!」ってなって。同時期に関西の賞レースの決勝に出たりしていて、そのときも面白かったですけど、「まだ面白くなれるんや!」と思って感動しました。「ちゃんとやってたら優勝できるんだ」って、新山と2人で痺れてました。

くるま 2018年は僕らもワイルドカードで準決勝まで行けて、たくろうさん、コウテイさん、からし蓮根さんとかがめっちゃ東京のライブに出ていたんですよ。そこから(きむら)バンドさんとしゃべるようになって、ごはん行ったりしていて。

井口 バンドさん?

くるま 「バンドさん」って呼んでます。あの人、めっちゃギャグとかやる人で。漫才劇場で「ギャグレンジャー」というギャグをやる芸人を集めたオープニングアクトがあるんですけど、そこにも出ていたし、前に出るのが好きな人なんですよ。本当だったらバシっとツッコみたかったんだろうけど、それもやめて、ネタも平場も全部ムチャぶりでやり通したじゃないですか。最後まで自分は引ききっていた。そこに僕は、「このキャラで赤木を売れさせるんだ」というバンドさんの覚悟を感じました。

井口 確かに、「本当にこいつ(赤木)が面白いと思ってて」と言っていたし、だからムチャぶりしたくもなっちゃうんだろうね。

くるま マジで決めたんだろうなと思って。「俺はこれで行く」って。

井口 そんなこと決めるなよ!(笑) 確かに目はキマってたけど。「最終決戦に残ったけどどう?」と聞かれたときの目のキマり方ったらなかったよね。

くるま 優勝したときは一瞬素になってましたよね(笑)。そのあとすぐ冷静になって、赤木さんに振ってた。ムチャぶりマシーンとしてやっていくっていう覚悟がすごい。

飯塚 駒場さんが言っていたように、あの挙動不審なキャラクターに理由がついていたのが一番デカいんだろうなと思いました。なぜあんなに追い込まれているのかが設定で自然と入ってくる。ウエストランドが「あるなしクイズ」ネタのパッケージを作って、繰り返し何回も言うことが設定で理由付けされたことにも近い気がする。

井口 伝説の優勝ネタですね。

くるま それで言うと、僕らの“伝説の”連覇のときも……。

井口 それは普通の伝説だから「伝説」とは言っちゃダメなんだよ。

くるま ええ!? 一緒に遊ばせてくださいよ!(笑)

井口 連覇は普通の伝説だもん。「伝説」と世間からも言われちゃってるやつ。言われてないやつのみ、「伝説」と言っていいんだから。

くるま (笑)。言いたかったのは、僕らの2回目の決勝の2本目もケムリにムチャぶりするネタでしたけど、ストーリーの中でやっているんですよ。でもたくろうさんはストーリー抜きで、フリと答えだけでウケる。それはやっぱり赤木さんの大喜利がすごいから。俺らは大喜利をそんなに考えられないので。

井口 それも、バシーン!っていう答えじゃないところがいいよね。100点の大喜利というより、絶妙なところを言う。赤木本来の人間性もあるんだろうけど、ひねり出して、照れ笑いして言う、あの見せ方もすごい。

くるま (1本目のネタで)「WHO」あたりからケムリがちぎれるくらい笑ってました。「PCR陽性じゃダメだろ!」って(笑)。

41歳の渡辺銀次に期待

くるま 俺はドンデさんが一番好きでした。本当に感動しました。“40歳の漫才”って今までなかったと思う。錦鯉さんがやっていたのは“老いている人の漫才”じゃないですか。

井口 おじいさんだからね(※)。

※編集部注:「M-1グランプリ2021」優勝当時、錦鯉・長谷川は50歳。

くるま “40歳”をお笑いにしたことって日本史上初じゃないかなと思って。あれは「渡辺銀次ここにあり」って感じでした。

イワクラ 前回の準決勝のネタもおもろすぎましたけど、より面白くなってました。

井口 あれこそちょっとの緊張も見せちゃダメだもんね。スタジオだと劇場とステージのサイズが違うからうまくできなそうなもんだけど、歩数までピッタリだと思わせるくらいの見せ方とか、本当に気持ちが乗っかっているから聞き応えがあるんだよね。低所得で、自分と向き合いたくないという話をなんでこの人は堂々と言っているんだ?っていう。金もない、人気もない、説得力だけある人っていうのが全部出てた。最近、こういう理屈を言う系のネタが増えていて、敗者復活戦組で言うと豆鉄砲とかもうまいけど、ドンデコルテが現時点での究極系な気がした。

くるま わかります。豆鉄砲もめちゃくちゃ面白いけど、ドンデさんを観たら「これは落とされちゃうか」と思いました。理由がある人の持論はやっぱり強い。

井口 豆鉄砲もめっちゃいいネタだったけど、40になって何もない人がやるのとは違うよね。

くるま 銀次さんって初めて会ったときからめっちゃ説得力あって、「この人、芸人以外で飯食えてる人なんだろうな」と思っていたんですよ。そういう先輩の空気ってあるじゃないですか。飲食とかで成功していそうな感じ。でも、銀次さんはまったく金なくて。その雰囲気で、どういう意味ですか?ってなりましたもん。

井口 あの家(カゲヤマ益田の実家の一部)に住んでいるのがよかったんだろうね。動画を観たら、ネクタイをきちんと畳んでたり、優雅には暮らしてるんだよ。金ないくせに。

くるま そう! 高等遊民なんですよ。(ドラマ)「デート(~恋とはどんなものかしら~)」の長谷川博己なんですよ。

井口 貧乏な芸人の家って荒れてそうじゃん。でも、ちゃんと暮らしてるんだよね。

くるま 楽屋でずっと革靴磨いてます。豊かなんですよ。

イワクラ 毎回ネクタイ替えているんですよね。忘れた後輩に貸してあげてたり(笑)。

くるま 銀次さんがドンデコルテを組んだときって、ちょうど神保町の漫才劇場ができたときだったんです。コンビって芸歴が下のほうに合わせるから、銀次さんはめっちゃ先輩なのに相方の小橋さんが芸歴浅かったから(若手の劇場の)神保町所属になちゃって。普通、そうなったら焦るじゃないですか。自分だけ先輩で気まずいし。でも、のびのびしてたんですよ。ずーっと後輩とかとしゃべって仲良くして、主宰ライブ打って、「R-1」にも挑戦して。その様子を見ていて、「絶対売れないんだろうなあ」って思ってました。現状を楽しんじゃってるから。でも、ちょっとずつ全部のパラメーターを埋めていって、決勝の水準まで面白くなるなんてすごいことですよ。すいませんでした、銀次さん。俺が間違ってました。

井口 僕らで言うと、錦鯉が組んだときと似てるのかな。今思えば、錦鯉も「一文無し参上!」とか言って登場してた。おっさんが金ないことを言いに来る大会じゃないんだよ!(笑)

飯塚 前回の準決勝でやっていたネタのテーマは「恋煩い」だったけど、今回はもっと背負っているものが大きくなって社会性が出て、急に視野が広くなった。それが「M-1」映えしたと思う。“放送”されて、全国に届けられている感じが、「M-1」に合っている芸風だなと。

くるま 電波ジャックみたいなことですもんね。ウエストランドさんもそうでしたし。

井口 画面から飛び出してくる系ね。こっち(お茶の間)になんか言ってくるっていう。

飯塚 あと、ちょうど2025年は政治の話題が多かったし、そういう時代の追い風も受けて、より人を引きつけたような気もする。

くるま ネタではあるけど、本当に心血注いで自分の気持ちを形にしたんだと思うんですよ。でもこれから売れちゃったら、また新しい自分のネタを作らなきゃいけないってめっちゃしんどくないですか?

井口 「税金こんなに取られるなんて」とか言い出すんじゃない?

くるま 今年出し尽くしたんじゃないかっていう意見もあるけど、来年の銀次さんが一番面白いと思います。40年の人生を凝縮した傑作はもうみんなに知られてしまったわけだから、なんなら41歳のネタが一番ピンチ。めちゃくちゃ楽しみです。あとは、小橋さんがどうなるかですよね。今、世界一わけわかんない衣装着てるじゃないですか。

井口 確かに。「反省会」のときに見たら丈が短くてなんか腹立ったんだよな(笑)。

たくろうの優勝が大阪芸人に与える気づき

くるま 豪快キャプテンさんのネタは、この日の審査員の瞬間最大風速は出ている気がしました。めっちゃ笑ってて。山内さんとか特に。

井口 お客さんより審査員のほうがウケてたのかな。

くるま このあたりでお客さんも疲れてましたからね。序盤から本当に盛り上がったので。で、豪快キャプテンさんが登場して、べーやんさんがなんの前触れもなく広島弁でしゃべり出したから、何が起こったのかよくわからなかったと思います(笑)。

井口 本当に、あれなんなんだろうな? すっごく嫌だったんだけど(笑)。僕が岡山で地元の言葉に近いからか、そうはならないだろってくらい強めの広島弁で。「ほいじゃあ」とか、言わないから! すぐ「べーやん 広島弁」で検索したけど誰も何も言ってなくて。

くるま 何を検索してるんですか!(笑)

井口 これは相当炎上してるんじゃないかと思って。なんで誰もなんも言ってないの?

イワクラ (べーやんは)普段からけっこう広島弁使ってますよね。

井口 でも、いつも以上にキツくなってなかった? 去年の「M-1」とか「NHK新人お笑い大賞」で見たときは気にならなかったけど。緊張して出ちゃったのか、逆に普段に寄せてったらああなっちゃったのかな?

イワクラ 自然な会話として見せたかったのかなと思いました。

くるま べーやんさん三味線やってるから、オープニングアクトで吉田兄弟さんが出てきてテンション上がって出ちゃったんじゃないですか?(笑) リハ観に来てましたもん。

井口 豪快キャプテンのネタって、最後雑じゃん。「NHK」で観たときもすごい面白かったけど、最後がもったいなかった。突き詰められないんだろうな。それがよさでもあるというか。

くるま カナメさんと近いかもしれないですね。

井口 だから、優勝はできないか! 突き詰められないから。

イワクラ そうですね(笑)。でも、たくろうの優勝を間近で見て影響受けて、「これじゃダメだ」って直すかもしれないです。さすがに一番近いところにいたたくろうが優勝したので、気づくかもしれない。

くるま それ、マジでいいことですね。めっちゃ面白いけど詰め切るの大っ嫌いな大阪芸人たちが詰め切ってくれたら、ダブルヒガシ決勝あるぞ!

井口 僕らの伝説の優勝のあと、僕らの周りも活躍しだしたんだよ。「優勝できるんだ」って気づいて。バイきんぐが「キングオブコント」で優勝したときも、だーりんずとかザコシさんとか、SMAのおじさんたちが賞レースで活躍しだして。結局気づきなんだよね、身近な人の。ダブルヒガシもあるんじゃない?

くるま ダブルヒガシさん、また「宗右衛門(町)」とか言ってましたもん。「天下茶屋」とか。

井口 なんでそんなに大阪の地名を世に出したいんだよ!(笑) たくろうの優勝で「ニューヨークとか言わなきゃ」ってなったかもな。世界の町にしなきゃって。

進化はよくない?完璧すぎて勝てない?

イワクラ ママタルトってすっと出てきましたよね? ツカミがないからびっくりしました。普通にめっちゃデブなのに、当たり前みたいに出てきて、「え?」ってなりました(笑)。

井口 めっちゃデブだからね。ハゲでもあるし。たぶん、前回せり上がりのときにふざけてそこがウケちゃって失速しちゃったから、逆に言わなかったのかもね。

くるま 豊昇龍関が(大鶴肥満のデカさに)引いてるとか、面白いことも起きてたのに。豊昇龍びっくりしてましたからね、「俺よりデカい奴がいる」って。

井口 力士もいてややこしいし、ガクの悲劇も見てるから変なことも言えなかったんだろうな。

くるま ガクの悲劇、それはめっちゃあると思います! 俺も震えますもん。というか、ここまでで全部のお笑いが出ちゃっているじゃないですか。単純にもう枠がなくて。

飯塚 全お笑いが出ちゃっているから、10番目は難しいですよね。

井口 最終決戦はメイク室で観ていたんですよ。始まったらドンデコルテがめっちゃウケてて、すごいことになるぞっていう空気感でしたけどね。現場もウケてた?

くるま めちゃくちゃウケてました。ウケ以外の気持ちよさもありましたね。イルミネーションのところとか、笑い声以外の歓声も上がっていて。「完全に掌握したな」という感じでした。

井口 そうだよね。だって、たくろうがいなかったら優勝だったもんなあ。

飯塚 それはそうだよ(笑)。

井口 僕はいつも言ってるけど、場を掌握した人が勝つ。令和ロマンもそうだし僕らもそうだし。それで言うと、ドンデコルテは掌握してたもんね。

くるま 完全にしてました。

井口 掌握してても勝てないという、変ことになってきた。勝つウケだったもんね。で、エバースが出てきて。ウケてないわけじゃなかったよね。

くるま 現場はそうですね。1本目のネタがバチッとハマった時点で、同じ時間軸で作ったネタをやるべきだったと思うんですけど、1本目より新しいネタだったんですよね。まあ、なんと言っても町田さんが噛んだところがデカかったかなあ(笑)。

井口 その前の演説が流暢すぎたからね。

くるま そうなんですよ。たくろうさんのあとが嫌で2番目にした戦術もわからなくもないけど、(演説のうまさで言うと)ドンデさんに見劣りしちゃうと思うんですよ。もしたくろうさんが2番だったらドンデさんと同じくらいウケるけど、内容的にドンデさんと意味のあるなしで比べられたと思うんです。で、最後にエバースさんが出てきたらその間を取ってめっちゃウケただろうから、順番もかなり左右したんだろうなと思います。

井口 こればっかりは結果論だからなんとも言えないけどね。さっきくるまが言ってたように、本人たち的には進化がいいことって思うかもしれないけど、そうでもないんだよね。僕らで言うと、2本目のほうが先に作ったネタなんだよ。つまり、“退化”させてる。だから最終決戦では(1本目のネタの)1個前のネタをやったほうがいいのかもしれない。

くるま 僕らもそうです。2本目のネタはめちゃくちゃ前のネタなので。

井口 進化がよくないのかもしれない。

くるま 同じ日に連続で見せる場合は、進化がよくないのかもしれないですね。ただ、だからこそドンデコルテはすごいんですよ。進化してたんですよ。でも同じ年に作ったネタだからまだ地続きなんですよね。年をまたぐと漫才って全然違うものになっちゃうんだろうなと思いました。

井口 そのあとたくろうが出てきて、とんでもないことになっちゃったもんね。何言っても(ウケる)状態になってた。

くるま ものすごいウケてました。体感したことなかったです、「M-1」の決勝の場で。「チリンチリン」の空気でしたね。ウイニングラン状態。

井口 僕も「Yahoo!で天気予報見てます」のところで(スタジオへ移動するために)ジャケット羽織ったもん。「あ、優勝したわ」と思って。わかるんだよ。なぜなら優勝したことあるから。

くるま あはははは!(笑) カッコいい。僕は「連絡しておいてくれ」のところで優勝したと思いました。

たくろうの優勝を確信し、ジャケットを着た場面を再現するウエストランド井口

たくろうの優勝を確信し、ジャケットを着た場面を再現するウエストランド井口 [高画質で見る]

井口 くるまもそこでジャケット着た? 要は、赤木の人間性とか、あるあるが入ってきたんだよね。「行きたいとは言ってないよ」とか。で、きむらバンドもうまく連絡しねえし。あそこが最高だった。かわいそうだったもん、赤木が。「きむら! ちゃんと連絡してやれよ!」と思った(笑)。

くるま でもボケ数が多いからウケてるっていうのもあるから、もっと割れるかなとは思いました。

井口 とろサーモン久保田さんが言っていたのは、上戸彩さんが「もっと聞きたくなりますね」とコメントしていたんだけど、「もっと聞きたい」と思われないと勝てない。逆に、エバースくらい完璧だと腹一杯になっちゃうんだよね。完璧すぎて勝てないって、なんだこの大会は! 場を掌握しても勝てなかったし、すごい段階に来てる。

くるま 最初はホットドッグとかゴールデンレトリバーとかアメリカに寄せたワードを絞り出していたけど、Yahoo!、やよい軒とちょっとずつ“帰国”して、最後はもはややけくそで大阪府と言っているのが完全に漫才だった。それによって作品性が高まったし、審査員も「ただウケただけじゃない」と背中を押されて票を入れたのかなと思いました。

井口 ちゃんと考えられてるんだよね。ただ僕は「頼むから1票は(別のコンビに)入ってくれ!」と思ってた。伝説の6票があるから。山内さんがドンデコルテに入れてくれていたときは「よかったー!」と思ったね。

くるま 審査員の数が違うから7票中6票より今回のほうがすごいんですよ?

井口 いやいや、割合とか関係ないから。1票は1票だから。

イワクラ「めっちゃ食らった」

──敗者復活戦は劇場での実施でしたが、どうでしたか?

くるま やりやすくなった分、ハードルも上がっちゃってますよね。ウケるネタの質も変わった気がします。ミカボさんとかは、もし屋外だったらけっこう流されてますもんね。

井口 ちゃんとした構成の人がちゃんとウケてたね。

くるま イチゴもやばかったな。伝説になるかと思いました。

イワクラ めっちゃ面白かった!

井口 愛され方もすごいから、登場からものすごいウケてて。間(ま)を取ったところがもったいなかったというか、そこも突っ走れるくらいウケてたけどね。イワクラは今回の「M-1」どうだった? 挑戦もしているわけだけど。

イワクラ たくろうが優勝したことにめちゃくちゃ刺激を受けました。敗者復活でミキさんが競ったときも思ったんですけど、ちゃんとやってたら結果に結びつくんやって。めっちゃ食らったので、マジで漫才もう1回がんばろうと思いました。

くるま 俺らの優勝って、後輩すぎるから誰の刺激にもなっていないと思うんですよ。たくろうさんのおかげでみんなの活気が戻ってよかった。

井口 見取り図の盛山さんに会ったけど、うれしそうだったよ。久々に大阪所属の人が優勝したから。

イワクラ 新山は「しんどいなこれ……」と言っていたんですけど、「いや、忍耐やから」って。世代交代の感じもあってしんどいっていうのはわかるけど、ちゃんと面白いことを続けていればまたタイミングが来ると思う。たくろうを見ててマジでそう思いました。

左からウエストランド井口、令和ロマンくるま、蛙亭イワクラ、作家・飯塚

左からウエストランド井口、令和ロマンくるま、蛙亭イワクラ、作家・飯塚 [高画質で見る]

プロフィール

井口浩之(イグチヒロユキ)

1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2022年「M-1グランプリ」王者。「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。とろサーモン久保田とのレギュラー番組「耳の穴かっぽじって聞け!」(テレビ朝日)は毎週月曜25:58~。テレ朝Podcast「ウエストランド井口と吉住の孤独アジト」は毎週木曜6:00~配信。タイタン所属。

飯塚大悟(イイヅカダイゴ)

1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「永野&くるまのひっかかりニーチェ」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」「クレイジージャーニー」(TBS)、「ヒルナンデス!」「GoldenSixTONES」(日本テレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。大井洋一と出演するポッドキャスト「褒めたいラジオ」(Artistspoken)毎週水曜23:00~配信中。

くるま

1994年9月3日生まれ、東京都出身。慶應義塾大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」の先輩だった松井ケムリとコンビ結成。「NSC大ライブTOKYO 2018」で優勝し、NSC東京校23期の首席となった(当時のコンビ名は魔人無骨)。新元号施行開始の2019年5月1日より現在のコンビ名に改名。「M-1グランプリ」では2023年、2024年に前人未到の連覇を達成した。5月16日(土)に単独ライブ「RE:IWAROMAN」を神奈川・Kアリーナ横浜で開催する。

イワクラ

1990年4月10日生まれ、宮崎県出身。同じNSC大阪校34期生の中野周平(ナカノシュウヘイ)と2011年にコンビ結成。2020年4月に活動拠点を東京に移した。「キングオブコント」では2021年、2023年に決勝進出。出演している「有吉の壁」(日本テレビ)発の映画「有吉の壁 劇場版アドリブ大河『面白城の18人』」が全国で上映中。吉本興業所属。

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