北海道時代のザ・ギース高佐。

北海道芸人の上京物語 第6話 [バックナンバー]

ザ・ギース高佐の上京物語(後編)

年々、郷土愛は強くなってきています

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北海道出身芸人の活躍が注目を集める中、お笑いナタリーが立ち上げた連載「北海道芸人の上京物語」の第6回には北海道函館市出身のザ・ギース高佐が登場。後編では「完全に色眼鏡をかけて見ていた」という初めての東京の印象、とにかく明るい安村との「東京ってスゴい」コラボにジーンと来たこと、「年々強くなっている」という郷土愛などについて語ってもらった。

取材・/ 成田邦洋

色眼鏡をかけて見ていた初めての東京

──ここからは上京にまつわる話をお伺いします。上京したいという願望ありきで、道内の大学ではなく早稲田大学に推薦で入学されたんですよね。

もともと芸人になりたくて、でも家が学習塾で厳しいので、「大学に行く」という名目だったら東京に行けるだろうと。高校に早稲田の理工学部の推薦枠が1枠あって、1次募集のときには誰も応募していなかったみたいなんですよ。僕も全然行くつもりはなかったんですけど、担任の先生に言われて2次募集で受けたら、ほかにも2人いる中で、なぜか僕が選ばれた。結果的には大学を中退しましたけど、先生にそそのかされて入学したので仕方ないと思っています(笑)。

──上京してからは1人暮らしでしたか?

今もある男子寮の「北海寮」で寮生活をしていました。北海道出身の人たちが集まる、いわゆる県人寮で当時4、50人くらい。今だと考えられないような、縦社会で厳しくバンカラな、伝統が残された寮に4年間いて「寮務委員長」もやりました。

──前編でも高校で演芸研究会を作ったり、大喜利を主催したりした話がありましたが、高佐さんは人の上に立つタイプでしょうか?

ザ・ギース高佐

ザ・ギース高佐

中学の卓球部もキャプテンだったんですけど、人の上に立つというよりも、みんなやりたくないから「あいつ真面目だからいいんじゃない?」みたいな感じでやらされることが多いです(笑)。僕も「やらされているから失敗しても自分の責任ではない」と開き直っています。

──初めての東京暮らしの感想は?

まず大学の推薦入試を受けるときに父親と一緒に東京に来たんです。父親が、父親の友達と「一緒に飯食いに行こう」となって行った場所が歌舞伎町で「東京=犯罪の街」というイメージになりました(笑)。

──何か嫌な目に遭ったとか?

まったくないです(笑)。僕が完全に色眼鏡をかけていただけです。寮に住み始めてからも「人が多くて怖いところだな」というイメージがありました。満員電車も初めて経験しましたし、梅雨もあるし。それでも、東京での生活のほうが長くなりましたね。

「東京ってスゴい」コラボにジーンと来た

──この取材の冒頭でタカアンドトシさんとの共演にも触れましたが、ほかに北海道出身の芸人さんとの交流はありますか?

この間、オズワルドにライブに呼んでもらって、畠中くんが函館出身で親近感はあって「今度ごはんに行こう」みたいな話もしました。トム・ブラウンとも話して、お互いに「北海道出身なんですね」と。あと、とにかく明るい安村さんと今年「千鳥のクセがスゴいネタGP」(フジテレビ系)でコラボさせてもらいました。

──安村さんの「東京ってスゴい」ですね。高佐さんがハープ演奏、相方の尾関さんが紙切りをしていました。

そうですね。あの曲で安村さんは「東京に来て20年経ったら 恥ずかしくもなくこんなことができる」と歌っていて、僕もまさかやるとは思わなかったハープを弾いているので、なんかジーンと来ました(笑)。あと、芸人さんじゃないですけど作家のせきしろさんが北海道出身で、先月から同じASH&Dに所属になりました。ライブでもお世話になっていて北海道出身者が出るライブをやったりもしました。

──北海道出身の芸人さんに共通する芸やキャラクターなどについて感じることはありますか?

主観ですけど、基本、性格は大らかで優しい人が多くて、でも何か未知の世界に乗り込んでチャレンジするフロンティアスピリッツを感じます。「誰もやってないことをやってやろう」と。人見知りな感じもあるので、表には出さずとも何かを心に秘めている。

──あと函館といえば「浜言葉」と呼ばれる方言が特徴的で、高佐さんはあまり方言の印象がないのですが、意識していますか?

「出さないように意識しよう」という感じでもなくて、地元に帰ったら地元の言葉になります。相手が東京の人とかだとこっちも標準語になるという感じです。

──地元だとやはり訛るんですね。

子供の頃のザ・ギース高佐。

子供の頃のザ・ギース高佐。

うちの父親が東京で仕事していて、ほかの家庭よりは訛ってないほうだとは思うんですけど、親戚のおじさんが結構訛っているので話すときはすぐに訛ります。訛ったほうが言葉がスムーズに出てきて話しやすいので、やっぱりこっちだと気を張っているんだな、とは思います。もしかすると無意識に気をつけてしゃべっているのかもしれないです。

──最後に、今の北海道に対する高佐さんの気持ちをまとめると、どんな言葉になりますか?

年々、郷土愛は強くなってきています。特に用事があるわけでもなく、函館にちょっと帰らせてもらうこともありますし。異国情緒や物悲しさももちろん好きですけど、函館をさらに活気で溢れさせたいな、という気持ちがあります。

──たとえば芸人として何かイベントをするとか?

具体的にはまだ何もないです。ただ、北海道芸人が集まってライブをするにしても、だいたい札幌でやるんですよ。畠中くんも出てきていますし、そろそろ函館を盛り上げていきたいですね。それがすべてじゃないですけど、そのためにもっと売れたい、何かで注目してもらいたい、と思っています。

高佐一慈(タカサクニヤス)

1980年9月2日生まれ、北海道函館市出身。ザ・ギースのメンバー。2004年に尾関高文とコンビ結成。2008年、2015年、2018年、2020年の「キングオブコント」ファイナリスト。特技のハープ演奏をコント中にも披露している。2022年8月にエッセイ本「乗るつもりのなかった高速道路に乗って」(PLANETS)を発売した。ASH&Dコーポレーション所属。

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志池 一利 @cazoo_ck

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