北海道出身芸人の活躍が注目を集める中、お笑いナタリーが立ち上げた新連載「北海道芸人の上京物語」。第2回は全員札幌出身のトリオ・
取材・
全国を地元にしちゃえばいい
──皆さん札幌出身ということで地元や上京後の話を中心にお伺いしたいのですが、まずはトリオ結成の経緯を教えてください。
木田 全員、札幌吉本のオーディションを受けて2011年に入った同期なんです。僕とゾエは高校から一緒でした。
ゾエ 僕と木田がもともと「マックラマクラ」というコンビで、たかしは弟と兄弟コンビの「ラマナラマーナ」を組んでいました。さんさんずは2015年に結成して、1年間だけ札幌で活動して、2016年に上京してきた、という流れです。
木田 たかしがコンビを解散するとき、いろんな先輩から「たかしが『俺はマックラマクラに入る』って言ってる」と聞いたんですよ。「入りたい」じゃなくて「入る」って。
たかし 決定事項ですね。
木田 だから未だに外せる権利をこっちは持ってるんですけど。
たかし 「外せるもんなら外してみろ!」という気持ちでがんばってます。
木田 ちなみに「マックラマクラ」という名前は暗いイメージで、それで仕事がなくなることもあり、明るい名前=太陽で「さんさんず」になりました。
──トリオで1年活動してから上京することになった決め手はなんだったのでしょうか?
ゾエ 「M-1グランプリ」や「キングオブコント」の予選1回戦は札幌であるんですけど、2回戦からは会場が東京なんですよ。それが毎回ウケないので、2回戦のために毎年東京に行って、そのたびに落ち込んで札幌まで帰る、というのはムダだなと。
たかし 地元の札幌では一応がんばって毎月のライブで優勝させてもらっていたんで、あるとき「全国を地元にしちゃえばいいんじゃないか」と思って。
──東京を地元にすれば東京でも勝てるということですよね。
たかし そうです。
ゾエ ちょっと時間かかってますけど(笑)。
木田 札幌吉本から東京吉本に移籍して、シアターDとヨシモト∞ホールと、その上に今みたいな「∞ドーム」っていう名前はなかったけど借りられる小屋があって、その3カ所を拠点にしていました。
──芸風もトリオになった当初から「トリプルハイテンション」「ダブルツッコミ」だったんですか?
木田 我々はよくダブルツッコミが珍しいと言われるんですけど、まったく頭で考えたものじゃなくて。ゾエもたかしも自分からツッコミを希望してきたんですよ。2人と組むまで、彼らがツッコミで笑いを獲っているのを見たことがないんですけど(笑)。
ゾエ いやいや、めちゃめちゃツッコめてるよ!
木田 僕は本人たちがやりたいって言ってるならそれでいいやと思って、ダブルツッコミになったんです。札幌での1年間はコントをやっていて、漫才をやり始めたのは3~4年前くらいです。
ゾエ 「BAKE-MON」という大会で決勝に行ったんだよね。
木田 それで「じゃあ漫才やってみるか」ってなって、漫才にシフトチェンジしました。
札幌で仕事をするとノスタルジックな気持ちになる
──札幌には今でも愛着がありますか?
3人 めちゃめちゃあります!
ゾエ 僕たちは売れたら札幌でタカアンドトシさんみたいに番組を持ちたいと思っています。東京で活動して、たまに帰れる、みたいなのが一番いいです。
木田 ゾエが「僕たちは」って勝手に代表的な感じで言ってたんですけど、僕は全然違う意見です。
ゾエ なんでだよ! いいだろ!
木田 僕はひとりっ子で、こいつらが上京したあとも1カ月上京しなかったんですよ。
──それはなぜでしょうか?
木田 地元に残っていたくて。違う地域に行くのが嫌だったんです。ただ、今は新しい仲間が増えて、東京で戦っている感じがすごく楽しいです。東京もすごくいいなと思っています。
たかし 僕は嫁と子供を置いて単身赴任で来て、こちらで自由にやらせてもらっているんですけど、やっぱり売れて札幌で仕事できるようになれば、家族に会える回数も増えるじゃないですか。札幌愛は今でもずっと強いです。
木田 でも、札幌で仕事をするとノスタルジックな気持ちにならない? ターミナルプラザことにパトスっていうライブ会場があって、僕とゾエは山の手高校出身で、家からチャリで通学するとパトスの前を絶対に通っていたんですよ。芸人になってからそこでライブをやるときは、「彼女と一緒にここを歩いたな」とか思い出しちゃって、戦闘態勢にならないんです。
ゾエ それは集中してねえからだろ!
つららは刺さり、ソリは落ち、リフトは止まる
──子供の頃や学生時代に北海道らしい遊びをした思い出を聞かせてください。
たかし 雪遊びは楽しかったですね。
木田 缶の中にミルクを入れて、雪の上で蹴っ飛ばして遊んでいると、中がアイスになってるっていう。
たかし あー、あった! あった! あと、雪玉を作って、水が滴る洞窟みたいな場所の中に雪玉を隠しておくんですよ。1日置いたら、真っ透明な球ができるんです。
木田 それで思い出した。1個上の先輩のノゾミって奴にかわいがってもらっていたんですけど、俺が小学校4年生くらいのとき、ノゾミが頭にメロンやスイカを包むようなネットを被っていたんですよ。詳しく聞いたら、ノゾミは外に垂れ下がっているつららをいつも下から舐めてたんですけど、次のつららに行こうとしたときにデッカいつららが落ちてきて、頭にぶっ刺さったらしいんですよ。それで被ってるんだ!っていう。
ゾエ いや笑えねえよ!
木田 それはすごくノスタルジックですね。
ゾエ なんでそこでノスタルジックになるんだよ!
木田 つららは危ないということを教えてもらいました。あと、北海道って学校の校庭によく雪山を作るんですよ。
──たしかに見かけます。
木田 その雪山にジャンプ台も作って。同級生のヤノって奴がソリを持ってきて、寝っ転がって滑っていたら、ジャンプ台で思いっきり飛んで、背中から落ちたんですよ。そのまま動かなくなって、近寄って「大丈夫か!」って聞いたら「息できない!」って……あれはノスタルジックですね。
ゾエ なんでだよ! お前、なんで同級生のケガのエピソードばっか挙げるんだよ!
たかし あとは、地面が氷でカチカチになっていところを丸くくり抜いて持つ、「気円斬」というのをやっていました。
──「ドラゴンボール」でクリリンが使っている技ですね。
木田 あー、使ってたもんね。
たかし いや俺は確かにクリリンっぽいけど! 俺が技を使っていたわけじゃない。
木田 ゾエが高校3年生のときに初めてスノボに行って、リフトを8回止めたっていうのもありました。
ゾエ 僕は北海道出身なのにスキーとかスノボが苦手なんですよ。スノボでリフトを降りるときに毎回転倒したり、頭打ったりとかして8回全部緊急停止しました。
木田 これもノスタルジックですよね。
ゾエ どこがだよ!
マジでおいしい北海道のソウルフード
──北海道のソウルフードでオススメは?
たかし 「ホンコンやきそば」(北海道ほか一部地域で販売)です。袋麺のインスタント焼きそばで、これを普通に焼いて食べるのがマジでおいしいです。
ゾエ 僕は今でも実家から送ってきてもらってます。
たかし あと、「ラーメンさんぱち」は札幌に帰ったら毎回食べます。
木田 それで言ったら俺は「山岡家」。こっちでは山岡家になかなか会えないじゃないですか。
ゾエ 僕は山岡家が好きすぎてバイトもしてました。いっぱい食べられるので。
木田 セイコーマートのホットシェフのカップに入ったフライドチキンも、あれをなかなか超えるものはないんじゃないですか? 知らない人に言うならば、ケンタッキーそのもの。
たかし いや、ケンタッキーを超えました!
木田 俺はそのものだと思ってる。
ゾエ なんでここでケンカしてんだよ! いいだろ、「おいしい」で。僕はお店ですけど、「布袋」っていう中華料理屋のザンギ。めちゃくちゃ安くておいしくて、北海道に仕事に行く芸人仲間に必ずオススメしています。
木田 それに勝つのがセイコーマートのフライドチキン。あれはうまい。ケンタッキーそのもの。
ゾエ もうケンタッキー食えよ! じゃあ!
<後編に続く>
さんさんず
木田大輔(キダダイスケ) 1989年1月13日生まれ。北海道札幌市出身。
ゾエ 1988年4月28日生まれ。北海道札幌市出身。
たかし 1982年10月23日生まれ。北海道札幌市出身。
2011年に3人とも札幌吉本へ入社。ゾエと木田が「マックラマクラ」、たかしが弟と「ラマナラマーナ」というコンビでそれぞれ活動していた。たかしのコンビ解散後、2015年にさんさんずを結成。2016年に東京吉本へ移籍した。ヨシモト∞ホールを拠点に、トリプルハイテンション、ダブルツッコミなどの武器で活躍している。2022年5月放送の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)に、ゾエとたかしが初出演を果たす。
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