札幌吉本時代のさんさんず。

北海道芸人の上京物語 第2話 [バックナンバー]

さんさんずの上京物語(後編)

照れ屋をかき消すために大声を出す

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北海道芸人たちに話を聞く連載「北海道芸人の上京物語」。第2回は全員札幌出身のさんさんずに話を聞いた。先日掲載した前編はトリオ結成の経緯、雪や氷との格闘、ソウルフードなどの話。後編は、上京後の生活、北海道芸人の共通点、札幌への思いを語ってもらっている。

取材・/ 成田邦洋・塚越嵩大 撮影 / 成田邦洋

転入生気分で東京に来たらみんなフレンドリー

──2016年の上京後、東京暮らしをした最初の印象は?

ゾエ 僕は家族と一緒に来ていて、ベタなことを言うと「どこに行っても人が多いな!」っていう。どこの駅にも松屋がある。ない駅はないんじゃないかと。

たかし 1つひとつの駅が街になってますよね。

木田 僕は千歳烏山が最寄りで……まあ最寄りと言っても歩いて20分くらいかかるんですけど。

ゾエ 最寄りじゃねえな! 本当に東京か? そこ。

木田 最初にバイトしたのが、自分の家から歩いて10分くらいのユニクロだったんです。ただ、芸人としての仕事はなかったので、昼のバイト休憩中に近くの公園でブランコに乗りながら「俺、東京まで来て、何してるんだろう……」と思うこともあって。赤ワインのボトルを一気飲みしてからバイトに行くこともありました。

たかし よくねえな!

ゾエ 東京の最初の印象はなんなんだよ、結局!

木田 でも、お客さんからは「ありがとう」のハガキをいっぱいもらいました。ボックスに入れるタイプの感謝のメッセージです。

たかし 僕は嫁と息子が札幌にいるままなので二重生活になるんですよ。それでとにかく安い物件を探したら、世田谷に家賃3万8000円のところを見つけて、内見もしないで引越ししたんです。いざ行ったら廃墟みたいな家でした(笑)。

さんさんず

さんさんず

木田 芸人の仕事のことを言うと、僕らは転入生みたいな気分で東京に来たんですけど、同期がみんないい奴で、すごく声をかけてくれて。

ゾエ フレンドリーだよね。

木田 ライブで一緒になったあとは「今度、飯に行こうよ」って声をかけてくれました。特にキンボシは、僕らが来て2カ月くらいですぐに同期を集めた飲み会を開いてくれて、そこでみんなと知り合えた。もっと殺伐としているのかなと思っていました。そこはカルチャーショックでした。

ゾエ ショックじゃねえわ!

木田 いい意味でね。

照れ屋をかき消すために大声を出す

──北海道出身のほかの芸人で仲良くされている人は?

ゾエ 札幌時代、タカトシさんの番組に何回か出させていただいたことはありました。

木田 吉本以外になっちゃいますけど、トム・ブラウンさん、錦鯉・長谷川さん。

ゾエ 北海道出身だとトムさんが一番かな。ライブに呼んでもらったりとか。

木田 Yes!アキトもいます。アキトは、ほぼ同期なんですよ。みんな、たまに会うくらいですね。ネットやテレビを通して見ることのほうが多いので、ライバル視というか「がんばらなきゃいけない」と思える刺激をくれる存在です。

さんさんず木田

さんさんず木田

──北海道芸人の共通点は感じますか?

たかし この間、話に上がったのは、「みんな照れ屋」だということ。それをかき消すために大声を出す人が多いかもしれないです。布さん(トム・ブラウン布川)が言ってたんだっけな。「キャラを付ける」「大声で戦おうとする」と。

木田 トムさんも長谷川さんもアキトも、あと俺らもそうか(笑)。引っ込み思案ではあるよね。∞ホールの大楽屋ってコロナ前には芸人がみんないて、来たばかりのときは僕ら3人が転入生で、挨拶に行くのがすごく緊張しました。

ゾエ 地方芸人あるあるかもしれないね。

木田 札幌時代、東京芸人さんによく「札幌芸人はおとなしい」とよく言われていました。

たかし あと、ちょっとスキンヘッド率が高いかな。自分がそうだし、長谷川さん、トム・ブラウンみちおさんも。

さんさんず・たかし

さんさんず・たかし

ゾエ 内気で優しい人が多いような気もします。トムさんとか長谷川さんにはブレイクする前からお会いしてますけど、やっぱり優しいです。すごくフランクで。トムブラさんは札幌時代から一緒にやってたんじゃないかというくらいフレンドリーに接してくれます。地元のチームワークみたいなものがある気がします。

木田 北海道の人間が、東京の人たちのことをちょっと上に見ちゃうというかもあるかも。 「俺みたいなのがすみません!」みたいな。

ゾエ それはあるかもしれないな。

金を持った状態で札幌でおいしいものをたらふく食べたい

──今でも愛着があるという札幌、そして北海道への思いを最後に改めて聞かせていただけますか?

札幌吉本時代のさんさんず。

札幌吉本時代のさんさんず。

木田 僕は1人っ子で、両親が僕しか楽しみがないので、北海道で両親に見てもらえる機会を増やすために、こっちでがんばりたい。北海道にいる両親のためにがんばってるみたいなとこはありますね。変な奴と思われても、頭イカれてると思われてもいいから、露出を増やしていきたいです。いつかあっちで仕事できるようになりたいです。北海道=両親です。

ゾエ 僕も北海道出身はすごくアピールしていきたいです。北海道で番組を持ったり、僕らが札幌吉本出身みたいな感じで注目されて地方芸人がもっと注目されたり、東京でがんばっている札幌吉本芸人たちと大きいところでライブしたりして、みんなで売れたいと思います。

木田 それは出身が北海道じゃなくても同じこと言えるじゃん? 聞いてるのは「北海道への思い」だから。

ゾエ いやいやいや、これも北海道への思いだろ!

木田 でも、それは秋田出身でも同じことが言えるじゃん! 北海道出身者ならではの意見を聞いてんの! 俺は北海道に両親がいるからって。お前は?

ゾエ だから、北海道にいる仲間も含めて一緒にみんなで売れたい!

木田 こいつからそんな言葉、1回も聞いたことないです! コンサドーレ札幌のことばっかりです!

ゾエ コンサドーレも北海道だろうが!

さんさんずゾエ

さんさんずゾエ

──そのあたりも仕事に繋がっていけたらいいですよね。

ゾエ コンサドーレの仕事もめちゃめちゃしたいです。ゆくゆくは情報番組とかで。

木田 まあまあまあ。北海道ならではの話は聞けなかった、ということで……。

ゾエ 言っただろ!

木田 たかし、違いを見せてやれ。

たかし 北海道の人って東京に対して「お邪魔します」感があるじゃないですか。でも、北海道の面積を本州と比べてみたら、めちゃくちゃデカいですからね。だから自信を持って、北海道出身であることを誇りに思いながら……。

木田 えっ!? デカさだけのことを誇りに思いながら!? ……本心を言えばいいのよ!?

たかし いやいや、だから……北海道くらい大きくなります。

ゾエ 小学生のインタビューじゃねえんだから!

木田 お前、「北海道くらい大きくなります」って、それ化け物だよ!? なんで糖尿病なのにデカくなろうとしてるの?

たかし 俺が糖尿病のことは今いいよ!

木田 それと、こっちに来て「北海道って食べ物おいしいの?」ってよく聞かれるんですけど、正直な話、俺ら、金を持って札幌にいたことがないんです。なので、金を持った状態で札幌でおいしいものをたらふく食べたいです!

たかし でも、金額だけじゃないってことも俺は言いたい。

木田 そういうことは、高いものを食ってから言え。

たかし うん。そうしよう。

ゾエ 納得するの早いな!

さんさんず

さんさんず

さんさんず

木田大輔(キダダイスケ) 1989年1月13日生まれ。北海道札幌市出身。

ゾエ 1988年4月28日生まれ。北海道札幌市出身。

たかし 1982年10月23日生まれ。北海道札幌市出身。

2011年に3人とも札幌吉本へ入社。ゾエと木田が「マックラマクラ」、たかしが弟と「ラマナラマーナ」というコンビでそれぞれ活動していた。たかしのコンビ解散後、2015年にさんさんずを結成。2016年に東京吉本へ移籍した。ヨシモト∞ホールを拠点に、トリプルハイテンション、ダブルツッコミなどの武器で活躍している。2022年5月放送の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)に、ゾエとたかしが初出演を果たす。

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さんさんず・ゾエ @makumakuzoe

後編アップされています!!
北海道への愛生意気語らせてもらってます! https://t.co/aCBFQbiIiY

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