「維新」の気持ち
──前作「せきららららいおっと」もツアー中に制作されたシングルでしたが、まさか同じツアー中にもう1枚シングルが作られるとは思っていませんでした。
一十三 ライブで忙しい中でシングルを作るのにも慣れちゃいましたね。
ましろ 「トナリコレアラタ」もそうなんですけど、今の自分たちにリンクした曲を書いてもらえるから、短時間で曲に入り込めるんだと思います。今回も集中して2、3日でレコーディングしましたから(笑)。
如月 1曲に対して短時間で集中して向き合うからこそ、それぞれの素の部分が歌に現れてるのもポイントですね。
──「トナリコレアラタ」の「コレアラタ」は漢字にすると「維新」。先ほど如月さんが話していた「変化の時期」という言葉とリンクする要素ですね。
如月 恋愛の曲だから一聴すると大それた歌詞には感じないかもしれないけど、この曲の主人公にとってはものすごい意識の変化と言うか、並々ならぬ決意が歌われているんです。
咎憐无 普通に恋してる女の子とか、片思いをしている人が聴いたら絶対共感できる恋愛ソングにもなってるし、私たちの決意もそこに込めています。
ましろ 独りよがりでから回っちゃってる恋愛ソングって、今までのぜん君。の曲にもあったんですけど、曲の最後で「この手離さない! 決して離さない」って歌っているところは昔とちょっと変わったところだと思います。好きな人と手を取って進んでいきたいってちゃんと歌えるようになったのは「維新」の気持ちが大きく出てるからなのかなって。
──前回のシングルのインタビューで四さんが「今までは『自分』だけの世界という感じの曲でしたけど、今回は『キミと自分』の世界になったな」と言っていて(参照:ぜんぶ君のせいだ。「せきららららいおっと」インタビュー)。「トナリコレアラタ」は四さんの言っていた「キミと自分の世界」がもっと広くなった印象がありました。
咎憐无 そういえばそんな話してた!
一十三 曲の中での私たち自身が、周りのことをちゃんと見えるようになったんだと思ってます。そのうえで、私と君はこの世界の中心にいるんだって歌っていると言うか。
如月 やっぱり今までのぜん君。より前に進んでる感じがあるんですよね。技術的にも成長してると思うし、歌詞で描かれてることも前進してるんだって思えるのは、すごくありがたいことです。
「ROMANTICISM」の女の子は……
──シングルの1曲目「トナリコレアラタ」と3曲目「ROMANTICISM」は、どちらも水谷和樹(Gauche.)さんが作曲したものですが、曲調も歌詞で描かれていることもちょっと似ているな、と感じました。
如月 そうなんです。1曲目と3曲目でちょっとリンクしてるんです。
一十三 どちらも「キミと自分」のことを歌っているのは共通しているんですけど、「トナリコレアラタ」がちょっと男らしい決意表明が入った曲だとすれば、「ROMANTICISM」はすごくかわいらしい女の子らしさが詰まった曲ですね。
咎憐无 レコーディングのとき、「女の子のやつ」って呼んでました(笑)。
如月 かわいい曲なんだけど、すごく切ない曲なんです。
ましろ 「ROMANTICISM」の歌詞については、僕たち4人で何度も話をしたんです。
如月 曲の最後の歌詞が「これは愛です? わかんないけど。『ありがとう』と不意に つぶやいてた」なんです。私はこの歌詞をもらったとき、臆病なこと以外にも大切な相手に思いを伝えられない理由があるんだろうと思ったんです。だから「ありがとう」とつぶやいただけで、その言葉は大切な人には届いていない。レコーディングのときはもう泣きそうでした。
一十三 ホントに聴く人によって感じ方が違うんですよね。私は曲の最後に向けて明るい気持ちになっていくように捉えてたんです。曲の中で描かれている女の子は、自分の気持ちを心の中でちゃんと落とし込むことができたから、大切な人に向けて「こんな気持ちにさせてくれてありがとう」という意味で「『ありがとう』と不意に つぶやいてた」と書かれてるのかなって。曲はここで終わってしまうけど、このあと好きな人に向かって走り出すんじゃないかなって思ってるんです。
咎憐无 この討論、ホントに「もういいよ!」ってくらい何度もしてます(笑)。
ましろ 「トナリコレアラタ」は「みんなで気持ちを1つにして前に進もう」って感じの曲だから、みんなの解釈にそこまで違いはなかったと思うんです。でも「ROMANTICISM」はそれぞれのメンバーによって解釈が違う。それをどう1曲の中で表現しているか、聴いているとちょっと面白いかもしれません。
咎憐无 どっちの解釈でも、この女の子にとって、曲で描かれている片思いはいい思い出になりそう。
如月 うん。いい思い出だと思う。
一十三 いろんな人に聴いてもらって、どう思ったか知りたい曲ですね。
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情緒不安定なぜん君。らしい遊び
- ぜんぶ君のせいだ。「トナリコレアラタ」
- 2018年4月4日発売 / コドモメンタルINC.
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[CD]
1080円 / CMI-0036
- 収録曲
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- トナリコレアラタ
- ゔぁいあるらびりんす
- ROMANTICISM
- ライブ情報
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ぜんぶ君のせいだ。ワンマンLIVE~ロマン無頼IZM~
2018年5月3日(木・祝)東京都 TSUTAYA O-EAST
- ぜんぶ君のせいだ。(ゼンブキミノセイダ)
- 如月愛海(きさらぎめぐみ)、ましろ、一十三四(ひとみよつ)、咎憐无(とがれん)の4人からなる「病みかわいい」をコンセプトにしたアイドルユニット。2015年7月に1stシングル「ねおじぇらす✡めろかおす」を発表し、同年10月に愛知・CLUB Zionにて単独公演を開催。初ライブにしてソールドアウトを記録した。2016年には1月に1stアルバム「やみかわIMRAD」を、11月に2ndアルバム「アニマあにむすPRDX」をリリースした。12月に東京・LIQUIDROOMで行われたワンマンライブ「ぜんぶ僕のせいだ。」で新メンバーの咎憐无が加入。2017年1月には新たに未来千代めねがグループに加わり、同年2月には新体制初のシングル「Sophomore Sick Sacrifice」を発表した。9月に行われた全国ツアー「みんなごとTOUR 2017~2018」の初日公演をもって、のどの不調のため活動を休止していた未来千代めねが脱退。2018年4月にはニューシングル「トナリコレアラタ」をリリースし、同年5月にはグループ史上最大規模の会場となる東京・TSUTAYA O-EASTにてワンマンライブ「ロマン無頼IZM」を開催する。