ぜんぶ君のせいだ。インタビュー|5人で歩む“終わりのない旅”で見出したもの

「病み可愛いで世界征服」というキャッチコピーで活動を続けてきたぜんぶ君のせいだ。が、海外公演を含むワールドツアー「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」を開催している。

このツアーは開催地域も開催数も定められておらず、ぜん君。は日本国内47都道府県に加え、アジア各国、ヨーロッパや北米圏でもライブを重ねている。グループ発足から約10年が経ち、目標としていた大舞台での公演を経た彼女たちは、国内外でライブを繰り返す中で何を思うのか? 5人へのインタビューを通して、ぜんぶ君のせいだ。の今の実情に迫る。

取材・文 / 倉嶌孝彦ライブ撮影 / ShoLar Wang、Ic

公演情報(※2025年11月26日公開時点でのスケジュール)

ぜんぶ君のせいだ。??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR

3rd SEASON

  • 2025年12月6日(土)沖縄県 会場調整中(ファンミーティング)
  • 2025年12月7日(日)沖縄県 沖縄Cyber-Box
  • 2025年12月13日(土)愛媛県 Double-u studio
  • 2025年12月14日(日)広島県 ALMIGHTY
    [昼公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。 / Not Secured,Loose Ends
    [夜公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。
  • 2025年12月20日(土)福島県 clubSONICiwaki

4th SEASON

  • 2026年1月11日(日)東京都 shibuya eggman(如月愛海生誕SP)
    [昼公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。ほか
    [夜公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。
  • 2026年1月12日(月・祝)愛知県 CLUB Zion(如月愛海生誕SP / バンドセット)
  • 2026年1月17日(土)韓国 会場調整中
  • 2026年1月18日(日)韓国 会場調整中
  • 2026年1月24日(土)奈良県 OCEAN BOULEVARD
  • 2026年1月25日(日)和歌山県 和歌山CLUB GATE
  • 2026年1月31日(土)沖縄県 Music Lane Festival Okinawa 2026
  • 2026年2月1日(日)沖縄県 Music Lane Festival Okinawa 2026
  • 2026年2月7日(土)国内 会場調整中
  • 2026年2月8日(日)東京都 新宿MARZ(メイユイメイ生誕SP)
  • 2026年2月13日(金)~3月16日(月)ヨーロッパ各国数都市調整中(※ポーランド、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、オランダ、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランスが決定済み)
  • 2026年3月20日(金・祝)国内 会場調整中
  • 2026年3月21日(土)国内 会場調整中
  • 2026年3月22日(日)国内 会場調整中
  • 2026年3月28日(土)国内 会場調整中
  • 2026年3月29日(日)国内 会場調整中
  • 2026年4月4日(土)国内 会場調整中
  • 2026年4月5日(日)国内 会場調整中
  • 2026年4月10日(金)カナダ ケベックコンベンション
  • 2026年4月14日(火)カナダ トロントイベント
  • 2026年4月18日(土)カナダ オタワコンベンション
  • 2026年4月18日(日)カナダ オタワコンベンション
  • 2026年4月25日(土)マレーシア コンベンション
  • 2026年4月26日(日)マレーシア コンベンション

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イープラス

※販売スケジュールはオフィシャルサイトで要確認。

海外移住してもやっていけるんじゃないか

──今年6月に始まった「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」は、いつ終わるかわからなければどこを回るかも明言されていなくて驚きました。始まってからすでに半年ほど経ちますが、皆さんの中でどのようなツアーになっていますか?

むく 枠組みも自由だけど、各地でのライブも自由すぎるツアーだと思っています。ぜん君。はいつも3Dなライブを心がけていて……。

──2D、3Dの「3D」ですか?

むく はい。よそでは「3Dなライブ」ってあまり言わないのか。

如月愛海 ステージから飛び出してフロアにも出ていくというぜん君。のライブスタイルを「3D」と表現しています(笑)。

むく 要はライブではどんなことをやってもいいよ!というのが3Dなライブ、と捉えていて、すごく自由にライブができてます。メンバー全員がどんどん前に行くし、みんなと遊べるツアーができているのがうれしいです。

「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」の様子。

「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」の様子。

愛海 今回のツアーでは日本国内はもちろん、海外もたくさん回っていますが、「初めて会いに来たよ」と言ってくださる方がすごく多くて。個人的にも「これからもっとがんばるぞ」と強く思えるツアーになっています。

──これまでも海外イベントに出る機会はありましたが、それをツアーに組み込んで複数の国をまたぐのは初めてですよね。海外のお客さんの反応はいかがですか?

メイユイメイ めちゃくちゃいいよね。

寝こもち 泣きながら「待ってた」みたいに言ってくれる方がすごく多い。

愛海 2016年頃のぜん君。を追ってくれていた方とか、古参の患い(ぜんぶ君のせいだ。ファンの呼称)みたいな方がザラにいるんですよ。デビュー当時のライブを観に日本に来てくれていたけど、その後コロナ禍になってなかなか来れずに待っていた人とか。ずっと配信された音源を聴き続けて待っていてくれた方もいたし、ライブをしている手応えとしては、もう海外移住してもやっていけるんじゃないかってくらい盛況です(笑)。

「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」の様子。

「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」の様子。

──以前からぜん君。の曲が海外でよく聴かれている、という話はしていましたよね。その理由を皆さんはどのように考えていますか?

こもち 「好きな曲はなんですか?」って聞くと、みんなバラバラなんですよ。なので、どれか特定のジャンルの曲が刺さっているとかではなさそう。

愛海 ライブでの歌いやすさを意識せず、いろんな楽曲にチャレンジしてきたぜん君。の強みが生きている感覚があります。なんなら私たちがライブでめったにやらないようなレアな曲をリクエストしてくれる方もいて(笑)。ジャンルやカテゴリに縛られずにいろいろやってきた結果だと思っています。

煌乃光 去年リリースした「こゆび」で爆発的に盛り上がってくれたのがうれしかったな。

愛海 「こゆび」は日本とは全然反応が違うよね。まだ新しめな曲だから日本で浸透するのが先かと思っていたけど、海外のほうが日本より盛り上がっていて驚きました。なぜそうなのか、というのが自分たちでもまだわかってなくて不思議です(笑)。

──メイさんがもともと所属していたゆくえしれずつれづれは、ぜん君。よりも先に海外ツアーを行うなど、国外でよく聴かれていた印象があります。当時と比べて違いは感じますか?

メイ 昔も今も足を運ぶことで喜んでもらえる実感があるのは同じで、あまり違いみたいなものは感じていないですね。ただ、当時とつながっていることは間違いなくあって。今回のツアーで海外の方から「つれづれのときからずっと聴いてます」「つれづれでコドモメンタルのことを知りました」とけっこう言われるんですよ。過去の経験が今に結び付いていると思うと感慨深いです。

メイユイメイ

メイユイメイ

国際交流をしながら“ガチ恋口上”

──いろんな国や地域を回る中で、特に印象的だった場所はどこですか?

愛海 基本的には海外で行われているショーケースライブイベントに呼ばれて出ることが多いんですが、タイで初めて海外でのワンマンライブをやらせてもらったのは思い出深いですね。

むく タイのお客さんはもちろん、マレーシアや中国、欧米のお客さん、日本から駆け付けてくれた方もいて、すごくグローバルなフロアだった(笑)。

愛海 「イベント出演ではそこまで多くの曲を披露できないけど、ワンマンだったらいろんな曲をやるぞ!」と意気込んで行ったんですけど、ただ盛り上がる曲じゃない、ちょっとバラードっぽい曲や聴かせる曲がどう響くかは未知数だったんですよ。でも、みんな楽しみ方が自由だから、しっとりした曲でも、イントロが流れるだけで声を上げて喜んでくれたりして。日本の場合、わりと周りの空気を読みながら盛り上がってくれる傾向にあると思うんですが、海外ファンはみんなそれぞれのタイミングでレスポンスを返してくれるのがうれしかったですね。

こもち それと「無題合唱」のシンガロングがすさまじかった。

愛海 マイクを通した私たちの歌声がかき消されるんじゃないかってくらいの合唱が巻き起こってました。

 私とむくは、まだそこまでいろんな場所でライブをしていないけど、お客さんの反応が国によって違うので「ああ、ここではこう盛り上がるんだ」という発見がたくさんあって楽しいです。ライブの盛り上がり方もそれぞれで、ちょっと手探りな部分はあるけどライブハウスという空間で一緒に盛り上がろうとする瞬間がすごく愛おしくて、どのライブも楽しめています。

煌乃光

煌乃光

愛海 マレーシアの公演で「ライブで何をしたらいいかわからないから教えてくれ!」って日本のファンの子に聞いている現地ファンがいて。国際交流をしながら“ガチ恋口上”をした話とかを聞いて、いい現場だなあとしみじみ思いました。

むく それと、現地の特典会で日本語で話しかけてくれる方が思ったより多くてびっくりした。

こもち すごいよね。みんなアニメやゲームで日本語を覚えるんだって。

メイ 海外でアニソンが人気なのはわかっていたけど、アニソンでもないぜん君。の曲がここまで聴かれてるのって本当にすごいことだよね。メイはアニソンを担当するのが夢だから、いつか海外公演でアニソンをみんなで歌いたいな。

むく ライブとは関係ない話ですけど、どこの国に行っても辛い食べ物が多くて、食文化の違いに驚きました。私とこもちゃんは辛いのがちょっぴり苦手なので、苦戦することも多くて。

こもち 私、もう辛さは克服しちゃったかも。海外に行ったら必ず何かしらチャレンジをすることにしていて、食わず嫌いをしないことにしているんですよ。食べたことのない料理、知らない調味料もどんどん試して、だいぶ辛さにも耐性がついてきました。パクチーだけはまだ慣れないので、お姉さま方にあげるんですけど(笑)。

愛海 こもちは海外に行ったときの荷物がすごいんですよ。我々、物販もあるから大量の荷物を持って行って現地で軽くして帰るんですけど、こもちだけなぜか荷物が増えてる(笑)。この間なんて、なぜか毛糸を買ってて……。

──編み物で使う、あの毛糸ですか?

こもち あの毛糸です。編み物が好きで手作りのカバンを持っていたらお店の人が話しかけてくれたんですよ。日本だったらセールストークみたいになるところを、海外の店員さんはすごく自然体で接してくれて。それに感動して、何玉か毛糸を買わせていただきました。

寝こもち

寝こもち

愛海 海外まで行ってそんなかさばるものを買う?と思ってびっくりしました。

メイ 文化の違いを感じる瞬間はたくさんあったよね。国によっては「小指を立てちゃダメ」みたいな話も聞いたし。

愛海 国によっては侮辱の意味があるらしくて。あと「赤い服を着てはいけない」みたいな。衣装どうするの!?って(笑)。

こもち 結果としてはステージ上の演出としての意味だったらそこまで問題はないみたいで、いつも通りのパフォーマンスができました。