音楽ナタリー PowerPush - 吉澤嘉代子

妄想世界にようこそ

吉澤嘉代子インタビュー

物語の中に入ったような気分に

──前回のインタビュー(参照:吉澤嘉代子「変身少女」インタビュー)は「変身少女」のリリース前でメジャーデビュー直前というタイミングでしたが、その後の“メジャーアーティスト”としての生活はいかがですか? インディーズの頃以上にラジオやテレビなどメディアに出る機会は増えましたよね。

リリースのあとはパワープレイに選んでくれたラジオ局に行って……ラジオだけで30局ぐらい回りました。

──テレビでは「ライブB♪」(TBS系)に出演されていたのを拝見しました。

吉澤嘉代子

「ライブB♪」は1曲フルで「美少女」を歌わせてもらえたのがうれしかったです。なかなかテレビでフルで歌えることはないと思うんですけど。収録スタジオも大きなライブハウスみたいな感じだったので、いつも通りに歌えました。ただいつもと違うのは、頭にドンカマが入っていて(テンポを合わせるためのガイドリズム。「美少女」は1拍目からボーカルが入るためイントロの代わりに使用された)、「カン、カン、カン、カン、恋がしたいー」だったので「テレビだーっ!」って感じで緊張しました(笑)。

──そうやって番組に出る際には「はじめまして」で話を聞かれて毎回リセットされての繰り返しですよね。前回のインタビューでさんざんディスコミュニケーションな過去を聞いていたので、そういうのって苦痛じゃなかったのかなと。

吉澤嘉代子

どの場所に行っても、コミュニケーションや関係性ができあがったところにポンと飛び込んでいくのは……ラジオ局とかだとそうやって新人が来るのは日常茶飯事だと思うんですけど、私は初めてなので、なんかだんだん物語の中に入ってしまったような気分になっちゃって。周りの人たちが生身の人とは思えない(笑)。相手にすれば私が宇宙人だと思うんですけど。

──吉澤さんの場合、その経験もまた次の発想の種になりそうですね。

あー、そうですね。だから大変は大変だったけど、楽しかったですよ。普段旅をしないからどこに行くのも新鮮で。ただ11連泊のときはさすがに最後のほうは「あーっ!」ってなりました(笑)。

「ケケケ」の真相

──メディアに第一印象を与えたあとに出す次の一手が「ケケケ」というのは、なかなかの思いきりですよね。

あははは(笑)。いつも曲を作るときは等身大の自分自身じゃなく、物語の主人公を設定して書いてるんですけど、「変身少女」ではそれを最大限にわかりやすくしようと思って“ぶりっ子”を設定したんです。そのつもりだったんですけど、やっぱり歌っている人と曲の内容を結びつけられてしまって「吉澤嘉代子ってこんなにぶりっ子であざとい感じなんだ」と思われてしまうことも多くて。もともと次の作品ではガラリと印象を変えたいという構想があって、よりわかりやすく物語性のある楽曲を選曲しました。だから前作よりは少し気がラクかな。もしかしたら「吉澤嘉代子ってケケケみたいな人なんだ」って思われるかもしれないですけど(笑)。

──確かに「幻倶楽部」はハッキリと設定が用意された短編集のような作りになっていますよね。シンガーとしての自分とソングライターとしての自分を分断しているような感じなのでしょうか。

でも「ケケケ」はむしろこの中では一番自分自身に近いというか、物語というには私の思想が入りすぎているから、少しややこしくなってしまったんですよね(笑)。私は毛フェチではなくて、胸毛とか無精ヒゲに興奮するタイプじゃないんですけど、当たり前に思っていることは本当に当たり前なのか?という疑問に対して自分の物差しを持ちたいという気持ちを歌詞にしたら、こんな曲になってしまいました(笑)。

──前回のインタビューで「ひょうきんで滑稽な歌を作っていきたい」とおっしゃってましたよね。「ケケケ」はビデオクリップも含めて、ものすごくひょうきんのほうに振り切れてますけど、ここまで振り切っても大丈夫なんですか?

吉澤嘉代子

私もできあがった映像を観たときは、初めて観た人は「この人なんなんだ……」って思うだろうなあとは思いました(笑)。私の中でも振り切った曲の最北端ですけど、幅の広さを出したかったからこの曲は絶対に入れたくて。でもまさかリード曲になるとは。

──そこはスタッフの皆さんの意見を反映して?

はい。前作からのガラリ感を出すにはちょうどいい曲だったかなと思います。

ミニアルバム「幻倶楽部」 / 2014年10月22日発売 / 1800円 / e-stretch RECORDS / CRCP-40386
ミニアルバム「幻倶楽部」
収録曲
  1. ケケケ
  2. シーラカンス通り
  3. うそつき
  4. 恋愛倶楽部
  5. ちょっとちょうだい
  6. がらんどう
吉澤嘉代子ファーストツアー ~妄想文化祭~
2014年11月22日(土)大阪府 Shangri-La
2014年11月27日(木)東京都 TSUTAYA O-EAST
2014年12月4日(木)愛知県 Tokuzo
料金:前売 3300円 / 当日 3800円(全公演共通・ドリンク代別)
吉澤嘉代子~妄想お茶会ツアー~
2014年12月5日(金)石川県 もっきりや
OPEN 18:00 / START 18:30
FOB金沢 076-232-2424
2014年12月6日(土)北海道 musica hall cafe
OPEN 18:00 / START 18:30
マウントアライブ 011-211-5600
2014年12月13日(土)福岡県 LIV LABO
OPEN 18:00 / START 18:30
TSUKUSU 092-771-9009
2014年12月14日(日)熊本県 TSUTAYA MUSIC CAFE MORRICONE
OPEN 17:00 / START 17:30
TSUKUSU 092-771-9009
2014年12月20日(土)宮城県 SENDAI KOFFEE CO.
OPEN 18:00 / START 18:30
キョードー東北 022-217-7788
2014年12月21日(日)新潟県 新潟solero
OPEN 17:00 / START 17:30
FOB新潟 025-229-5000
2014年12月27日(土)広島県 LIVE Cafe Jive
OPEN 18:00 / START 18:30
夢番地広島 082-249-3571
2014年12月28日(日)岡山県 城下公会堂
OPEN 17:00 / START 17:30
夢番地広島 082-249-3571
吉澤嘉代子「ケケケ」ダンスコンテスト開催中!

応募期間:2014年11月21日(金)まで
詳細はこちらから: 「ケケケ」ダンス・コンテスト

吉澤嘉代子(ヨシザワカヨコ)

吉澤嘉代子

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街で育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月にヤマハ主催のコンテスト「"The 4th Music Revolution" JAPAN FINAL」に出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にインディーズ1stミニアルバム「魔女図鑑」でCDデビューを果たす。同年11月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初のワンマンライブ「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」を開催。翌12月より「魔女、旅に出る。」と銘打ったライブハウスツアーで各地を回っている。日本クラウン、ヤマハミュージックアーティスト、ヤマハミュージックパブリッシングの3社が合同で設立した新レーベル「e-stretch RECORDS」の第1弾アーティストとして、2014年5月にミニアルバム「変身少女」でメジャーデビュー。同年10月にメジャー第2弾ミニアルバム「幻倶楽部」を発表した。