初年度の出演者がこぞってフェスのメインクラスに
──4年目の開催となる今年の「YON FES」のラインナップにテーマのようなものはあるんでしょうか?
GEN(B, Vo) 4年目ということで、僕らの中に“一周感”があって。バンド名も04 Limited Sazabysだし、オリンピックも4年に1度ですし。なので、初年度の「YON FES」に出てくれたアーティストにちょこちょこ帰ってきてほしいなと思ったんです。だから初めは「初年度に出たバンドを中心に」と思ったんですけど、そうするとほかのフェスと同じようなラインナップになってしまって。初年度に出てくれた同世代のバンドが、気付いたらフェスのメインクラスのバンドになっていたんです。だからそこに、10-FEETやSiMといった「ついに」なバンドや、「まだフェスに呼ばれてないんじゃないか」くらいの若手バンドを入れて、「YON FES」らしさを出していきました。
──3年やった今思う“「YON FES」らしさ”とは?
GEN 僕らが出てきたメロコアシーンやパンク界隈のバンドとは交わらないだろうなっていうバンドがいることですね。パンクだけどサブカル感もあるというか。しかもそんなバンドたちをライブハウスのノリ、対バン文化のレールに乗せるという(笑)。普段関わらないバンド、違うシーンにいて認め合えないバンドも、一緒にライブやったら仲良くなっちゃうのがバンドマンだと思ってるんで、そこの橋渡しという意味もあります。
──お客さんにとっても普段見たことないバンドに出会える場でもあるでしょうね。ではここからは今年の「YON FES」の出演者を1組ずつ紹介してもらいます。
10-FEET(初出演)
GEN ついに出てもらいます。バンド主催のフェスっていうとやっぱり「京都大作戦」が一番上にあって、僕らもすごく影響されてるし、意識してるし、今でも「あんなフェスを作りたい」って心から思ってるので、10-FEETは呼びたいけどまだ呼んじゃダメかなと初年度からずっと思ってたんです。でも4年目で「そろそろ見てもらってもいいのかな」という自信が付いてきたので、声をかけさせてもらいました。
──「あんなフェス」というのを改めて説明してもらってもいいですか?
GEN ほかの出演者も一緒に作ってる感じというか……「10-FEETに迷惑をかけられない」とか「10-FEETのイベントだからちゃんとカッコいいところを見せよう」と思うんですよね。
RYU-TA(G, Cho) 若手をフックアップするとか、そういうところは僕らも「YON FES」でやりたいと思っているところなので参考になります。
──「京都大作戦」にはメインステージの「源氏ノ舞台」とサブステージの「牛若ノ舞台」があって、牛若に出たバンドは源氏を目指していくというドラマ性もありますよね。
GEN 「YON FES」も初年度はサブステージの「LAND STAGE」に出演していたバンドが、今ではメインステージの「SKY STAGE」に立っているということはすごくよくあって。イベントを開催するまでに僕らの中には大きなストーリーがありますけど、始まってからはお客さんにも一緒にストーリーを感じてもらいたいし、その歴史も楽しんでもらえたらいいなと思っています。
KOUHEI(Dr, Cho) 10-FEETには学ぶものがいっぱいあるんです。例えばライブで新曲をやったときに音が合ってないなと思う瞬間とかもあるんですけど、それも含めてライブ感として見せられるバンドだと思っていて。ライブでの1つひとつの状況に対する判断や、3人の空気感なんかを学ばせてもらってます。「京都大作戦」だったら10-FEETのホームで10-FEETが締めますけど、今回は逆の立場なので、そういうところでどんなライブを見せてくれるのか楽しみですね。
HIROKAZ(G) 確かに「京都大作戦」のお客さんよりも「YON FES」のお客さんはちょっと若いし、僕らのファンのほうが多いと思うので、その人たちの前でどんなライブをして、どんなMCをするのか気になります。
GEN 確かに“お呼ばれ10-FEET”、観たことないなあ。食らいたいですね。
BiSH(2018年に引き続き2回目)
GEN 「YON FES」に限らず、去年の活躍を見ても勢いがあるアーティストだと思うんですけど、そういうアーティストって“乗ってるオーラ”があって。BiSHには乗ってるオーラを感じるし、それを近くで感じたいですね。自分の中で音楽シーンがアイドルに1回乗っ取られた感じがして、アイドルと一緒にライブをするのは違うなと思ってたんですけど、そんな考えがどうでもよくなるくらいBiSHには食らったので、今年も出てもらいました。実際に去年の「YON FES」でも「清掃員(BiSHファンの呼称)、どこから出てきたんやろ?」と思うくらい盛り上がってましたし。
HIROKAZ 僕らと同じでお客さんも初めて観たときは衝撃を受けるんじゃないかな。今年は「SKY STAGE」だし。
──去年の「YON FES」のBiSHのステージではRYU-TAさんがメンバーと一緒に踊っていました(参照:名古屋のヒーロー04 Limited Sazabysが作り上げた3年目の「YON FES」終幕)。
RYU-TA はい。気持ちよかったです。フォーリミのお客さんじゃない人にも俺らのことをわかってもらえた気がしました。BiSHのお客さんもそうやって「YON FES」を楽しんでくれてた実感があるので、今年も何かできたらと思っています。
GEN かわいさで負けないようにがんばります!(笑)
My Hair is Bad(初年度から4年連続出演)
GEN マイヘアは音楽性は違えど同じシーンから出てきて、「列伝ツアー」(スペースシャワーTV主催のライブツアー「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR」。04 Limited Sazabysは2015年、My Hair is Badは2016年に出演した)にも出て……と似たような道をたどってるけど違うところに向かってる感じがするバンド。純粋に一緒にライブをやり続けたいバンドですね。僕の中でマイヘアってすごく「YON FES」っぽいと思ってて。“サブカルなのにパンクス”だから。そういう意味でも「YON FES」の顔の1つかなと。お互いに呼んで呼ばれてというのがなくなってきた分「YON FES」には出続けてほしいし、年1くらいでマイヘアの成長を感じておきたいなと思ってます。駆け上がる様を近くで見てるので、「今どんな感じかな?」って。
KOUHEI 今年は「SKY STAGE」のトリ前なので、その意味を汲み取ってライブをしてくれると思う。楽しみですね。
GEN 今のマイヘアの立ち位置からすると、昔みたいにただヒリヒリドキドキさせてくるっていう、若手らしい噛み付くようなライブじゃない気がして。前よりどんと構えてそうな気がするんですけど……どうやってくるんだろう。純粋に楽しみです。
ONIONRING(初出演)
GEN 名古屋のバンドということもあってずっと前から近くで活動は見ていて、いいなと思っていたんですけど音源のリリースはしてなくて。去年ようやくMachine Records(dustboxやOVER ARM THROWなどの作品を発売してきたレーベル)から初の全国流通盤(「Trajectory」)をリリースして、それもすごくよかったから、僕らのツアー「SOIL tour 2018」に呼んだんです。そしたら若手とは思えない貫禄があって。
HIROKAZ ドシッとしてたね。
GEN まだまだなバンドとして見てるつもりでいたのに、見てないうちにちゃんとしたバンドになってるなあと思ったので、ライブが終わってその場で「YON FES」に誘いました。かわいがってる後輩だからじゃなくて、ライブを観て決めました。
──ONIONRINGを知らない人に、彼らの魅力を伝えるとしたらどんなところでしょうか?
RYU-TA シンプル。スリーピースバンドのカッコよさがある。
GEN メロディとかハモの乗せ方。僕は聴いてるとキュンキュンしちゃいます。
SHANK(初年度から4年連続出演)
GEN 「YON FES」って、イベントも出てるバンドもずっと変化してるじゃないですか。そんな中でSHANKは変わらないんですよ。もちろん新曲も出してるし、バンドを取り巻く状況も変化してるんだろうけど、スタイルもメンバーの調子もいつ会っても変わらない。変化は好きだし、変化することはいいことなんだけど、変わらないSHANKに会うとすごく落ち着くんですよね。いてほしいと思っちゃう。
KOUHEI SHANKは時代に流されないというのを貫いてますよね。ブレない強さを感じます。
GEN SHANKが変わらないおかげで、周りの変化がわかりやすいというのもあります。逆にSHANKの「YON FES」に対する感触も気になります、「今年はこうだった」とか。真面目な話を全然しないので(笑)。あとはSHANK主催の「BLAZE UP NAGASAKI」にもいつも呼んでもらっているので、大切なイベントで呼び返したいなという気持ちもあります。