音楽ナタリー Power Push - 米津玄師
自己否定から生まれた新たな挑戦
「LOSER」のMVでダンスを披露
──「LOSER」はどうでしょう? これは何に着想を得て作っていったんでしょうか。
「ナンバーナイン」は「Bremen」をある程度踏襲したものというニュアンスで作ったので、その次は全然違うものを作ろうと思って。実験的というか、トゲトゲしいというか、一聴して全然雰囲気が違うものにしようと思いましたね。
──この曲ではラップのような歌い方を取り入れてますけれども、これは?
あまりラップをやろうと思ったつもりはないんです。あくまでロックという中で、そういうヒップホップみたいなニュアンスを取り入れたいなっていうくらいで。でも、作るにあたっては、かなり右往左往した記憶がありますね。最初はラップの部分はほかの人に頼んでたんですけど、最終的には自分でやる形になりましたし。その点に関しては誘っておいて申し訳ないなと思いつつ、誰かを招いて曲を作りあげるのはまたどこかでやりたいなと思っています。
──この曲のMVでは、かなり切れ味の鋭いダンスをしていますよね。これ、かなり驚いたんですけど、どういう経緯で作ったんでしょう?
あれは……地獄の日々でしたね。
──地獄の日々?
ダンスの先生を付けてもらって、2、3週間くらい、その人に毎日教えてもらったんです。でも、それ以前に運動らしい運動をしたのは、中学生の頃にテニスをやっていたくらいだったんで。そこからまったく運動をしてこなかった人間として、地獄のような日々でした(笑)。
──ちなみに、ダンスはどなたに習ったんですか?
辻本和彦さんです。Siaの「アライヴ」という曲の日本版のMVで土屋太鳳さんが踊ってるんですけれど(参照:Sia 『アライヴ feat. 土屋太鳳 / Alive feat. Tao Tsuchiya』 - YouTube)、それの振付をやった人ですね。
──ということは、かなり本格的なダンスですよね。なぜ踊ることにチャレンジしようと思ったんですか?
実は前からやりたかったんです。高校生の頃からダンスは好きで、友達が横で踊ってるのを見てカッコいいなと思いつつ、自分でもやりたいなと思ってたんですけど、でもまあ、そこまで本気ではなくて。で、音楽を作り始めて、ボカロをやり始めて、自分で絵を描くようになっていったんですけど。ハチとしてボカロのアルバムを出して、その最後の曲を自分で歌うっていうことをやったんですね。そうしたら、その紹介動画のコメントで「あとは踊るだけだな」みたいなことを言われて。それがなんだか心に残っていて(笑)。
──ずいぶん前からなんですね。
そうですね。そもそも興味を持ってたのもあるし、いろんなことをやってみたい性格でもあるので、いつかはやりたいなと思ってて。
──それにしても、音楽を作って、絵を描いて、ダンスを踊るという、それを全部やる人はなかなかいないと思うんです。そもそもビジュアルアートとパフォーマンスアートはまったく違う種類のものだと思うので。
今回、この「LOSER」の映像を作るときに、まず「カッコいい映像を作りたい」って言ったんです。で、「カッコいい映像って、例えば何?」みたいな話を監督としていく中で「踊ってる人が曲を作ってる本人だったらカッコいいですよね」ということになって。そこからもう、なし崩し的に俺が踊るということになったんですね。
──ちなみに「ナンバーナイン」のMVもかなり斬新なものになっていますが、これはどういうアイデアから?
これは、俺は幸いにして絵が描けるので、「空間に絵を描きながら何か映像を撮ったら面白いんじゃないか」みたいなところから始まって、ああなりました。
──空間に絵を描くというのは、クリエイターの中でもやったことのある人はそんなにいない分野だと思うんですけど。
未知の体験でしたね。最初慣れるまで時間はかかったんですけど、面白かったです。
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- 両A面シングル「LOSER / ナンバーナイン」/ 2016年9月28日発売 / Sony Music Records
- LOSER盤 [CD+グッズ] / 2106円 / SRCL-9191~2
- ナンバーナイン盤 [CD+DVD+グッズ] / 1944円 / SRCL-9193~4
- 通常盤 [CD] / 1296円 / SRCL-9195
CD収録曲
- LOSER
- ナンバーナイン
- amen
ナンバーナイン盤 DVD収録内容
- 「LOSER」ミュージックビデオ
- 「ナンバーナイン」ミュージックビデオ
- 中田ヤスタカ 新作CD「NANIMONO EP / 何者(オリジナル・サウンドトラック)」
- 2016年10月5日発売 / [2CD] 2160円 / Warner Music Japan / unBORDE / WPCL-12472~3
DISC 1 NANIMONO EP
- NANIMONO (feat. 米津玄師)
- NANIMONO (feat. 米津玄師) -extended mix-
- NANIMONO (feat. 米津玄師) -Danny L Harle remix-
- NANIMONO (feat. 米津玄師) -TeddyLoid remix-
- NANIMONO (feat. 米津玄師) -banvox remix-
DISC 2 何者(オリジナル・サウンドトラック)
- 就活スタート
- 3人の出会い
- 拓人の想い
- 就活対策本部結成
- 何者のテーマ
- ギンジとのやりとり
- ルームシェア
- 瑞月のお母さんの話
- 何者~モンタージュ~
- グルディス
- 光太郎の本音
- 何者劇場
- 拓人と瑞月
米津玄師 2016 TOUR / はうる
- 2016年11月23日(水・祝)東京都 豊洲PIT
- 2016年11月28日(月)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年11月29日(火)大阪府 Zepp Namba
- 2016年12月2日(金)宮城県 仙台PIT
- 2016年12月8日(木)東京都 Zepp Tokyo
米津玄師(ヨネヅケンシ)
男性シンガーソングライター。2009年より「ハチ」という名義でニコニコ動画にボーカロイド楽曲を投稿し、代表曲「マトリョシカ」の再生回数は800万回を、「パンダヒーロー」の再生回数は400万回を超える人気楽曲となる。2012年5月に本名の米津玄師として初のアルバム「diorama」を発表。全楽曲の作詞、作曲、編曲、ミックスを1人で手がけているほか、アルバムジャケットやブックレット掲載のイラスト、アニメーションでできたビデオクリップも自身の手によるもの。マルチな才能を有するクリエイターとして注目を集めている。2013年5月、シングル「サンタマリア」でユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。同年10月にメジャー2ndシングル「MAD HEAD LOVE / ポッピンアパシー」、ハチ時代のアルバム「花束と水葬」「OFFICIAL ORANGE」の再発盤をリリースした。2014年4月、米津玄師名義としては2枚目のアルバム「YANKEE」を発表。同年6月には初ライブとなるワンマン公演を東京・UNITで開催した。2015年1月にシングル「Flowerwall」をリリース。4月には全国ツアー「米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる」を開催し、10公演を行った。同年8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」で野外フェス初出演を果たす。9月にシングル「アンビリーバーズ」を発表。10月にはアルバム「Bremen」をリリースし、2016年1月からワンマンツアー「米津玄師 2016 TOUR / 音楽隊」を実施した。ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の公式イメージソングとして、新曲「ナンバーナイン」を書き下ろし、同年9月に両A面シングルとして「LOSER / ナンバーナイン」をリリース。10月には中田ヤスタカとタッグを組み、映画「何者」の主題歌「NANIMONO (feat. 米津玄師)」を発表する。