ヤバイTシャツ屋さん|渾身のタンクトップを、君に

ヤバイTシャツ屋さんが9月30日に4thフルアルバム「You need the Tank-top」をリリースした。コロナ禍の中完成した「You need the Tank-top」は、クラシエ「いち髪」のCMソング「泡 Our Music」を含む全13曲入り。2年前にレコーディングされていた曲から新型コロナウイルスの流行を受けて制作した曲まで、聴いた人が思わず笑顔になるような、ヤバTらしいキャッチーでポップな楽曲が多数収録されている。

ヤバTは期間限定で枚数制限なく本作の予約を受け付け、その期間に予約した人にはヤバTメンバー直筆サインの入ったアザージャケットをプレゼントするという企画を実施。その結果、昨今の音楽シーンでは異例の4万3000枚という予約が付いた。「サブスクもいいけどCDを買ってほしい」とアピールしてきたヤバTが、マンパワーでキャリア最大のヒット作に押し上げるであろう「You need the Tank-top」について、音楽ナタリーでは3人に話を聞いた。楽曲の歌詞にまつわるアイテムを用意して撮影した撮り下ろし写真も楽しんでほしい。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 草場雄介

外出自粛中のヤバTは何をしてた?

こやまたくや(G, Vo) あれ、前回ナタリーさんでインタビュー受けたのってうなぎ食べたときですよね?(参照:ヤバイTシャツ屋さん「うなぎのぼり」「Tank-top of the DVD III」特集) あれからもう半年経ってるん? ヤバない?

しばたありぼぼ(B, Vo) もうそんなに経ったん!? エグいって!

──ご無沙汰しております(笑)。コロナ禍の中、ヤバTは3月末の志摩スペイン村でのワンマン公演を延期して、以降は水面下で今回のアルバムの制作を進めていたと思うんですが、プライベートではどんなふうに過ごしてました?

こやまたくや(G, Vo)

こやま これは大喜利ですね? みんなきっと家にいましたとかオンライン飲みしてましたとか曲作りをしていましたとかやろ。もりもとは何してたん?

もりもりもと(Dr, Cho) 真面目にやろうや(笑)。レギュラーのラジオ収録をZoomでして、そのときにお互い近況報告をするみたいな感じでしたね。

しばた 私は5月から猫を飼い始めました。

こやま 僕は太り始めましたね。今までやっぱりライブぐらいでしか運動していなかったから、ライブがなくなると体を動かす機会が一切なくなってしまって、行き場を失ったエネルギーたちが体に蓄えられていって。

しばた もりもとはラジオ以外は何してたん? リリアンやろ?

もりもと いや、編み物。冬に向けてセーターを編み始めました……というのはウソです。よくある自粛生活を送ってました。あと家でドラムを練習しようと思ってめちゃくちゃいい電子ドラムを買ったんですよ。でもいざ叩いてみたら騒音問題が気になって、結局2、3回しか叩いてないです。

タンクトップがどんどん大切な存在に

──「You need the Tank-top」の制作はいつ頃スタートしたんですか?

こやま 今回は前から録っていた曲も入っているし、コロナ禍の状況になってから作った曲もあるので、けっこう長い時間をかけて作ったんですよ。

しばたありぼぼ(B, Vo)

しばた 音だけなら2年前に録っていたのもあるもんね。

もりもと 長い時間をかけて作れたし、それでも時間があったので、ヤバTにしては珍しく曲のストックもできましたね。

こやま うん。今までは録ったら録った分アルバムに入れていましたけど、今回は録ったけど入れてない曲もある。

──1曲目の「Give me the Tank-top」は新型コロナウイルスの流行を受けて作った曲とのことなので、つまり最近できた曲ですよね。

こやま そうです。そしておなじみのタンクトップシリーズです。

──こやまさんは「タンクトップはパンクロックに言い換えられる」と過去に言っていますけれど、この曲を聴くと、もはやパンクロック以上のものになった気がしていて。ヤバTの魂のようなものになったのかなと。

こやま いつの間にかタンクトップにいろんな意味が込められているんですよね。もう僕らやお客さんは感覚が麻痺していて、この曲も普通に受け入れていますけど、たぶん知らん人が「Give me the Tank-top」なんてタイトル見ても曲を聴こうと思わへんから(笑)。

──それでもなおタンクトップを唱え続ける理由はありますか?

こやま 活動を続けていくうちにタンクトップがどんどん大切な存在になってきてるんですよね。

しばた 最初はボケの1つやったのに、気付いたらね。すごく大切な存在に。

もりもりもと(Dr, Cho)

もりもと そもそも歌詞に出てくるとは思ってなかったんですよ。最初に歌詞に登場したのが「Tank-top of the World」で、そこからずっと続いてきて。ヤバTにとって歌詞としても重要だし、活動においても欠かせないものになったなと思います。

しばた ライブでもお客さんに「タンクトップ」と言わせる場面がけっこうあって。うちらとお客さんが1つになれる魔法の言葉でもあるんですよ。

こやま あと、これはある種の照れ隠しでもあって。「Give me the Tank-top」やなくて「Give me the Punk Rock」だったら照れて恥ずかしくて歌えないけど、そこをタンクトップにすることで恥ずかしがらずに歌えるんです。今回は「Give me the Tank-top」ができる前に、アルバムタイトルの「You need the Tank-top」が決まったんです。なんでこういうタイトルにしたかと言うと、こういう生活になってみんな別に音楽がなくても生きていけるし、ヤバTへの熱も冷めちゃったんじゃないかなと。このアルバムは「いやいや、そんなことないでしょ! パンクロックもタンクトップも必要でしょ」というヤバTからのメッセージなんです。で、1曲目の「Give me the Tank-top」で「それなら新しいタンクトップ欲しいでしょ? 僕らにもみんなとつながるためのタンクトップが必要だし」という思いを歌っています。