ヤバイTシャツ屋さんが8月25日に開催した東京・日本武道館公演「ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022 FINAL -日本武道館-」(参照:ヤバイTシャツ屋さん初武道館で限界突破の32曲を熱演、紅白出場への思い込めたサプライズ発表も)の模様が、10月30日(日)22:00からWOWOWプラスにてテレビ初独占放送される。
2020年から10月から2021年3月にかけて全35日程70公演という驚異的な公演数のツアーを完走し、昨年11月には大阪・大阪城ホールで行った初のアリーナワンマン公演「ヤバイTシャツ屋さん 大阪城ホールワンマンライブ『まだ早い。』」(参照:ヤバイTシャツ屋さん、大入りの大阪城ホールで31曲披露「僕らはバンドをずっと続けたい」)を大成功に収めたヤバT。ライブバンドとして着実に成長した彼らは今年の夏、“ぶどうかん”を巡るツアー「ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” ツアー 2022」を開催した。北海道・はこだてわいん葡萄館(ぶどうかん) 本店前駐車場、愛知・葡萄観(ぶどうかん)光農園 小林農園を経て行われた日本武道館公演のチケットはソールドアウト。会場には多くの顧客(ヤバイTシャツ屋さんファンの呼称)が駆け付けた。
3人が胸と体を張って立ったステージの模様がWOWOWプラスにて放送されることを記念し、音楽ナタリーではヤバTにインタビュー。ライブ当日を振り返りつつ、来年迎える結成10周年への思いも語ってもらった。
取材・文 / 清本千尋撮影 / 草場雄介
心のどこかにずっと憧れはあった
──「“ぶどうかん”ツアー」はどうでしたか?
しばたありぼぼ(B, Vo) まず北海道のはこだてわいん葡萄館と愛知県の葡萄観光農園がライブを許可してくれたことが奇跡だったんですよ。その2つの公演ができていなかったら、日本武道館公演もこんなに盛り上がらなかったと思うんです。アコースティック編成やトークライブという普段とはまったく違うスタイルのライブをやってから日本武道館という、全部が初挑戦のツアーでした。振り返ればただただ楽しかったですね。
こやまたくや(G, Vo) そもそもヤバTは日本武道館でライブをやるつもりじゃなかったんですよ。「日本武道館でやるなら“ぶどう館”ならぬ“ぶどうの館(やかた)”でやりたい」とずっと言っていたし。もともと椅子席があるようなライブをやらないし、フェスやイベントを除いてライブハウス以外ではライブをやりませんくらいのことを言っていたんです。「武道館で1回ライブをやるくらいならZepp Tokyoで5DAYSライブをやります」って。でももうZepp Tokyo 5DAYSも達成しちゃったし、コロナ禍の状況になって、ライブハウスでもオールスタンディングじゃない、椅子席ありが当たり前のような世の中になった。これってもうホールでやるのと変わらないやんと思ってからは、もっと柔軟に会場を選んでいこうという考え方になって、メンバーの地元のホールを回ってみたり、大阪城ホールでやってみたりして。大阪城ホールでライブをやったら次はやっぱり日本武道館なんかなとスタッフチームに話したらちゃんと日本武道館を押さえてくれた。それならばホンマの夢だったぶどうの館でもやりたかったんで、今回こういうツアーになったんです。
──Zepp Tokyo 5DAYSの開催が決まったとき、私からも「キャパ約3000人のZeppを満員にして5日間ライブができるならばいつだって武道館ライブできますよね」という話をしたことがありましたよね。そのときも「うーん、でも僕らは武道館よりZepp 5DAYSがやりたいです」と言っていたので、突如日本武道館公演開催が発表されたときは驚きました。
こやま たぶんですけど、心のどこかにずっと憧れはあったんですよ。日本武道館ワンマンを1つの目標に挙げるバンドも多いし、周りのバンドも続々武道館でライブをやるようになって。「“ぶどうかん”と言っても僕らはぶどうの館で」と言っていたのは、意識してるからこそ出た言葉だと思います。わざわざ引き合いに出すくらいなんで(笑)。
もりもりもと(Dr, Cho) そうだね。このご時世に無事に開催できたことにホッとしてます。
しばた そうそう。ヤバTは最小催行人数のバンドやから(笑)。
もりもと メンバーもスタッフもよくここまでやりきったと思います。燃え尽きるかと思いきや、そのまま夏フェスシーズンに突入したこともあって、チーム全員がやる気に満ちあふれているんですよ。僕ら主催のツアーは年内もうないですけど、対バンやイベントにたくさん誘っていただいてライブはまだまだ続きます。武道館の成功から来年の結成10周年に向けてすごくいい流れになったなと思っていて、バンドとして今すごく順調に活動ができています。
まだ名のついてない新種のぶどう
──今回WOWOWプラスでは日本武道館公演のみが放送されますが、ツアーを通して印象的だったエピソードはありますか?
もりもと ツアー中のドキュメントとかも出ないんだっけ?
こやま WOWOWプラスさんではね、日本武道館公演だけを観てもらえればいいのよ。ぶどうの館はかなり通な人向けやから(笑)。
しばた ぶどう農園の方が日本武道館公演の差し入れにぶどうを送ってくれはったのうれしかったよな。
もりもと このツアーはぶどうをよう食べたよな。おいしいワインもたくさん飲ませてもらって本当にいいツアーだった。
──ちなみに3人はぶどうがお好きなんですか?
こやま え、ぶどう嫌いな人とかいます?
しばた うわ、怖! いるやろ! 決めつけんといて。
もりもと もともと好きですし、ぶどうの館でライブをしたときに普段はなかなか食べられない珍しいぶどうや高級なぶどうも食べさせてもらって、かなりぶどうにうるさくなったよな(笑)。
こやま ホンマにいろんな種類食べさせてもらいましたね。
しばた まだ名のついてない新種のやつとかね。
こやま これライブのインタビューちゃうん? ずっとぶどうの話してんねんけど。
もりもと しょうがないやん。そういう名前のツアーやったし。
木曜の18時。早すぎん?
──日本武道館公演の話に戻りますが、現状でできる100%の動員数でライブをやれて、びっしり埋まった客席を観られたのはよかったですね。
しばた ホンマにそう。私は武道館のライブ観に行く機会も多くて、客席から見る景色を知っているからこそ、ステージからの景色を観られたことがうれしかったです。みんなあのステージに立つと「お客さんが近い!」と言いますし、客席側から観ても入っている人数のわりにステージが近いなと思うんですけど、実際にステージに立ってそれを自分の目で確認できたというか。
もりもと ホンマにお客さんとの距離を近くに感じた!
こやま あの距離感はお客さんが入るまで全然わからなかったよな。お客さんが入ってやっと「すごいな!」と思いました。
──「一生あの景色は忘れない……」みたいな、夢に見たような光景でしたか?
こやま うーん、どうかな。ライブはライブやからなあ。
──意外とカラッとしてるんですね。
しばた ヤバTっていつもそんな感じなんですよ(笑)。でもあれだけの人に一度にヤバTのライブを観てもらえたのは貴重な体験でした。フェスとは違って自分たちのためだけに時間を割いて、チケットを買って来てくれた……その事実がうれしかったです。
こやま しかも平日やで。
しばた そう。木曜の18時。早すぎん? みんな文句言ってたで(笑)。
こやま 「仕事休まなこれへん!」って。
しばた うちらのライブって平日ばっかやし。
こやま デカいところで土日にやりたいなー。Zeppでも平日ばっかじゃないですか。関東で土日しか来れへんっていう人も絶対おるのに(笑)。
しばた 先でもいいんで押さえておいてください(笑)。関東の土日!
スタッフ わかりました。
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この人らはヤバTの親なんやな