ヤバイTシャツ屋さんが3月18日にニューシングル「うなぎのぼり」とライブBlu-ray / DVD「Tank-top of the DVD III」を同時リリースした。「うなぎのぼり」のリード曲「泡 Our Music」はクラシエホームプロダクツ「いち髪」のテレビCMソング。「SUUMO」のCMに続き、ヤバTの楽曲がお茶の間に流れる機会がさらに増えそうだ。音楽ナタリーではシングルとライブ映像作品の魅力をより多くのファンに広めるべく、3人にインタビューを実施。ヤバTは渋谷 松川のうな重を食べながらのインタビューに応え、「うなぎのぼり」の収録曲の制作秘話などを明かした。また特集の最後では、3月末開催予定だった、ヤバT史上最大規模の野外ワンマンライブ「ヤバイTシャツ屋さん“スペインのひみつ解明 ONE-MAN SHOW”in 志摩スペイン村公演」がコロナウイルス感染拡大防止のため延期になったことについてヤバTからもらったコメントを紹介する。
取材・文 / 清本千尋 撮影 / 草場雄介
食べすぎて普通です
──シングルタイトルにちなんで、今回はうなぎを食べながらのインタビューです。皆さん、うなぎはお好きですか?
こやまたくや(G, Vo) 嫌いです。
しばたありぼぼ(B, Vo) もりもとがかわいそうやろ。
もりもりもと(Dr, Cho) 絶対に言うなよ、そんなこと。我が地元、浜松の名物やぞ。
こやま はいはい。皆さんと同じくらいの好き度でうなぎは好きです。
──もりもとさんは昨年、静岡県浜松市の親善大使“浜松やらまいか大使”に就任しましたね(参照:ヤバTもりもりもと、浜松市やらまいか大使の委嘱式に出席)。うなぎはお好きですか?
もりもと 食べすぎて普通です。給食で出るんですよ。
こやま 給食で出るとか、盛り上げようと思ってウソつくなよ。
しばた 宇治の小学校の蛇口からお茶が出るっていうのと一緒ちゃうん?
こやま そうそう。盛り上げようとウソをつくな。
もりもと (黙々とうな重を口に運ぶ)
こやま いや、そこは「ウソじゃない」って否定せな。本当なのにウソになっちゃうから。
もりもと ごめんなさい。うなぎを食べるのに集中していました(笑)。
清潔感がないわけじゃないけど……
──「うなぎのぼり」は、前作「スペインのひみつ」の流れを汲んだ、8カ月ぶりのシングルです。リード曲「泡 Our Music」は「いち髪」のテレビCMソングですが、クラシエホームプロダクツからのオファーを受けて書き下ろした曲なんですか?
こやま そうです。髪の毛を伸ばしていてよかったなと思いましたね。
しばた 3人の髪の長さを平均すると、ほかのバンドより長いですからね。
もりもと 僕のおかげかなと……。
しばた そんなわけがないです。
もりもと そうか(笑)。曲タイトルを発表した時点で、察しのいいお客さんが「シャンプーのCM?」と言っていて驚きました。
──ヤバTは「スプライト」や「SUUMO」のCMソングも担当してきましたが、まさか「いち髪」のテレビCMソングを歌うことになるとは思いませんでした。
しばた シャンプーってなんか清潔感ありますもんね。
こやま 清潔感が僕らにあるかどうか、その点は心配していました。
もりもと 清潔感がないわけじゃないけど、抜群の清潔感があるかと言われたら……ないもんな。
「バブバブ赤ちゃん」はこのタイミングしかなかった
──曲作りはどのように進めていきましたか?
こやま まずCMの打ち合わせがありまして、そこでCMが“踊りながら歌う”ものになることを聞いて。監督からそういう映像に合うものにしてほしいというリクエストをいただいて、その翌日にバッと書きました。こんなにすぐに曲ができるのは珍しいですね。
──シャンプーというテーマが具体的だったり、CMでの使用イメージが明らかだったから?
こやま そうですね。CMでは女優さんが踊りながら歌うんですが、監督からいくつかキーワードをもらったんです。その中から拝借したのが「shampoo people」と「shamping high」。思わず声を出したくなるような曲にしたいという話もあったので、そのリクエストに応えようと作っていきました。最初に出てきたのはタイトルです。シャンプーやから“泡”は入れたかったし、ダジャレにしたかったから「泡 Our Music」に。
──ロッテとのタイアップだった「とりあえず噛む」では「考えすぎるのはやめろって」の中に「ロッテ」、映画「ニセコイ」の主題歌「かわE」でも「ほんまにせこいわ」の中に「ニセコイ」を忍ばせていましたが、今回も「いち髪」ブランドを展開する“クラシエ”を歌詞にうまく取り入れていて。
こやま そういうのを躊躇なくやります。まだまだ媚びます。
しばた 我々はそういうバンドです。
こやま しかも今回は曲の中でもポップな部分だけ使われると思っていたら、そうじゃない部分もCMにも使っていただいてうれしかったですね。デモを提出して「どうかな?」と思ったんですけど、「こんなに要望に沿って作ってくれるんですね。もっととがってると思っていた」とお褒めの言葉をいただきまして。僕の中ではこれが「いち髪」のテレビCMソングとしてベストだったので、認めてもらえてよかったです。
──「泡 Our Music」には「汗かいて流せshamping high! 生まれ変われ新しい暮らしへ」のように新生活を迎える人たちへの応援ソングという一面もありますよね。リリース時期も考えてこの内容になったんでしょうか?
こやま リリース時期はまったく考えてなかったです。結果的にそうなりました。
──個人的に、タイアップ情報を知る前は「Bubble Bubble バブバブ赤ちゃん」を言いたいがゆえの曲かなと思っていました。
こやま するどい(笑)。いつか「バブバブ赤ちゃん」の曲を作りたいと思っていたんですよ。タイアップ関係なしに。「Bubble Bubble……」と歌詞を書いたときに「あれ、これはバブバブ赤ちゃんイケるな」と思って。
しばた 自然に入れることができました。
もりもと 「バブバブ赤ちゃん」はもうちょっとあっためるネタかなと思っていたんですよ。でもこのタイミングしかないと思いました。
ライブに来て汗をかいて嫌なことを流して
──サウンド面で挑戦したことはありますか?
しばた リズムにはループを取り入れました。
こやま 同期が必要なんです。
しばた イントロはギターしか弾かへんから、ライブでループに合わせるのが大変やと思う。こやまさんががんばらなあかんやつ。
もりもと 普通、ループが入るならドラムの音数を減らそうかなとか考えると思うんですけど、最後にループを入れることが決まったので、僕が全力で叩いたリズムをそのまま使ってます。ずっとタム刻みをやりたいと思っていたので、タムをいっぱいしばかせてもらいました。ヤバTとしては初めてのアプローチだったんですが、この曲にハマってよかったです。
──この曲についてほかに注目してほしいところはありますか?
こやま 1番で「Shampoo People」やったところが、2番では「Punk for people」になっているんですけど、これは僕らのライブに来て汗をかいて嫌なことを流してねというメッセージを込めました。何個か取材を受けたんですけど、誰も2番の話をしてくれなかったので自分からしました。ナタリーには書いてほしかったんで。
もりもと ちゃんとあっためておきました。
こやま お風呂だけに?
──おー!
しばた ちゃんとここで場を沸かせられたからよかったです。お風呂だけに。
こやま さあ、もりもとはどう来るか?
しばた テンポ感が大事やぞ?
こやま まあまあ、ここはもりもとは流してください。お風呂だけに。
もりもと ……僕がスベったみたいになってる。うーん、うなぎだけに?
こやま ……。
しばた ……。
もりもと ……悪くはないと思うんやけどな。
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ボケに気付いてもらえてないんじゃないか