「ユニコ」に寄り添いメンバーのことも歌う「Drawing」
──そして「ユニコ」が題材の「Drawing」は、ファンの皆さん1人ひとりに向けた楽曲だと感じました。「ユニコ」は愛をくれた人を幸せにする魔法が使えるユニコーンの子供が、美の女神・ビーナスの嫉妬で追放され、時空を超えてさすらいながら行く先々で幸せをもたすファンタジーです。
TAKUMA 僕たちは手塚先生が「ユニコ」に込めた思いまでは語れませんが、ユニコがまっすぐ進んでいく姿は、おこがましくもwyseが25年間も音楽を続けている気持ちに近いと感じるところがあります。僕たちの原動力はファンであり、おっしゃっていただいたように「Drawing」にはファンの方に届けたいメッセージを込めているんですけど、この曲にもう1つ側面があるとしたら、それはwyseのメンバーを歌っているところで。25周年を迎えて年齢もそれなりになって、この先どうなっていくかという人生における不安。僕たちも人としていろんなことを考える分岐に来てると思うんです。そんなメッセージを「ユニコ」の力を借りながら、どうにか1人でも多くの人に届けたい。なおかつ、聴いてくれた人の心に温かいものが残って、それがどんどん隣にいる人に伝わっていって、いつか僕らが消えてなくなっても、その温もりがまた別の人に届けられる。この曲がそんな力になってくれたらという気持ちで書きました。
──今のTAKUMAさんの言葉を聞いて、月森さんいかがでしょうか。
月森 伝わってるし、恥ずかしいから言わなくていいのになと思いました。
TAKUMA お前に言ったんじゃねーよ!(笑) これを読んでくれてる人に言ってるんだよ。
月森 フフフ。今回ジャケットが2タイプあるんですけど、「ユニコ」ジャケットに関しては「ユニコを1人にさせたくない。俺らがついてるよ」みたいなイメージで作ったんです。TAKUMAが書いた歌詞の中に「やっぱり ひとりより みんながいいな」という一文があって、「同じような思いが含まれてる! バンドってすごいな」と思いました。
HIRO 「ユニコ」のキャラクターから受けるインスピレーションとしては優しさや平和の象徴というイメージで、隣の知らない人とも仲よく手を取り合って、温もりや優しさを広げていく印象でした。「Voice」はどこかしら尖ったソリッドな感じでアプローチしましたが、「Drawing」はウォームな感じというか、包み込むような気持ちを込めて演奏しました。
MORI 「Voice」からの振り幅はwyseの強みだったりもしますし、すごく新しさを感じます。みんなが笑ってる絵がすごく見える曲で、そこにもユニコとコラボレーションさせていただくことの相乗効果も感じるし、「ひとりより みんながいいな」っていうメッセージはメンバー、目の前にいる人たちに伝わると思います。バンドの強みというか、1人で悩むんじゃなく、メンバー“四人四様”の答えが生まれることが選択肢を広げるうえですごく大事だなと。自分たちがwyseに集中してきた結果が蓄積された中で25周年を迎えられてうれしいですし、1人ではなく、みんなで背負ってここまで歩いてきたんだなっていうのはものすごく感じるので、その気持ちを今回25周年イヤーが始まるタイミングで共有できたのが一番素敵なことだと思います。
ひさびさの対バンが楽しみすぎて
──同じアニバーサリーでも20周年のときと今回では、コロナ禍にあった直近の5年間を考えると皆さんの中でまた違う思いがあるのではないでしょうか。
MORI 自粛自粛で思い通りにいかない日々だったという捉え方をすると、ものすごく長かった感覚もあれば、ものすごく早かったなとも思います。正解の道筋が見えない中、がむしゃらにもがいてた5年間だったからかもしれないですけど。そういう期間にライブ配信という文化が根付いて、今までなかなかライブに参加できなかった方が身近に音楽を感じられる環境が増えたのかもしれないですが、今は空気の振動を体で感じるライブ感をまた取り戻せていけたらいいなと思っています。だから20周年と25周年はまったく感覚が違って、5年という単位で考えると、もがいてあがいて、やっとたどり着いた25周年だなと感じてます。
TAKUMA あの期間、壊れなくてよかった、あるいは壊さなくてよかったと思います。どういうふうにもなってしまえる際どいところにいたので。そして忘れちゃいけないのが自分たち視点だけじゃなく、お客さんの視点ですよね。僕たちは音楽をやってきた人たちなのでそれ以外はどうでもよくて、メンバー同士も音楽でつながってきたから、だったらやっぱり音楽を届けないといけないと思うんです。wyseを望んでくれる人、つながってくれる人に音楽を届けることがひとまずここまでの感謝の気持ちだと思いますし、「Voice」と「Drawing」は今のwyseの代表曲であり、この先もずっとバンドを代表してくれる曲になると思うんです。そういう曲を結成から25年経った今書けるか、提示できるかっていうのはwyseとして大事なところでした。
──昨年5月にライブ活動を約1年ぶりに再開されて、ファンの方も心から喜ばれたと思います。来たる4月には新宿 ReNYにて対バンイベント「ReNY 10th anniversary& wyse 25th anniversary collaboration night 『ROCK BATTLE』」が4夜開催されますね。
月森 競演アーティストのメンバーの中には、はじめましての方もいらっしゃいますけど、関係性がものすごく長い方、何度か対バンさせていただいた方、ほぼ皆さん知り合いなので気が楽なところもあって。対バン自体、僕らひさびさなんですよ。今から楽しみすぎて当日のテンションがどうなるのか、浮き足立たないか若干不安ではあるんですけど(笑)、ちゃんとカッコいいwyseを見せなきゃなと思ってるところです。
TAKUMA ReNYさんの10周年と僕らの25周年を合わせていただいて恐れ多いですが、結果的にホストのような形で開催できることに感謝しかないです。石月努さんとは数年前にツーマンをやらせていただきましたし、THE MICRO HEAD 4N'Sさんとも以前イベントでご一緒させていただいていますが、当日のステージではバチバチと音で戦って「ROCK BATTLE」の名にふさわしいイベントにしたいです。FANTASTIC◇CIRCUSさんは“あの曲”やりはんのかな?って期待するところもありますけど、こちらとしても対バンさせていただくからには攻めていかなきゃなと。中島卓偉くんとは長い付き合いなので「あの曲一緒にやらない?」みたいなLINEがいっぱい来ていて。ステージはバチバチでも、セッションめいたところではまた違う、その日しかない絡みを見せられたらと思います。fuzzy knotさんはシドのShinjiくん、Rayflowerの田澤孝介さんのユニットで、個人的にたかさん(田澤)とはよく共演させてもらってるんですけど、このイベントのファイナルになりますので、締めくくりにふさわしい最高の音のバトルをしたいですね。
“今が一番いい”wyseに会いに来て
──そして5月には「wyse25周年記念 Anniversary Live Tour 2024『Voice』 in collaboration with Tezuka Characters」が始まります。12月まで続くロングツアーへの皆さんの意気込みを聞かせていただけますでしょうか。
MORI 25周年だからこそ東名阪だけでなく、なるべくたくさんみんなのところに音を届けに行きたかったので、今年1年かけて完結させる大掛かりなツアーを組みました。なおかつ手塚プロダクションさんとのコラボもあるので、また力をもらいつつ、1本1本のライブで最新のwyseを見せながら、12月のファイナルまで突き進めたら。その間にファンクラブのイベントもあったりして、ただツアーで25周年盛り上げて完結ですっていうのではなく、ファンのみんながいて、僕らがいて、お互い持ち寄ったところで完成されるライブを続けていけたらいいなと思ってます。
月森 もちろんライブを数多くやればいいわけではないことはわかってるんですけど、いろんなところを回って、数をやることでしか出てこない感覚とか表現って絶対あると思うんですよね。25周年だからこその本数だとは思いますが、僕らもやってみて新たに感じることもいっぱいあるでしょうし。おそらくこのタイミングしか感じることができない表現になると思うので、できれば見逃してほしくない。普段のライブでは観られないものを僕らも出せるだろうし、感じてもらえるんじゃないかなと思っているので、可能であれば1本でも多く遊びに来てほしいです。
HIRO 普段やるツアーより大きい規模にはなりますが、テーマ的には「Voice」「Drawing」というコラボ2曲を中心に置いたツアーになるかと思います。25年やってきて、ファンの方の中には結成当初からずっと応援してくださっている方もいれば、最近wyseを知ってくれた方、4月の「ROCK BATTLE」で初めてwyseを知ってくださる方もいらっしゃると思います。長い道のりでしたけど、いろんな経験を経てここまで来たので、すべての方々に対して25年やってきたことの集大成をぶつけるつもりです。みんなに対して感謝の気持ちを伝えつつ、これから先の30周年、35周年に向けて少しでもいい未来を描けるようなツアーにしなきゃなとも思いますので、お見逃しなく。みんなに喜んでほしい気持ちがすべてです。
TAKUMA どの時代も、どの瞬間も、最高の自分たちをと思い、やってきた結果が今です。過去を知る人、途中を知る人、今を知る人、この記事で知ってくれた人。いろんな方がいると思うんですけども、今のwyseがきっと一番いいと思ってますので、お近くに行くときはぜひ会いに来てほしいです。そしてずっと応援してくれてる方はぜひ一緒にこの25周年を彩ってほしい。その思いもあっての手塚プロダクションさんとのコラボですので。ここからまた未来に向かって1歩ずつ歩いて行けたらと思うので、まずはみんなで最高に幸せな時間を一緒に過ごして思い出を残したい。世の中、暗いこともあるかと思いますけど、wyseの作り出す世界には明るく元気になれる要素がたくさんあるので、ぜひ遊びに来てほしいと思います。
ライブ情報
ReNY 10th anniversary& wyse 25th anniversary collaboration night 「ROCK BATTLE」
- 2024年4月6日(土)東京都 新宿ReNY
<出演者>
wyse / 石月努 / FANTASTIC◇CIRCUS(スペシャルゲスト) - 2024年4月7日(日)東京都 新宿ReNY
<出演者>
wyse / THE MICRO HEAD 4N'S / FANTASTIC◇CIRCUS(スペシャルゲスト) - 2024年4月13日(土)東京都 新宿ReNY
<出演者>
wyse / 中島卓偉 - 2024年4月14日(日)東京都 新宿ReNY
<出演者>
wyse / fuzzy knot
wyse 25周年記念 Anniversary Live Tour 2024「Voice」in collaboration with Tezuka Characters
- 2024年5月25日(土)東京都 Veats Shibuya
- 2024年5月26日(日)東京都 青山RizM
- 2024年6月8日(土)宮城県 darwin
- 2024年6月9日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2024年7月13日(土)愛知県 ElectricLadyLand
- 2024年7月14日(日)静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
- 2024年8月24日(土)神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
- 2024年9月14日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2024年9月15日(日)鹿児島県 SR HALL
- 2024年10月19日(土)北海道 PLANT
- 2024年10月20日(日)北海道 PLANT
- 2024年11月9日(土)大阪府 OSAKA MUSE
- 2024年11月10日(日)京都府 KYOTO MUSE
- 2024年12月21日(土)東京都 大手町三井ホール
※5月26日はファンクラブ会員限定で1日2公演開催
wyse 25周年記念 Anniversary Live Tour 2024「Voice」 in collaboration with Tezuka Characters "FC Limited"
- 2024年5月26日(日)東京都 青山RizM
- 2024年6月9日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2024年7月13日(土)愛知県 ElectricLadyLand
- 2024年8月24日(土)神奈川県 新横浜NEW SIDE BEACH!!
- 2024年11月9日(土)大阪県 OSAKA MUSE
- 2024年12月21日(土)東京都 大手町三井ホール
プロフィール
wyse(ワイズ)
1999年2月に結成されたロックバンド。2001年12月にアルバム「the Answer in the Answers」でイーストウエスト・ジャパン(現ワーナーミュージック・ジャパン)からメジャーデビューを果たすも、2005年2月に解散。2011年に再結成し、2017年8月にアルバム「Breathe」で再メジャーデビューを果たす。2018年には結成20周年プロジェクトの一環として、手塚プロダクションとのコラボ企画でシングル「ヒカリ」をリリース。その後、“充電”と銘打った活動休止期間を経て、2020年5月に3年ぶりのアルバム「Thousands of RAYS」を発表。2024年2月に結成25周年を迎えた。5月に手塚プロダクションと再びコラボした両A面シングル「Voice / Drawing」をリリースする。