WOWOWのアーバンスポーツ応援番組「HI-FIVE ~URBAN SPORTS for LIFE~」新テーマソングを、ロックやソウル、ヒップホップなどさまざまなジャンルをミクスチャーした音楽性で人気の5人組バンド・Kroiが担当している。
「HI-FIVE」は、スケートボードやBMX、ブレイクダンスなどのアーバンスポーツの魅力を紐解く番組。ナビゲーターとして、ストリートカルチャーを愛する俳優の野村周平と、女優・モデル・歌手の紗羅マリーが出演している。新テーマソング「Correction」は、ルーツミュージックにリスペクトを捧げつつも独自の感性でサウンドを再構築していくKroiのコンセプトを象徴するようなファンクチューンだ。YouTubeでは本楽曲を使用した番組のプロモーションビデオ「NEXT HI-FIVE」を公開中。こちらは1980年代から現在までのアーバンスポーツやストリートカルチャーの歴史、そして未来を“ハイファイブ(ハイタッチ)”でつなぐ映像作品となっている。
音楽ナタリーでは、Kroiへのインタビューを実施。アーバンスポーツとストリートカルチャーへの思いを、バンドの音楽性を紐解きながらじっくりと語り合ってもらった。
取材・文 / 黒田隆憲撮影 / トヤマタクロウ
「HI-FIVE」とは?
スケートボードやBMX、ブレイクダンスなど広い場所を必要としない個人が気軽に始められるアーバンスポーツの魅力を、さまざまな角度から掘り下げるアーバンスポーツ応援番組。ストリートカルチャーを愛する俳優の野村周平と、女優・モデル・歌手の紗羅マリーが番組ナビゲーターを務めており、アーバンスポーツ各競技の楽しみ方はもちろん、世界大会に挑む選手や、ストリートで自分を表現しているプレイヤーたちのそれぞれの思い、ファッションや音楽へのこだわり、カルチャーとしての歴史などを掘り下げる。なお番組はWOWOWオンデマンドでのアーカイブ配信もあり、ゲストとして登場する各競技のトップ選手や専門家とともに、さまざまな視点でアーバンスポーツの魅力を発信している。
番組のプロモーションビデオ「NEXT HI-FIVE」にはナビゲーターの野村に加え、プロライダーとしてEvisen Skateboardsと契約し、ストリートスケートボード界で絶大な存在感を発揮する吉岡賢人や、日本人として初めてスケートボードの世界大会 「TAMPA AM」で優勝を果たしたプロスケーターの池田大亮、ブレイクダンスシーンをけん引するB-Boy Taisukeなど各ジャンルのエキスパートが次々と登場。各年代のファッションやトリックなどディティールにも徹底的にこだわっており、ビギナーからマニアまで楽しめる内容となっている。
WOWOW「HI-FIVE~URBAN SPORTS for LIFE~」
番組ナビゲーター:野村周平 / 紗羅マリー
HI-FIVE MAGAZINE ハイファイブ マガジン | アーバンスポーツカルチャーメディア
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Kroi インタビュー
ストリートカルチャーの変遷を1本のビデオにまとめた「NEXT HI-FIVE」
──まずは「HI-FIVE」のプロモーションビデオ「NEXT HI-FIVE」をご覧になった率直な感想から聞かせてください。
益田英知(Dr) 「ハイファイブ(ハイタッチ)で世代と文化をつないでいく」という、PVのコンセプトを打ち合わせで聞いてからずっと楽しみにしていました。こうやって実際に仕上がった映像を見ると、めちゃくちゃカッコいいですね!
内田怜央(Vo, G) 自分たちの音楽もセクションごとにガラッと雰囲気を変えるというか、時代やジャンルを超える作品をけっこう作ってきているんですけど、こうやって1つひとつの時代をしっかりと表現しながら映像作品としても一本筋を通すのってめちゃくちゃ難しいんですよね。それをちゃんと見応えのあるものにしているのが素晴らしいと思いました。
関将典(B) 年代によってファッションなど細かく変えていますよね。特に面白かったのは序盤の80'sっぽい映像。当時のスケーターは、プロテクターやサポートなどかなりゴツイ装備をして滑っていたんだなって(笑)。アーバンスポーツやストリートカルチャーが世の中に浸透する前の、黎明期の様子を再現してくれていたのがよかったですし、僕らの楽曲との合わせ方もすごくカッコよく仕上げてくださったのでうれしかったです。
長谷部悠生(G) 僕は育ちが東京の駒沢で、駒沢公園が実家のすぐ近くにあるんです。なのでBMXを置いているショップや、公園でスケボーをやっている人たちを小さい頃からよく見ていて。大きくなってからはストリートカルチャーも好きになって、そういうテイストの洋服を着ていた時期もありました。うちは地元でお菓子屋さんを経営しているんですけど、そこにスケボーに乗って来られるお客さんもいましたし、ストリートカルチャーはかなり身近なところにあって。今回、こうやって一緒に作品を作ることができて本当にうれしいです。
千葉大樹(Key) 今回、テーマソングに起用していただいた僕らの楽曲「Correction」は、イントロのシンセがちょっと変なサウンドなので「大丈夫かな、ちゃんとハマるだろうか」と心配してたんですよ(笑)。でも、そこが序盤の80'sっぽい映像にぴったりハマっていて、うまく相乗効果が出せていてよかったなと。
アーバンスポーツの背後にあるカウンターカルチャーに共感
──「HI-FIVE」はスケートボードやBMX、ブレイクダンスなどのアーバンスポーツにフォーカスした番組ですが、皆さんはこれらのアーバンスポーツに挑戦したことはありますか?
関 うちは悠生と益田がスケボー経験者で、ほかのメンバーはめちゃくちゃインドア派なんですよ(笑)。ただ、スポーツに打ち込んでいたことはないけど、僕もアーバンスポーツへの憧れはめちゃくちゃありますね。オリンピックでも最近はアーバンスポーツが取り入れられているじゃないですか。そういうのを見ていると選手の技に圧倒されるし、並外れた熱意と努力の上に成り立っているパフォーマンスなんだなと思って。
益田 スケボーに関しては、僕も長谷部も1年くらいしかやっていないですし、今はデッキをずっと玄関に置きっぱなしなんですよ(笑)。とにかく遊ぶことが大好きで、新しい遊びを見つけたらすぐ試してみるし飽き性なのですぐやめてしまう。ただ、「スケボーってカッコいいな」とはずっと思っていて。スポーツの背後にあるカウンターカルチャーにもずっとシンパシーを感じていました。
長谷部 僕は先ほど話した通りストリートカルチャーがかなり身近にある環境で育ったので、大きくなってヒップホップを好きになってからは友達とすげえ太いパンツとか買いに行ってました(笑)。ヒップホップを流しながらスケボーするのがとにかく楽しかったんですよね。すごく身近にあって、すぐに取り入れられるのがヒップホップやストリートカルチャーの魅力なのかなと思います。だからこそ実際にやってみる人もどんどん増えていったし、最終的にオリンピックの競技になるくらい浸透したのかなって。
──アーバンスポーツの「自分にもできそう」「やってみたい」と思わせるところは、パンクカルチャーにも通じる部分がありますよね。
関 そう思います。アーバンスポーツがストリートカルチャーと密接につながっているのも1つの要因だと思うんですけど、ほかの競技と比べて“楽しい”の割合が大きいんですよね。僕らも“楽しい”をベースに音楽を作っているので、そこも共感するポイントですね。
──内田さん、千葉さんはどうですか?
内田 一度、ミュージックビデオの撮影で「スケボーに乗ってみて」と言われたことがあって。当時、バイト先の後輩がスケボーをやっていたので借りて練習して、撮影当日に渋谷のセンター街の一角、めちゃめちゃ人通りの多いところで滑ったら思いっきり転倒して怪我したんです(笑)。そのくらい運動音痴なんですけど、アーバンスポーツへの憧れはずっとありますね。みんなが言っているように、ヒップホップにも多分に影響を受けているKroiの音楽とも密接につながっていますし。
千葉 僕もスポーツそのものをあまりやったことがないんですけど、スケボーをはじめとするアーバンスポーツにはすごく興味があります。高校を卒業して上京してきた頃は、ストリートファッションがめちゃめちゃ好きでした。Instagramでフォローしているスケーターの格好を参考に洋服を買ったりしていて。
──Kroiの皆さんでサバイバルゲームをやっているという話を聞きました。アーバンスポーツというか、エクストリームスポーツという括りでいうと、スケボーやサーフィン、ブレイキンなどとも通じますよね。
関 確かに(笑)。去年の夏だったかな、レコーディングのときに「サバゲーやってみたいよね」という話になって。みんなでやりに行ったんですけど、そこからしばらくハマりました。メンバーだけじゃなくて、レーベルスタッフや制作チームのメンバーも含めて大勢で行くときもあります。サバゲーって「自己申告制の遊び」というか。銃で撃たれたときに、自分で「撃たれました」と申告しないと成立しない、実はものすごく紳士的なスポーツなんですよね。そういう意味ではメンバーやスタッフとの結束力を高める上でもサバゲーを始めてよかったと思っています。
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先人の作品に影響を受けて現代の音楽へと再構築