「42分もある。超大作だ！」

──記念すべきメジャー1stアルバムの完成、おめでとうございます。今の率直な気持ちは？

玉屋2060%（Vo, G）　「やりきった！」って思いますね。やっと、今までで一番納得するものができた。

──どんなコンセプトで作っていったんですか。

玉屋2060%　今まで作ってきたアルバムって、Wiennersの種をプランターに入れて、そこからすげえいろんな方向に出た枝を伐採してパッケージして出す、みたいな感じだったんですよ。でも今回は根っこの部分をまとめて出荷したい気持ちがあって、自分たちのよさをガッチリとまとめたものを作ろうって思ってました。あとは、幅広く聴いてもらえるように。インディーの1st（「CULT POP JAPAN」）とかはこっちのやりたいことは全部やったけど、届かない人には届かないっていう歯がゆさがあったので。

──「CULT POP JAPAN」は1分前後のショートチューンが多くて、Wiennersのルーツである西荻窪や吉祥寺のパンク・ハードコアシーンの色が濃いですよね。

玉屋2060%　そうそう。今回はもっといろんな人に届けるために、曲の中でしっかり説明するようになって、1曲の尺が長くなりました。今回、42分もあるんですよ。すごくないっすか？ もう、超大作だ！と思って。

──いや、13曲で42分は短いほうかと……（笑）。

一同　はははは！（笑）

∴560∵（B, Cho）　去年の暮れに吉祥寺WARPで全曲披露ライブってのをやったんですけど、45曲も演奏したのに1時間半しか経ってなかったんですよ（笑）。

玉屋2060%　ね、あんなに短いと思わなかった（笑）。今まではいろんな要素を詰め込めば詰め込むほど曲が短くなっていってたけど、今回のアルバムはちゃんと正規の長さにしようと思ったんです。

∴560∵　“正規”（笑）。

玉屋2060%　曲が長くなってもボロが出てないというか、ちゃんと作れるようになったなーって実感しますね。

──どうしてそうできるようになったと思います？

玉屋2060%　うーん、歌を歌うことを考えるようになったのが大きい。歌もギターのリフと一緒、みたいな認識だったんですけど、（ミニアルバム「W」に収録されている）「午前6時」って超歌モノの曲を作ったときに、意外とみんながちゃんと聴いてくれた実感があって。「これなら俺みたいなやつでも、歌ってもいいのかな」って、歌を前に出していくようになった。

広い会場でやるイメージで作った曲が多い

──確かに「DIAMOND」では、歌やメロディを大事にしている印象を受けました。MAXさんがボーカルをとる「片瀬江ノ島」なんてもうこれ、キラッキラのアイドルソングですよね。

玉屋2060%　でんぱ組.incの曲（「でんぱれーどJAPAN」「でんでんぱっしょん」「サクラあっぱれーしょん」）を作らせてもらって、周りに「でんぱだけじゃなくてバンドにもこういうの作りなよ」ってずっと言われてたんです。で、「こっちでもできんだぞ！」っていうのを見せたくて。あざとく入れてみた（笑）。

MAX（Vo, Key, Sampler）　（松田）聖子ちゃんとかが昔からすごく好きで。もっとブリッとかわいくしたほうがいいと思ってたけど、自分にはそれができないってことが、歌ってみてよくわかりました（笑）。

玉屋2060%　まあ難しいよね。でもそのできない感じで形にするのもまたいいな、と。昔からこういう感じの曲やってみたかったんです。∴560∵のほうが詳しいけど、高校生のときPlus-Tech Squeeze Boxとか、CAPSULEの「L.D.K. Lounge Designers Killer」とか大好きだったから。

∴560∵　Hazel Nuts Chocolateとか。渋谷系フォロワーみたいなポップミュージックね。

──この曲はライブでぜひ、ハンドマイクにかわいい振り付きでやってほしいですね。

MAX　あはは（笑）。それいいですね。まだこの曲やったことないんですよ。

マナブシティ（Dr）　ライブではまだほとんど「DIAMOND」の曲やってないよね。シングル曲のほかは「VIDEO GIRL」と、「ASTRO BOY」の短いバージョンをときどきやってるくらい。

∴560∵　これまでは、録ったはいいけどライブでやる段になって苦労することも多くて。「あれ、これ生身の人間がライブで再現できなくね？」ってこともよくあったんですよ（笑）。でもそういうギャップもね、今回はなくせたと思う。目の前にお客さんがいることを思い浮かべて、バーッて広い会場でやってるイメージで作った曲が多いです。