うわあ、攻めるねー！

──4人での作曲はどういう流れでやったんですか？

鈴木　マイクをメンバーで1周回していくんです。1人ずつ歌っていって、その中でいいメロディを抽出しました。

古幡　みんなでラフにメロディを出し合いましたね。「それいいね！」って。会議のブレストみたいな感じでした。その場でKosukeくんが「めっちゃいいじゃん」って客観的な立場で聴いてくれて。

鈴木　Aメロで出したメロディをBメロに使ったりもしたよね。

古幡　「ここにハマるね」って。

八村　歌割りに関しては、スタッフチームと話し合って決めたんですけど、メロディの発案者が自分でそのパートを担っているところが多いです。例えば、曉が歌ってるサビの「HELL FIRE」は、曉自身が出してくれたメロディですね。そこは曉のバイブスで出たところだし、そこを歌うのに一番ふさわしい。亮が歌ってるブリッジのメロディも、亮のアイデアです。「気づかないふりで蓋した」は颯が考えたメロディで……。

──そのフレーズはキーの高さが尋常じゃないですけど、髙橋さんが自ら出したメロディなんですね……！

髙橋　はい！

古幡　それぞれ作ったメロディは自分で全責任を負っています（笑）。

八村　誰のせいにもできない。

──内心「これはヤバいな」と自覚しながらメロディを出していたんですか？

八村　作ってるときは、そんなことは思ってなかったよね？ 「いいねー！」みたいな感じだった気がする。

髙橋　うん。作曲した日は、自分が歌うことをまったく考えてなかった。

桑山　僕と希空は作曲には携わってないので、あとでデモを送ってもらったんですけど、最初に聴いたときにシビれる感覚がありました。特にサビのところとか、すごくキーが高いじゃないですか。颯のところを聴いて「うわ、これはヤバい！」「これ、本当にやるのか？」みたいな。でも、パフォーマンスしていくうちに、1人ひとりが殻を破っていくというか、すべてを解放していく感じがあって、この曲がWATWINGの新しい切り札になるなと感じました。

──福澤さんはデモが届いてどう思いましたか？

福澤　「うわあ、攻めるねー！」って（笑）。

一同　あはははは。

福澤　でも、「ロックをやってみたい」という話はメンバー間で出ていたので、やりたいことが詰まってるなって。どういったパフォーマンスになるのか楽しみだなというワクワク感がありました。

──「HELL FIRE」はサビの高音もすごいですが、Aメロ、Bメロでは低音の歌声の魅力も感じられます。ライブを観ていても、メンバー全員の歌声のよさが出ていて、そこにリスナーとしてうれしさを感じました。6人の歌声はWATWINGの大きな強みだと思うので。

八村　それぞれの歌声を生かせたのも、メンバーでメロディを作ったがゆえだと思っています。ローが魅力のメンバーとハイが魅力のメンバーいて、そこがうまく掛け合わさった。作詞は僕1人でやったんですけど、デモの段階で仮歌も入れなくちゃいけなくて。そこでメンバーのすごさを実感しましたね。家で歌入れしたんですけど、サビのキーが全然出なくて。サビ頭の「HELL FIRE」のところはなんとか出たけど、「気づかないふりで蓋した」のところは出なかった（笑）。だから無理やり、パソコンのエディットでキーを上げたんですよ。そういうことをやる中でみんなで補い合いながら曲ができるんだなって、勝手に1人でエモくなりましたね。

──「地獄に火をつける」という独特の世界観を持つ歌詞ですが、誰もがみんな地獄を持っていて、他人には見せていないという、私たちのリアルな日常のことが歌われていますよね。映画のストーリーとリンクしていて、主演の八村さんだからこそ書けた歌詞だと思います。

八村　映画の台本を読み返しながら、自分が芝居したイメージを思い出しながら書きました。ただ、映画の世界観とリンクさせたいけど、この曲単体でも意味が伝わるようにしないといけない。だから映画のストーリーを抽象化して、わかりやすく伝えることを意識しながら作っていきました。実は1回、歌詞がボツになってるんですよ。僕は英詞が好きだから、最初バーッと英語で歌詞を書いていって。Kosukeくんはすごく英語が堪能で、洋楽も大好きな人だから気に入ってくれるかなと思って出したら、「いや、倫太郎、ダメだよ」って返ってきたんです。「英語の音のニュアンスに頼ってる。この曲はそうじゃない。倫太郎はもっといけると思う」と言ってくれて。そこで僕も「確かに」と思って、スケジュールはパツパツだったんですけど、なんとか日本語で歌詞を書き直しました。日本で音楽をやる以上、日本語で届けることに意味もあるよなって、音楽と向き合ううえでまた1つ勉強になりました。あと、メンバーからの「いいね、それ」がすごく力になるんだなと改めて実感しましたね。歌詞を作るにあたって、メロディの一部を変えたんですよ。でも、自分で自信がなくて、「ここのメロディなんだけどさ……」って曉に電話して。

鈴木　「エデンの園目指したこの大都会」の音階が上がっていくところだっけ。倫太郎の中に4つぐらいアイデアがあったんだよね。

八村　そこで曉が「これがいいと思うよ」って言ってくれたのが、自分が一番いいと思ってたメロディだったんです。「俺もこれがいいと思ってたんだよ」「だよね」って。

八村　声の出しやすさとかもあるから、「歌詞を考えてみたんだけど、ちょっとこれ歌ってみてくれない？」って相談しました。

鈴木　「こっちにすると難しいかも」みたいな。

八村　「に」よりも「が」かいいとか、助詞1つ取っても、メンバーと話し合いながら作っていきました。そこがパフォーマンスの説得力にもつながってるのかなと思います。

新たなスタートを切る6人の“挑戦”

──お話を聞いていて、今のWATWINGにとって“挑戦”というのが大きなキーワードになってるのかなと感じました。ここから新しいスタートを切っていくにあたって、挑戦してみたいことはありますか？

八村　僕はラップです。

──これまでもラップはたくさんやっていると思いますが、もっと極めていきたい？

八村　そうですね。もっとラップで震えたいと思っています。まだ自分は下手なんですよ。ヒップホップ系のライブにも行くんですけど、やっぱり自分がやっているものとは違う。あと、ラップの歌詞を自分で書く機会を増やしたい。もちろん誰かに書いてもらう歌詞でラップをすることにも、何か憑依させるような面白さがあるけど、自分じゃないと見えないものもあるし、何よりラップは自分で書いていかなければうまくならないなって。自分のラップに説得力を持たせたいです。

髙橋　僕はWATWINGとして5年間活動していますけど、いまだに自分で納得のいくパフォーマンスができたなと思ったことがあんまりなくて。ダンスがよくできたと思っても、歌に納得のいかない自分がいる。グルーヴ感、言葉の歯切れのよさ、ロングトーン、音量……でも、去年の7月にリリースした「DANCE NOW」では、激しく踊りながら歌も引き算しないで両方表現できたんです。「できたな」という感覚がちょっとあった。それをいろんな楽曲でもできるようになりたいと思っています。

古幡　僕は今までの曲のアレンジバージョンをやってみたいですね。日本武道館公演のときに隆太のピアノに乗せて「Shooting Star」を披露したんですけど、そんなふうに……例えばアカペラバージョンとか、アレンジを加えた演出で今までの曲を新しい色に塗り替えてみんなに届けてみたい。

桑山　僕は幕張公演で「生き様」という曲をやったときに、自分のすべてを解放できた感じがしたんです。「生き様」に関してもトラックは作曲家さんに作ってもらったんですけど、メロディと歌詞は自分たちで担当して。それがすごく楽しかったので、これからも作詞作曲をやっていきたいです。

鈴木　僕はオープニングでガツンと衝撃を与えられるような曲がもっと欲しいなと思います。最近で言うと、「HELL FIRE」が生まれたことによって手札が増えました。個人的にはヒップホップもやっていきたいなと思っていて、ともかくイケてるカッコいい曲を作っていきたいです。

福澤　僕は……バンドでやりたいですね。

一同　えっ!?

福澤　ライブでバンドについてもらって、生のサウンドに乗せてWATWINGでパフォーマンスしてみたい。

髙橋　あー、そういうことか！

福澤　生の音に合わせてみんなでダンスができたら、めっちゃ楽しそう。それでサビに入る前のダンスパートとかあったら、自分で振付を作ってみたいなと思います。